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その日

「吹き飛ばしたって、どういう事? 『モルガナの世界』ってなんなのよ……!?」


 とても重要な話を聞いているはずなのに、何も理解できないという焦燥が、私の声を荒げさせる。


「魔女は右半球の脳波に特異性を持つ、という説明はさっきしたな? その脳波を直接相手に伝えるか、不可聴音として相手に聞かせるか、個体によって『術』の使い方はそれぞれだ」

「……モルガナの『術』は、どれなの?」


 タワーの低い唸りが聞こえる。

 これは、私に聞こえていて大丈夫な音なのだろうか。


「モルガナは、全ての『術』が使える」


 驚きは、不穏な脈動を伴いながらも、得心へとその色を変えていく。

 ヒリ付くような喉の渇きを覚えながら、私はアンソニーの次の言葉を待った。

 

「ただし、アレの威力は桁違いだった……研究員達の脳を『歌』を聞かせる事で、指一本触れる事なく壊したんだ」


 脳を壊す。

 その一言に、今更ながらに私は震撼した。


 人間が人間として生きるために必要な器官。

 『霊気』いや、『脳波』によって精神活動を行っている、いわば----その者の『世界』のみなもとである部分。


 それを、モルガナはいともあっさり破壊したというのだ。


「ラボは感染症対策の方は万全だった。エアロックに二重ドア……外部との隔離はとにかく完璧だったよ。

病原菌等安全管理規定と細則だけで新約聖書並みの分厚さがあったし、まあ、そうだな……どこかで安心してたんだろう」


 その後アンソニーは語った。

 その日ラボで何が起きたのか。

 研究員達がどうなったのか。


 私は、しばらく口を利けなかった----。


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