ストライガ 【法王庁庭園管理局所属特殊魔女部隊】

過去との合致

「どうした？　懐かしさで泣いてるのか？　因縁の相手と８０年振りの御対面になるんだもんな」

「懐かしくもないし泣いてもいないわよ」

　私は聞こえるように大きく溜息を吐く。

「そもそも、トゥーレ協会にまだいたとして、それがあの時の魔女なのかは分かってるの？　魔障級と超常級の観測内容は過去のデータと照合してどのくらい一致してる？」

　私がする質問と思わなかったのか、ノートパソコンの向こうから嫌そうな声が聞こえた。

「そんなのはお前が気にする事じゃない……と言いたい所だが」

　今度はアンソニーが溜息を吐いた。

「……カーラが言うには72.03％の合致だそうだ」

　しばらく沈黙が続いた。

「……これ、割と緊急事態なんじゃないの？」

「あぁ、突貫作業でやってるぞ、なにせこの私がラボで朝飯を食う羽目になってるんだ」

　司祭枢機卿のぼやきは聞き流し、私はカーラに再び尋ねる。

「あちらの魔女もクローンという可能性は？」

「可能性としてはあります。他にも仮死状態であったか、もしくは冬眠状態であったという可能性もあります……貴女のように」