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第35話:陥陣営、血路を開く ~高順の勇気~

第35話:陥陣営、血路を開く ~高順の勇気~


虎牢関での戦いは激しさを増していた。呂布の圧倒的な武勇により、董卓軍の兵士たちは動揺し、戦線は一時的に崩壊の兆しを見せていたが、虎牢関の守りは依然として堅固だった。城壁からの攻撃は容赦なく、並州軍は多くの損害を出していた。血の匂いと、土埃の匂いが、戦場全体を覆っていた。


この状況を打破するため、高順率いる陥陣営が重要な役割を果たした。陥陣営は、並州軍の中でも最も精鋭揃いの部隊だ。彼らは鉄の規律と、主君への絶対的な忠誠心で知られている。彼らの鎧は黒く、鉄壁の防御を誇っていた。鎧の手触りは冷たいが、その中にいる兵士たちの心は燃えていた。


高順は、冷静沈着な指揮官だった。彼は呂布の武勇を最大限に活かすための戦術を理解していた。呂布が敵の兵士を混乱させている隙に、虎牢関の城門を破り、突破口を開く。それが、陳宮の策であり、高順の使命だった。


「陥陣営! 前へ!」


高順の低い、しかし力強い声が響いた。彼の声には、迷いも恐怖もなかった。ただ、任務を遂行するという揺るぎない意志が宿っていた。陥陣営の兵士たちは、高順の声と共に、鉄の塊のように前進を開始した。彼らの足音は、大地を揺るがすかのように重かった。


彼らは、董卓軍の激しい攻撃にもひるまなかった。矢が雨のように降り注ぎ、落石が彼らの隊列を襲う。しかし、彼らは盾を構え、互いを庇い合いながら、黙々と前進した。鎧に矢が当たる甲高い音、石が盾に当たる鈍い音。その音は、彼らの鉄壁の防御を証明していた。


陥陣営は、虎牢関の城門に肉薄した。城門は堅固な鉄で覆われている。並州軍が持参した衝車が、城門目掛けて突進する。木材がぶつかり合う重い音。しかし、城門はびくともしない。城壁の上からは、油や火のついた丸太が落とされ、陥陣営を焼き払おうとする。


「ひるむな! 血路を開くのだ!」高順は叫んだ。彼の顔は煤と血で汚れていたが、その目は炎のように輝いていた。彼は自ら剣を抜き、城門の隙間から攻撃してくる敵兵と戦った。剣が金属に当たる音。


その時、呂布が駆けつけた。彼は、虎牢関の城壁の上で指揮を執る将軍たちを威嚇し、混乱させながら、陥陣営の元へ来たのだ。赤兎馬の息遣いが荒い。呂布の鎧は血に染まっていた。


「高順! 城門はどうか!」呂布の声が響いた。


「呂将軍! 堅固です! しかし、必ず突破いたします!」高順の声は、決意に満ちていた。


呂布は、陥陣営の奮戦を見て、胸が熱くなった。彼らは、自身の命を賭して、突破口を開こうとしている。彼らの「忠」と「勇気」が、呂布の「義」に応えているのだ。


呂布は、方天戟を構え、陥陣営の邪魔をする董卓軍の兵士たちを蹴散らした。そして、城門の近くに陣取っていた敵の部隊を壊滅させた。彼の圧倒的な武勇により、陥陣営は城門に集中攻撃することが可能になった。


衝車が何度も城門にぶつかる。木材の軋む音。そして、ついに、城門の堅固な鉄が、微かに歪み始めた。兵士たちの間に、希望のざわめきが広がる。


高順は、その隙を見逃さなかった。「血路を開け! 陥陣営、続け!」


陥陣営の兵士たちは、最後の力を振り絞り、城門目掛けて攻撃を続けた。彼らは、主君である呂布が切り開いた道、そして自分たちが開くべき血路を信じていた。彼らの足音は、大地を揺るがす。


虎牢関での激戦の中、高順率いる陥陣営は、その鉄の規律と勇気をもって、難攻不落の城門に挑み続けた。彼らの奮戦が、虎牢関攻略に向けた血路を開く。そして、呂布という「飛将」の武勇が、その血路をさらに広げていく。戦場には、陥陣営の決意と、呂布の咆哮が響き渡っていた。血と埃の匂いが濃くなる。

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