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恋についての全てを私は知りたい。 〜癖強JKが超能力で男子の心を読み恋を知る〜  作者: 向夏夜なくの
一部 三章 恋が人に与える影響について

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第29話 クリスマスケーキとデート(2)

──同日、部活の時間


いつもの部室、つまり多目的室で待っていると、三花ちゃんと太陽君が各々《おのおの》やってくる。

秋見先輩達はケーキを受け取りに行くと思うので、ちょっと遅れて来るはずだ。


「やっほー、野球部サボって来たよー」

「さすが三花ちゃん。愛してる!」

「ありがと。大月君にも言ってあげて。はい!」

「愛してるよ?」

「!……ありがとう」


好意を伝えるということ。

初めはドキドキしたけど、少しだけ慣れてきた。何も思わないということは、全然無いけれど。


太陽君とのお付き合いを初めて三ヶ月近く経った。こういう平日に少しだけ会うくらいの、平坦なお付き合いが私は気楽でいいな。

もちろん、誘ってくれたら日帰り旅行くらいは行っても良いよ。


って、そうだ。

三花ちゃんに来てもらったのは観測分体について聞きたいことがあるからだった。恋愛話はまた今度にしないと。


「そういえば、最近の観測分体の調子はどう?使えば成長するってことだけど成長してる?」

「日に日に成長を感じてるよ!」


三花ちゃんの観測分体の能力を最後に見たのは、窓ガラス修復事件の時。壊れた物を元通りに直す力があるのだっけ。


「どういう時に成長を感じてるの?」

「主に部活の時かな。壊れた備品を元に戻したり、汚くなった備品を新品に戻したりするでしょ。後は、グラウンド整備はめちゃ便利で、男子が雑にトンボをかけた時にパッとキレイに出来るし、雨上がりの日にはグラウンドを乾いている状態にも出来るし」


壊れてる物を直せるというよりは、状態を復元出来ると考えた方が近いのかな。

どうであれ、部活で使い倒していることが判明した。


「堂々と使いすぎだよ。バレてないの?」

「そういう細かいことは考えたことなかったよ……。ただ、みんなが気持ちよく部活が出来たらそれでいいから。最初は効果範囲が狭くって、グラウンド整備のために走り回りながら観測分体を発動しないといけなくて大変だったんだけど、今は大分広くなってね。だいたい半径五メートルくらいはいけるかなって感じ。どう?成長してるでしょ」


うん。

野球部マネージャーとして無双しすぎでは?


何にせよ成長していることは間違いなさそう。

もしかしたら、私よりも有能なのかもしれない。


「私も負けてられない」と、少し危機感を覚える。


「想像よりも凄いね。大っぴらに観測力を使いすぎてて、バレるのが怖いけど」

「結姫はいつも考えすぎだよ。大月君もそう思うよね?」

「経験上、出来るなら一般人には隠しておいた方が都合が良いね。それに、考えすぎるところは結姫の長所だから」

「えー、完全に結姫の味方じゃん。ラブラブかよ笑」


三花ちゃんは不貞腐ふてくされた表情を浮かべる。

私の太陽君なんだから、私の味方なのは当然だよ。


私だって太陽君の味方……、と思ったけれど三花ちゃんの味方をしないとは言い切れないかも。ごめんね?


「結姫の観測分体も成長してるのー?」

「してるよ。観測できる範囲は三花ちゃんと同じで、五メートル弱くらいかな。でも心を読むって深く読めないと意味が無くって、深く読むためには出来るだけ近づく必要があるんだよね。触ったりハグしてないと本当に深いところは読めないかな」

「使いづらそうだねー」

「三花ちゃんと比べたらそうかも。でもまだお互いに成長途中だから」

「うんうん。あ、後、記憶力も良くなったかも。戻す先の状態を覚えてないと上手く戻せないことが関係しているかもしれないのだけれど、映像記憶がかなり出来るようになったよ。授業中に教科書の丸暗記してるから次の期末試験は良い成績とれそうな予感!」


めちゃくちゃ凄いじゃん。

私も映像記憶力、欲しい……!


それに、試験で三花ちゃんに負けるとかプライドが許さない。

三花ちゃんの頭が良い友達枠には、私が一生鎮座する予定だから。


「凄いね、三花ちゃんに試験で負けちゃうかも」

「それはないよー。暗記科目はいい線だけど、数学がイマイチで笑」

「そっか笑」


そうだよね。数学で負けることは万に一つも無い。

成績では今のとこ負けそうでは無いけれど、観測分体ではちょっと負けた気がする。


私ももっと使いやすい観測分体なら良かったのに。


「そう言えば、太陽の観測分体って何なんだっけ?」

「言ってなかったっけ。僕のは観測分体の観ンンン!──」


丁度その時、秋見先輩達がケーキと共にやってきた。

聞かれるとマズイかもと思い、咄嗟とっさに親指と人差し指で太陽君の唇を開かないように挟む。


「結姫ちゃん、やっほー!」


先輩達には私が特別な能力を持っていることは伝えているけれど、信じているかは分からないし、三花ちゃんや太陽君の観測分体の話をするのは一応避けておいた方が無難だろう。


「ケーキ買ってきたよー!って知らない女の子がいるー!結姫ちゃんは何してたの、大月君の唇つまんでさあー」

「これは、単なるたわむれですよ。それに安心して下さい、彼女のケーキは私の分け前から分けるので」

「初めまして。一年の二城三花です。結姫と大月君の友達です」

「へぇー、仲良くていいね!三花ちゃんも友達になろうよー」

「もちろんです!」


え……。

一秒で友達になっちゃった……。

第二図書館での私の苦労は一体……。



先輩達との挨拶も程々にして、五人でテーブルを囲む。今となっては六人がけのテーブルがちょうど良い。


ケーキカットは太陽君がしてくれることになった。やっぱり適任だったようで、均等で断面もきれい。


私たち(私を除く)はその包丁はどこから持ってきたのかなんて全く気にせずに、ただ切る様を見つめていた。


ちなみに、ホールケーキの分け前は、先輩達二人が中心角九十度ずつで私達一年生三人が六十度ずつである。

もちろん紅茶とのセット。太陽君がフル稼働で有能すぎる。


けれど有能すぎると言うか、早く食べたいんだから見た目までこだわら無くてもいいのに。

それぞれの分け前を更に半分ずつカットして、その半々を互い違いに組み合わせることで、それぞれのケーキを長方形にしてくれる。


いや、普通に扇形のままで良かったよ?


「「「「「いただきまーす」」」」」

「急に来ただけでケーキ貰っちゃって、ありがとうございます!」

「いいのいいの、三花ちゃんは特別だからー」

「買ったのは俺なんだが」

「秋見先輩の隣で舛谷先輩がケーキを食べれているのは、部長である私のおかげですよね」

「……おっしゃる通りです」

「結姫ちゃんがしたいようにすればいいよ。私達は四分の一ずつ食べれてるし、人数が多い方が楽しいからー」

「流石先輩、懐が広いですね」

「俺の懐は軽くなったけどな」


──おいしい。


学校で食べるケーキがここまで美味しいとは。

先生に見つかったら何を言われるか分からないけど、その背徳感が美味しさを増しているね。


各々のフォーカスがケーキに集中して、会話が起きない時間。


黙々と食べていると、秋見先輩がおもむろに舛谷先輩に“あーん“をし始める。こんなに堂々と間接キスしちゃうんだ。


私達一年生三人の視線は、自分達のケーキから秋見先輩のフォークに移る。


「おいおい、愛可。めっちゃ見られてるぞ」

「それが何?私のケーキが食べれないってことー?」

「いや、俺は愛可のケーキしか食いたくない」

「それは逆にキモいってー笑」


舛谷先輩はパクッと差し出されたケーキを食べると、秋見先輩はそのフォークで何事も無かったかのように自分のケーキをまた食べ始める。


今時の高校生ってこんな感じなの?

私も太陽君にしてあげた方が良いのかな。


「秋見先輩っていつもこんな感じなのですか?」

「そうだよー。だって、こうした方が面白いから。ところで、結姫ちゃんはキスしたの?太陽君と」


──!?


「まだしてないです……」

「まだね笑。じゃあ今しちゃえば?初チューはイチゴ味だよー笑」

「そういうのって、付き合ってたらするものですか?」

「するする、余裕でするよ。間接キスなんて、仲の良い友達以上なら男女問わず誰とでも出来るよ」

「俺以外の男子とはやめてくれ……」


折角だし、ちょっとやってみよう。

経験として一回だけ。


目の前で間接キスを見て興が乗ったのか、自分でも何をしているのか分からないのだけど、気づいたら太陽君の口に自分のケーキを乗せたフォークを近づけていた。


「太陽は私のケーキ食べれる?」

「ゆ、結姫のケーキしか食べたくないです……」

「あはははは!珀君、真似されてるよー?」

「恥ずかしいからやめろ!」

「先輩も、みんなズルいよ。私も彼氏欲しい!もういいや、私のケーキは結姫に食べてもらうから」


──???


この状況の意味がわからない。

私の口へ、三花ちゃんのケーキが三花ちゃんのフォークに乗ってやってくる。


私は三花ちゃんの誘いは断れない。というか、唯一の親友の気持ちを裏切りたくない。なすがままに、親友である三花ちゃんのケーキを口に含んだ。


三花ちゃんのフォークで掬われたケーキを、私が《《間接キス食べ》》する。そして、私のケーキを太陽君が《《間接キス食べ》》をする。もし、太陽君が三花ちゃんに《《間接キス食べ》》をさせてたら、さらにカオスになっていた。


――そもそも《《間接キス食べ》》って何だ。


お互いのケーキを食べた直後、秋見先輩がイヤらしい顔で太陽君に話しかける。


「太陽君、どんな味がしたー?」

「どんなって、ケーキの味がしました?」

「普段と比べて美味しかったんじゃないのー?」

「自分のケーキよりも、美味しかったです」

「結姫ちゃん、聞いたー?美味しかったんだって!!笑」


太陽君の顔が真っ赤になり、舛谷先輩がやれやれという表情を見せる。太陽君も空気読まなくてもいいのに。


「秋見先輩、太陽で遊ぶのはやめてください。太陽も自分のフォークで食べた方が美味しいよね?」

「いや、そんなことはないよ……」


──!!


「へ?本当に空気読まなくていいから!」


どうして、まんざらでも無いようなことを言うかな!

恥ずかしい。私達、完全に遊ばれてるよ。


すると、三花ちゃんはニコニコしながら私に言った。


「と言いつつ、結姫も私のフォークで食べた方が美味しかったんでしょ」

「それはそうだけど……」


ああもう。そう言うしかないじゃん!

味なんか変わんないけど、ちょっとお得感はあったよ。

そう言う意味では美味しかった!(吹っ切れ


分かった、もう分かったから。

太陽君もこういう気持ちなんだね。


三花ちゃんにも同じことをしてやろうと、私は予備の未使用フォークを手に取る。そして、ケーキを一口食べてから同じフォークで三花ちゃんに“あーん“をすると、何の抵抗も無く、というか自ら進んで食べに来た。


「うーん、おいしい!結姫の濃厚な味がする。このフォークに出汁ダシが染みてるわ」


三花ちゃんはいつまでもフォークを口に入れたまま喋っている。

と思ったら、何故かペロペロし始めた。


「なっ!!」

「きゃはははあ!気持ち悪う!茶話部最高だよ!ね、珀君」

「あ?あぁ。ケーキを買った甲斐があったな。現在進行形でフォーク舐め続けてる奴にとっては、ケーキとか最早どうでも良さそうに見えるが……」


さすが三花ちゃん、負けました。

「私も三花ちゃんみたいなリアクションが出来てたらな」と一周回って羨ましささえ覚えるよ。別にフォークを舐めたいということではなくて、ノリとか振る舞いの部分でね。


「結姫のフォーク舐めてたら頭が良くなった気がする!」

「三花ちゃん落ち着いて、そんな効能無いから」

「少なくとも興奮作用はありそうだよー笑」

「ああ、間違いなくヤバい成分が入ってる。唾液集めて一儲けするか」


こいつ(秋見・舛谷先輩、三花ちゃん)ら、何でこんなに気持ち悪いことを次から次に言えるんだ。


そんなことを言う為に、糖分補給して頭の回転を早めてるんじゃないから!

どうしても茶話部って、空気がエロくなってしまいます。

(作者である私のせいではなく、)全て秋見先輩が悪い。


ちなみに、仲が悪くなる前の時点で秋見先輩と舛谷先輩は普通にやるとこまでやってます。参考までに。

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