表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
54/399

二人の復讐者

 私は主であるモルガナを、憎んでいる。

 言葉では言い尽くせないほどに、憎んでいる。


 彼女を失ってから80年間、闇の中で私は彼女を待ち続けた。

 それはもう一度会うため。

 会って、復讐をするため----。


 そしてメリッサが現れた。 


「アイリスは、私の事が嫌い?」

「どうして?」


 メリッサは、そのモルガナの生体サンプル----文字通りの血と肉から造られた、クローンだ。


 そんな彼女を嫌いでない訳がない。

 私の世界の中で、一番嫌いだ。


「だって……私を見る目がたまに、たまにだけど、なんだかとても冷たい時がある気がして……」


 勘がいいのね、という言葉を飲み込み、精一杯の笑みを、私は少女に向ける。


「……嫌いなんかじゃないわよ」


 嫌いという言葉では言い表せられないほどに。

 憎んでいるから。


 嫌いではない。


 だから、これは嘘ではない。


「アイリスは怖くないの? 私が、モルガナの……あの【case-M】を引き起こした魔女のクローンでも?」

「ええ」


 モルガナのクローンだからこそ、私はこの子を守らなければならない。


 今日気付いた事がある。

 

 アンソニーは、最終的にはモルガナを灰にするつもりだ。

 そしてその方法を探るために、今の地位にまで上り詰めている。


 彼を駆り立てているのは、神への信仰ではない。

 部下と同僚と、恐らくは友人をも奪った魔女への、強烈な復讐心だ。


 狂信者という皮を被った、復讐者なのだ。


 だが、アンソニーにモルガナは殺させない。

 だって、殺すのは、私なのだから。


 私は、魔女モルガナに愛する弟と、そして私自身を殺されたのだ。


 だから、私がこの手で殺すために----メリッサ、貴女を守るしかない。

 復讐の機会を窺いながらその方法を探さなくてはならない。


「メリッサ……貴方の事は私が守る……だから、大丈夫よ」


 黒髪の少女は、心から安堵した表情になって、笑った。


 私は漸く思い出す。


 この子は、メリッサは----私の幼い頃に、生き写しなのだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ