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人ではない者

 法王庁の地下に収容されていた魔女は、その外見も、能力も、全て異なっていた。


 だが、一つだけ共通点があった。

 それは、死なない、という事だ。


 時代や地域で差はあるものの、魔女という疑いで捕らえられた者は裁判という名の私刑に掛けられた。


『人ではない者』に対して、人は驚くほどの残忍さを発揮できる。

 その残忍さの見本市のような行為の数々は、私なんかに聞くよりも、それこそアンソニーのような庭師にでも聞けば、幾らでも列挙してくれそうだ。


 魔女裁判でよく挙げられるのが火刑だが、実はそれに至る前の拷問で既に多くの者が命を落としている。

 もっとも、焼けた釘を爪の間に打つ、万力で指を締め上げるといったものはともかく、逆さ吊りにして水に浸けるなどというのは、絶命を前提にしたようなものだ。

 これらの苛烈な拷問を繰り返されれば、どんなに気丈な者でも気力は尽き、体力は奪われ、そのほとんどが弁明も許されずに魔女として死んでいく。


 それでは、その拷問を耐え抜きさえすれば、自分が魔女ではないという事を証明できるのだろうか?

 答えは、否だ。


 証明などできる訳もない。

 誰もしてはくれない。


 魔女を救う者など、誰もいない。

 

 一通りの拷問を受け、息も絶え絶えの女を見下ろした異端審問官は、高らかに宣告するのだ。


 勿論、結論は始めから決まっている。


 『人であれば絶命しているはずの拷問を耐えた者は、人ではない……すなわち魔女である』と----。

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