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指令

「説明して」

 脳裏に滲んだ忌まわしい光景を振り払おうと、私は努めて押し殺した声を出す。

 

「これが何なのか、今、外で何が起きているのか……貴方は棟梁として私に説明する義務があるわ」

「はッ、義務ときたか……魔女風情がそんな口を利けるようになるとはな」


 声しか聞こえていないのに、司祭枢機卿の口元が歪むのが目に浮かぶようだ。

 この数十年で人間の技術は随分と進歩したものだ、と、場違いな感慨すら覚えてしまう。


「飼い殺しにするはずだった私の目を治して、この子を連れて来たのは、何故……?」

 

 実のところ、もう分かってはいる。


 法王庁は私を再び使おうとしているのだ。


 ベルリンでの極秘作戦で壊滅した魔女部隊の唯一の生き残りの私と、

 死亡したはずの魔女モルガナから作られた少女を、法王庁は再び地上に、温室という名の檻から人間界に放とうとしているのだ----。


「お前ももう分かっているはずだ……そうだ、お前達に仕事だ」


 黒い装置を抱えたままのメリッサは、目をパチパチさせただけだ。

 重くて仕方ないから早くどこかに降ろしたいとでも言いたげに、頬を僅かに膨らませている。


「魔女が振るう法王の剣による教義の守護……それを行う時が、再び訪れたのだ」


 司祭枢機卿の言葉に、振り払ったはずの忌まわしい光景が再び、今度は鮮明に、浮かび上がった----。

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