第六十九話 薬とアニェーゼ
「で、その容器に何個くらい入るの?」
「わからないが、かなり大量にできるな」
その取り出した容器でも入りきるのかな。もっとないと足りないんじゃないのかな。そんなことを思っていると、アニェーゼはさらにアイテムボックスから小さい便の入った箱を取り出した。
まだ持っていたのか。これだけあれば足りるだろうな。これに一個ずつ、液体を容器に入れていくのか、大変そうだな。手伝うか。
「僕も手伝うよ」
「あぁ、頼む」
アニェーゼは素直に頼んでくれた。意外と素直だな。
俺は箱に入っている。小さな瓶の容器を取り出して大鍋の間に立って隣にあった木のスプーンみたいなのをとって、大鍋に入っている霊薬を入れていった。蓋を閉じて、これでいいのか確認のためにアニェーゼに渡した。
「こんな感じでいい?」
「うん、いいぞ」
アニェーゼもイスから立ち上がり、容器に霊薬入れる作業に加わった。ただ無言で作業をするのも退屈なのだな。アニェーゼはこの霊薬以外にも薬って作っているのかな。
アニェーゼが他に作ってきた薬を聞いてみた。
「他に作った薬とかないの?」
「あるぞ。アイテムボックスに入っている」
アニェーゼはアイテムボックスからまた箱を取り出して机の上に置いた。
あるんだな。ずっと霊薬しか作っていないイメージだから、これ以外作っていないんだと思っていたが、そんなことはなかったな。霊薬以外にも一応薬は作っていたか。どんな効果の薬を作ったのだろう。霊薬作れるぐらいだからなんかいい薬とか、面白い薬とかないのかな。
「他にどんな薬作っていたの?」
「この霊薬よりすごいのはないぞ」
まぁ、死者転生よりすごい薬は見当もつかないしないだろう。あったとしても、それもまた。世には絶対出してはいけない代物になるだろうな。そんなことよりも早く効果を教えてほしいな。
「この霊薬以外も、僕は興味があるから」
「そうか、我が作った薬は様々あるが、今作っている死者転生の霊薬の次にすごいのはこれだ」
大鍋に入っている霊薬と似たような色の薬が入った容器を箱から一つ取り出して俺に見せてくれた。
「それは?」
「これは体力、病気、など、死以外なら殆どのものを治せる薬だ」
アニェーゼはどうでもいいかのようにあっさりと答えた。
その薬の効果も死者転生の霊薬なみにやばい効果じゃないのか? 不治の病も直せてしまうものだろうそういうのって、なんでそんなすごいものを作ってうれしそうじゃないのだろうか。やっぱり、死者転生の霊薬のほうが熱がこもっていたな。たぶん死者転生の薬のほうが、いいのだろう。
「便利だな。なんでその薬を作ったの?」
「霊薬づくりが失敗したときに偶然できたものだ」
失敗したときにできたのか。偶然で全ステータス回復はかなりすごいのに、そんなすごい風に言っていないな。生前のアニェーゼってこんな幼女な、なりをしていてもすごい人だったのかな。王様だったことじたいすごいことなんだろうけどね。なんか他にも面白い薬をいろいろと持っていそうだな。
「他にどんな薬があるの」
俺はワクワクしながらアニェーゼに聞いてみた。
「えっと、他には…」
アニェーゼは自分が作った薬に興味を持っている俺に意外感を感じながら、ちょっと嬉しくなったのか、アイテムボックスの中にある他の薬も出してくれた。アニェーゼは薬を箱単位で管理していた。
箱で管理するのはアニェーゼの癖みたいだな。それにしてもたくさん出てくるな。数十個の箱を机の上に出してきた。もう机が箱でいっぱいになっているにもかかわらず、まだまだ、箱を重ねて出してきたので、さすがに出しすぎなので俺はアニェーゼの肩を叩いた。
「アニェーゼ、もう一回出すのをやめたら」
「いや、でもまだあるぞ」
「説明してから出そうよ」
「わかった」
アニェーゼは俺に指摘されるとなぜかしょんぼりしながら周りを見渡して、アニェーゼは置き場に困ったのでそうすることにしたらしい、箱をアイテムボックスから取り出すのをやめて箱を開けて薬を取り出し始めた。
「まずはこのパウダーの回復薬だ」
「なにそれ」
確かこの世界のか回復薬は確かポーションで確か。液体のポーションしかなかったはずだな。本にすらパウダータイプの情報は書いてなかったな。
「これは普通のポーションと違い、飲まずに体に振りかけて使い、効果期限を気にせずに使える回復薬で、アイテムボックスが使えない効果期限が気になる人のために作った薬だ」
それはアイテムボックスを持っていない人にとっては便利だな。アイテムボックス内は時間が止めっており、効果期限があったとしても時間が止まっているので、アイテムボックスを持っている人は入れてしまえば入れたときの状態を保ったまま、そういうのを気にしなくていいんだけど、アイテムボックスを使えない人は期限切れになってしまうと薬の効果はなくなってしまうからな。アイエムボックスが使えない人は大変だからな。
アニェーゼもたまにはいいこともしているのか。
「これはどうして作ったの?」
「いや、我が遊びで霊薬作り中、行き詰ったときになんとなく気晴らしに作ったものだ」
何となくなのか。大体作る動機は興味本位とかなのね。こんな便利なものなのに残念だな。
「この煙の回復薬もあるぞ」
また別の箱から新しい回復薬を取り出してきた。今度は煙草の形をした物が出てきた煙を吸って回復するのか。なんか面白い回復方法だな。またこれも効果期限はなさそうだな。また、変なものを作ったな。これは便利なのか。
「これは火をつけて吸うの?」
「おっ、よくわかったな。これは火をつけてその煙を吸って回復するんだ。正直パウダーと違って、使いどころがわからないがな」
やっぱり興味本位で自分の好きなもの作っているから、機能性とかは気にしていないようだな。面白い発想だけど、他の人は煙はいらないんじゃないか。
俺はかっこいいと思うからこれは欲しいんだけどね。後で交渉してみようか。
「これかっこいいな」
「たくさんあるから欲しいならやるぞ」
「いいの?」
「ああ」
アニェーゼは箱から煙草型の回復薬と何本も取り出して俺にくれた。アニェーゼが、煙草型の回復薬をくれたので俺はありがたく受け取り、布に包んで腰にぶら下げておいた。今度試しに使ってみるか。
「他にはこういうのもあるぞ」
たくさんあるな。なんか1日で終わりそうにないがいい暇つぶしになりそうだな。
それから、小さい瓶に霊薬を入れる作業が終わり一日が説明を聞き続けて一日がたったが、まだまだ、アニェーゼの作った様々な薬の話は続いていた。
俺は最近暗殺術の練習も始めていたから何となく剣に塗る毒が欲しいなと思い、剣とか武器に塗る毒を作ってないか聞いてみた。
「この木の生長を促す…」
「ねぇ、剣とかに塗る毒とかもある?」
「あるぞ」
アニェーゼが何か言おうとしたが俺はその途中で、剣に塗る毒について聞いてみると、遮ったことには怒らずにアイテムボックスから新たな箱を取り出した。その薬を見てみると、色が紫色でいかにも怪しい雰囲気を帯びていた。
なかなかの色だな。
「これが傷口から入ると、どんな効果があるの?」
「毒耐性が少なければ、即死の毒だ」
まぁ、普通の毒だな。まだ、訓練は最初の段階だから毒なら何でもいいけどね。
基本アニェーゼって薬は作っても、他人にはそれを言わないみたいだな。だから世の中に広まっていないのか、どれもこれも便利そうなのにな。
俺も薬作れるようになりたいな。最初は自己流でやって、躓いたらアニェーゼに聞けばいいか。




