問い
私のこの見えない目にも、見える。
波打つ金髪と、深い緑の瞳を持つ魔女が、すぐそこに立っている。
魔女モルガナが、私の前に再び立っている----。
そう、私の、待ち続けていたあの魔女が----。
(……見える!)
どくん、と心臓が跳ねた。
長い間暗闇しか映していなかった私の瞳は、ぼんやりとした影を認識する。
幻にも思えそうなほどに曖昧なその影は、だが幻ではなかった。
影は次第にはっきりとした輪郭を伴い、ランプの灯の中に浮かび上がって来る。
----だが、そこで響いたのは、幼い少女の不思議そうな声だった。
「えぇ……と……誰、この人……?」
立っていたのは、見知らぬ少女。
黒髪で、黒い瞳。
「……あなた、誰?」
シンプルな白いワンピースを着た少女が、私の顔を覗き込む。
「もしかして……あなたが、魔女なの?」
薄明かりの中、首を傾げたせいで、艶を浮かべた髪が、さらさらさら、と音を立てた。
笑っている風でもなく、困っている風でもなく、ただ純粋に、問うているだけの表情で、少女は私を見ている。
まだ十歳にはなっていないだろう。
背丈は私の半分くらいだろうか。
華奢すぎる四肢は、この黴臭い地下室には全くそぐわない。
そう、『女王』と呼ぶにはあまりにも無垢な出で立ちだった。
淀んだ空気を吸うには平らすぎる胸も、真珠のように小さな歯も、何もかもが私の記憶の中の彼女からかけ離れている。
何もかも----。
「ねぇ、あなたは魔女なの……?」
少女は、私に問うた。




