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マラキの予言
魔女の嗜みとして教会の仕組みくらいは簡単に知っておかねばならない----というのは冗談だが、法王庁に囚われた魔女なら誰でも一度は耳にした記憶のある予言がある。
それが、マラキの予言だ。
予言の正式な名称は、『全ての法王に関する大司教聖マラキの預言』であるが、『マラキの予言』『法王予言』などとも呼ばれている。
1595年に修道士アルノルド・ヴィオンが、ヴェネツィアで刊行した著書『生命の木』に収録したのが、この予言の初めての公刊であるとされているが、教会はこのマラキの予言を偽書として、公式には一顧だにしない姿勢を取り続けてきた。
「実際には法王庁においてはこのマラキの予言も、生命の木の中での言及も全てが真実として扱われている……そうよね?」