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明日は絶対筋肉痛だ。
身体が爆散してもおかしくない。
準備運動抜きでいきなり全力疾走は、きっと小学生でも身体が弾け飛ぶはずだ。
ただ……意外と行けた。
完璧超人のお姉ちゃんに比べると平凡ってだけで、僕って割と優秀なのでは?
「運動会楽しかった! 彩陽ちゃんカッコよかったね!」
帰り道、緋空ちゃんと一緒に手を繋いで帰る。
ブンブンと手を振って、運動会というより遠足の帰り道のように元気に足音を立てている。
一回全力疾走してまだ疲れてる僕からしたら、小学生はやっぱり元気いっぱいだ。
「かっこよかったかぁ。緋空ちゃんも頑張っててかっこよかったよ」
「本当!? えへへ〜」
緩んだ表情が可愛らしい。
緋空ちゃんが笑うだけで元気をもらえる気がする。
この子の自慢のお姉ちゃんになれたかな。
良い子でとにかく笑顔の素敵な女の子は、本当に抱きしめたくなるほど愛らしい。
僕はお姉ちゃんに向かって、ここまで明るく直球で笑えてなかったと思う。
もし僕が隣の天使のように笑えていたら、お姉ちゃんはきっと僕を力いっぱい抱きしめてくれただろう。
彩陽ちゃん大好き。そう言っていつものように抱きしめてくれる。
西陽の茜色にお姉ちゃんを重ねる。
死にたい。お姉ちゃんに会いたい。
「かっこよかったな〜」
ただ隣にいる天使様を見れば、そう思うわけにもいかない。
緋空ちゃんの艶々の黒い髪の頭頂部は、夕日を反射して本物の天使の輪のようになっている。
彼女のお父さんもお母さんもこの子の笑顔をいつまでも守りたかったはずだ。
いないなら、僕が守るしかない。
天使様と過ごして充実してる今でも、死にたいけど僕は生きる。
だから緋空ちゃんも、一緒に頑張ろう。
「さて、この後は動画撮らなきゃ……簡単なの弾いて終わらせよう。明日はどうせ筋肉痛だし……夜ご飯はどこか外で食べようか?」
そう結論づけて強引に感情を打ち切って尋ねると、緋空ちゃんは少し考えてこちらを見上げた。
「私ね。オムライス食べたい!」
「お昼でもオムライスのおにぎり食べたのに、また食べるの?」
「ふふん、彩陽ちゃんのとは別腹!」
自慢げに胸を張る緋空ちゃんにため息が漏れる。
夕焼けすらチキンライスに見えてそうなその笑顔に、僕も全身が軽くなった。
「そっか、じゃあ帰って準備したら食べに行こうね」
「やった! デザートにアイス食べていい?」
元気いっぱいに腕を振る力が強くなる。
「いいよ。いっぱい動いたのに元気だなぁ」
「いっぱい動いたからだよ!」
なら……これからもいっぱい動こうね。
心で彼女に伝える。
茜色の風景が綺麗だ。
この風景を2人でずっと見ていられるようにしたい。
また明日も、明後日も、少しずつで良いから綺麗に映るように生きようねと心で告げた。




