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異端の魔女
凄まじく時間をかけた処刑の末に生き残った魔女は、今や記録上では私一人だ。
モルガナでさえベルリンの戦闘で寿命が尽き、死んだ----もっとも、アンソニーに言わせれば、それすらもまた魔女のまやかしに過ぎないらしいが。
魔女は、死ぬために飼われている。
寿命を擦り減らすために鎖に繋がれている。
私が毒草しか口にするのを許されていないのは、そういう訳なのだ。
そして、その毒を自らの女主人に与える役割もまた、法王庁によって担わされていた。
数千回、数万回の歪な食事の末にモルガナは死に、私は生き残っている。
そしてまた私はクローンとなって再生した女主人に毒を与えている。
生きながら処刑されている。
だから、私達の他にまだ魔女が生き残っているのだとしたら、それはきっと、魔女の理から外れた異端の魔女としか言いようがないのだ----私達二人と同じように。