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第5話 ラ○ライブ!?

 ストレッチャーのまま、HCUに搬送され、点滴を受けた。


 点滴薬液名は『ニコランジル』


 何の薬??


 ……さて、ここで……


 しつこいようだが、私の仕事は『臨床検査』だ。


 医師からの具体的な指示のもと、検査を行うのがしゅであり、疾患の発生機序や、病気や怪我で体内ではどのような成分が上下するか……は、それなりに判っている


 の だ が !


 治療に関してはな~んにも判らない(←バカ)


 ましてや、お薬に関してはちんぷんかんぷんである。


 ↑正確に言うと……『お薬を覚える余裕のある脳を搭載していない』んだ


(注:こんな、すっとぼけた臨床検査技師は私くらいで、他の検査技師さんは日々の勉強を怠らない、立派で尊敬出来る方々です! くれぐれもお間違い無きよう、宜しくお願い申し上げます!)


 臨床検査技師の国家試験には『細菌の感受性検査』という、どの細菌に、どのお薬が効くかを問われる問題があるのだが、私は最初から捨てていた(←きっぱり)


 ……漫画家を目指して、仕方なく臨床検査技師の国家試験合格を目指していた、バリバリ文化系の私は、薬剤名を覚える余裕があるなら、超絶苦手な化学式を一つでも多く覚える方に注力した。


 それくらい、お薬は苦手なんだ。


『ニコ』といえば、子供の頃観ていたスクールアイドルのアニメに、こんな名前のキャラが居たけど……何か関係あるのかな?(←バカ)


 そんな事を考えていたら、院長先生がHCUに入って来た。


「お疲れさんだったね〜……まだ胸痛ある?」


「い、いえ、今はすっかり治まりました。 ありがとうございました」


 正直言って、両腕の止血の為にキツく留めてある『止血カフ』が痛くて、他の痛みは感じない(泣)


 それより、一番の心配は私の病状だ。  命にかかわるのなら、せめて最期に、お母さんに会いたい(泣)


「先生……私、相当悪いんでしょうか?」


「うーん……わかんない」


 な! な ん で す と ! ?


 仮にも(←失礼)循環器科の権威である院長が『わからない』ってどーゆー事!?


「遥さんのは『冠攣縮性狭心症』 これ、正確な原因がわからないから、対症療法しか無いんだよね」


 そうだったのか〜!


 私の病気は、一般的に知られている『狭心症』とは異なっていたんだ。


 典型的な狭心症は、加齢や不摂生による『動脈硬化』で、心臓に酸素や栄養を送る『冠動脈』の血流が滞るために起きる……と原因が判明している。


 ところが『冠攣縮性狭心症』は、院長が言った通り原因不明で、何の前触れも無く動脈が攣縮(痙攣しながら収縮する)してしまい、唐突に血液が流れなくなってしまうので、発症予測が出来ず非常にたちが悪い。


 現に、血液検査では血糖値やコレステロール値に異常は無かったし、血圧も低いくらいだった。


 なお、前話で私の腕にカテーテルを刺入した際に進まなくなってしまったのは、カテーテルが刺激となってその部分の動脈が攣縮したためで、院長の手腕のせいでは無かった。


 また、カテーテルが心臓に到達した際にも冠動脈に攣縮が起こり、狭心症の発作が起きてしまい、胸痛が起きてしまった。 その状態で造影剤を使用すると、狭心症が悪化して『心筋梗塞』(冠動脈が完全に閉塞して、心臓に血液が供給出来なくなり、心筋が壊死してしまう状態)に移行してしまう恐れがあったので急いでカテーテルを抜き、血管を拡げる点滴『にこ♡らんじる』(← ジト目)を処置してくれたんだ。


 院長、疑って申し訳ありませんでしたっ!


 不肖、遥 真優、院長先生に一生お仕え致す所存で御座りまするぅ〜(←最敬礼)


 ……と一件落着したようだったが……


 実はこの時、想像もつかない程の『苦痛』と『恐怖』が迫りつつある事、そして長期に渡る療養生活を送る事態に陥ってしまう事になろうとは、神ならざる身である私は、知る由もなかったのであった……

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