第8話 衛兵
リハーサル当日……はっしーが車で迎えに来てくれた。
可愛らしい水色の軽自動車だ
「私、はっしーって『走り屋』だと思ってたのに、こんなに可愛いのに乗ってんの!?」
「ったりまえよ〜! 花も恥らう乙女だもん」と言いつつ、助手席に回り込み、ドア開けてくれて「さっ、お姫さま! 乗って下さいまし」と戯けて頭を下げた。
私も調子に乗って「くるしゅうないぞ」と言って笑い合った。
稽古場に到着すると、要さんが出て来てくれたので、早速、はっしーを紹介した。
「こちらが、ラインでお伝えした、親友の橋本さん。 で、こちらが『劇団あみーご』の『要 秀逸』さん」
「初めまして、要です。」
「橋本です。 本日は貴重なリハーサルにお邪魔して申し訳ございません」
要さんが「いえいえ、第三者の目でご覧頂くのが大切なので有難いです。 何かお気付きになられたら、ご指摘をお願い致します」と言って、きちんとしたお辞儀をしてくれた。
中では梅郷先生と奥様が、何かを真剣に話し合っていたが、私達の顔を見て、笑顔で挨拶をしてくれた。
早速、お稽古が始まった。 はっしーは、少し離れた場所に座り、見守ってくれている。
今日は『カモミーユ』と『ガーベラー』の付かず離れずの絶妙な間隔と、ガーベラーの殺陣を中心に稽古した。
……相変わらず、要さんの視線に胸が高鳴る!
ここで問題が発生した。 要さんに見惚れ過ぎて台詞を飛ばしてしまったのだ!
う、うわわわわ!
こ、これはヤバい!
梅郷先生が珍しく厳しい表情で私に近付いて来る。
………!
その時!
要さんが私を護るように、先生と私の間に割って入って来て、切っ先をピタリと先生の胸に向けた!
一歩間合いを詰めれば、ただでは済まない、かなり危険な位置だ。
し、秀逸さん! 貴方は、まさか!




