第六十八話 霊薬
たまに会い行くって言って去って以来一度もアニェーゼに会っていないからな。まぁ、霊薬作りがうまくいくとは思っていないから、別にすぐに会いに行かなくてもいいだろうと思っているからな。
でも、今日は鍛える以外何もないので、鍛えるだけなら分身に任せておけば大丈夫だから、本読むのもいいんだけどもしかしたらいい暇つぶしになるかもしれないからな。
俺は地下訓練室の穴からアニェーゼのいるダンジョンに来た。特にダンジョンは変わってないな。ピンチになったら読んでと言ったけど呼ばれてもいないし、まだピンチにもなったことがないみたいだな。アニェーゼが歩いた形跡があるがそれ以外は何もないきれいなまんまだ。
俺はアニェーゼの部屋にドアをノックもせず遠慮なく思いっきり開けて入った。
「アニェーゼ来たよ!」
アニェーゼはいきなりドアを開けられて驚いたのか。椅子からものすごい勢いで降りてこちらに杖を向けて臨戦態勢に入っていた。
アニェーゼが座っていた付近を見ていると机に本が置いてありアニェーゼを見てみると、服装が着崩れていた。俺が来るまで座りながらゆっくりと読んでいたようだ。
「なんだ。レイルか」
いつも通りの反応だな。それにしても霊薬作りはどうしたのだろうか。今日は休みなのか今は休憩中なのかな。聞いてみるか。
「霊薬作りはどうなったの?」
「ふっ、聞きたいか、聞きたいのか」
アニェーゼはちょっと笑ってから俺に向かって、すごくむかつく顔になって近付いて言ってきた。なんか、急に聞きたくなくなってきたな。
「いや、いいや」
「いいから聞け」
アニェーゼは一瞬で霊薬作りについて興味を失った俺を無視して椅子に座り直して、俺に対して命令してきたので一応聞くことにした。
「はい、はい、で霊薬作りはどうなったの?」
「成功した」
成功しちゃったのか。特にアニェーゼの使い道がまだ決まってないから霊薬作りに没頭させておきたかったんだけどもう完成したのか。早いな。まだ、会って1か月くらいしかたってないぞ。もっと、失敗とかしてくれなかったのかな。なんで、全部うまくいってしまったんだ。もっと失敗すればよかったのにな。
俺がこんなことを思っているとは思っていない顔だな。
「ふっふっふっ、どうだすごいだろう」
アニェーゼは椅子から立ち上がり腰に両手を置き、小さな胸突き出して大笑いをしていた。
うざいな。というより、霊薬ってどんな効果の薬を作っていたんだっけ忘れたな。聞いてみるか俺はアニェーゼとは対照に冷めた声で聞いた。
「何の霊薬だっけ」
「死者転生の薬だ」
あれ?そんなすごい効果だっけ、アニェーゼも死人みたいなものだから。自分で使ってみればいいのに、元の体を取り戻せるかもしれなにいのにな。
「あれ、そんなすごい薬作っていたの?」
「作っていたわ」
「自分に使わないの?」
「今の体のほうが便利だし、好きだから、使わない」
自分の肉体を取り戻すとかじゃないのか。ほんとに欲求に従うまま作っていたのか。すごいな。何百年も諦めないで作り続けるとは一種の天才だな。俺も好きなものだったらできるかもしれないが、まだ百年も経っていないからな。その好きなものに没頭できる精神力は尊敬できるけどね。
「レイル、1回死んでみて体験してみるか?」
アニェーゼは軽い感じで、俺に向かって言ってきた。
俺も1回死んでから復活する感覚ってどんな感じなのだろうかと思い、面白そうだったので、やってみることにした。分身だから大丈夫だろう。分身ならよく死んでいるからな。
「まあ、いいけど、死ぬときに注意する点とかは?」
「うーん、特にないぞ。これは普通は飲ませなくちゃいけないどこの霊薬は、なんと死んだ場所に振りかけるだけで復活できる薬だ」
霊薬は俺は飲むイメージがあるから、口に含まないと効果がなくて口がなくなったら飲めないのと、心臓がなくなったらなどの復活できなくなる死に方があるのではないかと思い。確認してみたがどうやら大丈夫のようだ。
分身が復活するのかよくわからないが物は試しようだな。よしやるか。
「わかった。じゃ、死ぬわ」
俺は軽い感じで答えてアニェーゼの目の前で自分で抜き手を繰り出して、頭をつぶして死んだ。まぁ、分身が死ぬことは慣れているからな。俺は分身が死んだため地上に意識を移った。復活したらどんな感じになるんだろうな。気持ちいのかな?
俺は死んだ分身に意識を集中し続けると暗い中に何かが下りてきて、急に視界が明るくなった。なんというかこう体がふわっと浮く感じかな。うーん、よくわからないな。
「冗談で言ったつもりなんだがほんとに死ねとはお前すごいな。気に入ったぞ、なんでも言ってくれ」
アニェーゼは蘇生した俺の手を取って、笑顔になりながら握った手を振ってうれしそうに言ってきた。
「あぁ」
俺は少しアニェーゼから遠ざかった。
すごく上機嫌だな。俺はアニェーゼに会ってから少ししか経っていないから、この霊薬作りがそんなにすごいとは思えないけどな。
「長きにわたる実験と苦労ようやく生成方法を確立した。これで我は満足だ」
アニェーゼはやり切った感を出して満足した顔になり、椅子に倒れこみながら座った。
もう満足なのか。俺からしたらテイムしたのに特に使い道がなくて困っているので、もう4年は行き詰ってほしかったな。これからどうしようかな。というより、この霊薬はどうするのだろう。聞いてみるか。
「霊薬はどうするの」
「さあ、我は作りたかっただけだからな」
あんまり使い道は考えていないようだな。使わないのなら俺が保管して取っておきたいな。俺がテイムしたいモンスターと戦って間違え倒してしまったときとかに霊薬使って復活させてテイムすれば便利そうだからね。
「ちなみに生成方法は?」
「秘密だ」
俺は冗談程度に薬の作り方を聞いてみた。それはそうだな。というよりも俺からも一生秘密にしといてもらいたいな。こんな薬、世の中にだしたら大変な混乱をまくと思うからな。なんか、この薬を求めて軽く世界大戦が始まるかもしれないからな。使う場合も他の人にばれないようにしてもらわないとな。
「うん、そのほうがいいと思うよ」
「あっさりしてるな」
「もっと聞いてきてほしいの?」
「そうだ」
アニェーゼは胸を張って答えた。
もっと聞いてほしいのか。それはアニェーゼからしたら長年の願いがかなったから、誰かに聞いてもらいたいのはちょっとはわかるがそれを肯定されると返しに困るな。
「この薬たちはどうするの?」
俺は大鍋の中に大量に入っている大量の液体の霊薬を指さしてアニェーゼに聞いた。こんなに大量に作くちゃって使い切れるのかな。これで何人分くらいになるのだろう。
「それは、この中に全部入れて保存しておく」
アニェーゼは空中に空間を開けてその中に手を入れて箱を取り出した。その箱の中には、霊薬を入れるためのガラスの容器が割れないように整理されて大量に入っていた。
アイテムボックスか、アニェーゼはたくさんの物をアイテムボックスにしまっているよな。こないだくれた防具とかの箱とかいろいろ入れていたな。アニェーゼのアイテムボックスにはどれくらいの容量が入るんだろう。俺もそろそろアイテムボックスが使えそうなくらいまで魔素の操作は上達してきているからな。
「アニェーゼのアイテムボックスって容量どれくらいなの?」
「確かめたことはないが、お城くらいの広さは入るんじゃないか?」
よくわかんないけど、とりあえずたくさん入るってことか。俺もそれくらい広い空間が欲しいな。いろいろと武器とか鎧とかかさばるものとかも入れたいからね。訓練頑張らないな。




