第2話 退避
「ではでは、じゃ〜ん、け〜ん……」
結局、じゃんけん……って事になったのだが…
『あ〜あ、私、じゃんけん弱いんだよな』
……という私の心の声が表情に滲み出て、般若の様な顔をしていたんだろう……。 気を利かせてくれた深田先輩が『ぽん』……の前に「仕方ないな〜、あたしが行ってやるよ!」 ……と言ってくれた!
な、なんて後輩想いの先輩なんでしょ! 私は「よろしくお願い致しますです〜」……と最敬礼した。
もう、一生ついて行きます!
……動かざること山の如き技師長を残し、3人で脳波検査室に向う。 警察からの指示で、万が一にも囚人に奪われないように室内の物品を必要最小限にする為だ。 ……頭の中は『エアロスミス』の、映画『アルマゲドン』のテーマが流れていた。
脳波記録に必要な電極と、電極を頭皮に粘着させる為のペーストだけを残し、他は全て他の部屋に退避させた。
通常、ペーストを着け易くする為に櫛で髪の毛を分けるのだが、それも危険だと思い撤去した。
「あっ、先輩! これこれ!」私が先輩の胸ポケットを指差す。
「ヤバっ! ありがと〜」 ……と、検査技師のトレードマーク、大量のサインペンを抜き取った。
……これは、私の心の夫、キアヌ・リーブス様の映画『ジョン・ウィック』の『ペン・フー』を思い出したからだ。
……と、突然、脳波検査室の内線電話が鳴った。 なんと、技師長からだ!
「ふ、深田に替わってくれ〜!」




