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物語る日記帳  作者: 采火
本編
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33/63

日記帳回顧

 昔、日本がまだ江戸と呼ばれていた頃。山奥にひっそりと隠されたように建つ屋敷があった。

 それはとある少女を囲うための、寂しい建物だった。少女は藍色の日記帳の持ち主で、それ故に屋敷の主にさらわれた。

 少女は三年の月日をその屋敷で過ごした。日記帳をもたらした神妖と契約を結べるほどの力を持っていた少女は、虐げられることこそなかったもののその力を日々吸い取られていった。───屋敷の主は人間ではなかった。

 生きる気力をなくした結果、少女の力は弱まり続けた。屋敷の主は少女の力の波長と相性が良かったから、少女をなくすのだけは渋った。だから手下の一匹を少女につけて少女の相手をさせた。

 少女は心が死んでいた。屋敷の主の手下は毎日毎日話し相手をした。

 そうして三年の月日が過ぎる。

 少女と契約を交わしていた神烏がやっとの思いで少女を見つけると、神烏は少女を連れだした。少女は日記に宿った力を借りて屋敷ごと封印した。

 そのとき屋敷の主と手下も共に封印された。しかし日記帳に宿っていた複雑な妖気のせいで封印を解くのには長い年月がかかると思われた。

 そうして今日。

 三冊目の日記帳は妖怪達の間で出回っている。三冊目の主は神烏によって前世の記憶を引き継いで生まれてきていた者だった。その日記、翡翠の日記帳の現在の持ち主の名は、



 ───結姫梨香。

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