転生女子高生、夏マツり前編
りーあは服装に悩んでなやんで、短いスカートにショートパンツの組み合わせと、上は半袖に長袖シャツを組み合わせたのを決めたのが、昨日の夜のこと。
今日は、学園の近所で、おこなわれる市内の夏祭りだ。
夕方から本格的に始まるため、午前中は少しでかけるだけにして、夕方ごろに、くみさんと、とおやくん、ななちと待ち合わせだ。
いつものようにりーあは、妖精ノートの新しめな妖精の記憶三十三年分を読み込み、魔法スキルや転生魔法について思いだそうとする。
そのあとは、午前中をかけてでかけることにする。
借りている自転車のカギを持って、空の寮の部屋に
「いってきます」
声をかけてからでる。
管理人室により、管理人に話しかける。
「お昼食べてくるね」
「わかった。気をつけてね。
いってらっしゃい」
とめてある自転車にのってでる。
今日は土曜日で、部活もなしである。
近くの神社で自転車をとめて、
お賽銭を投げて、あいさつをする。
すませて、神社をでると猫と出会った。
今日は朝からいい日だ。
自転車で、ショッピングセンターにつくと、まだお昼前だ。
けれど、混む前にすませてしまおうと、お昼にMzバーガーに入る。
メニューをテリヤキとホットのラテを注文して、待っていると、すぐにできたてがだされて、呼ばれる。
カウンターの席にひとりでついて、早めのお昼を食べはじめる。
まだ時間は十一時だ。
一時間ほど、お昼を食べて、スマホをみて過ごし、店内をでることにする。
次に向かうのはCDショップとゲームコーナーだ。
妖精333年生きて、ひとの音楽にもたくさん触れてきた。
しかし、ひとの流行りにはなかなかのれなかった。
いまも置いてきぼり状態だが、つい先日もりーあは、くみさんとの話しで、音楽がついていけない、という話しになり、少し悔しかったので、CDショップをぐるぐるして、いまどきの曲の勉強だ。
店頭には、キラメキや夏めく祭り、オレンジ、などの曲がならび、BGMも華やかだ。
いま気になっているのは、ブラックベリーの曲、夏めく祭りやIDoが歌う、歌いダンスなどがある。
ためしに視聴できいてみるが、やはりいい曲だ。
いまは目をつけるだけにして、後日買いにこようか。
次にゲームコーナーに向かう。
ダンスマシーンやシューティング、プリティインといった写真がとれるやつ、など、色んな機械が並んでいる。
両替機で、細かく両替したあと、クレーンゲームで遊んでみたり、シューティングをしたりと、少し試してみる。
そのあと、自販機で飲みものを買い屋上にでる。
屋上にある手すりによりかかり、飲みものを飲んでいるとき、ふと妖精時代のことがよみがえる。
妖精ノートに日々かきこみされる時間行動を把握しながら、調整を繰り返し、魔法によりさまざまな場所にいった。
魔法もたくさん覚えていたが、平穏な時代になると、攻撃より回復をメインに使っていた。
300年経ち後半三十三年では、転生魔法の修行をしていた。
転生魔法は、かなり便利な魔法だが、その分覚えておくことも多い。
以前には花に転生魔法を使ったが、
その花は三十年生きて、妖精の花と呼ばれ、いくつもの花がひらいた。
いまも妖精ノートは、その妖精の花のインクが使われる。
妖精の花は転生して、妖精になった。
飲みものを飲み終えて、ゴミ箱にそれを収めると、
今度は洋服をみて周った。
そのあと、雑貨屋さんをみてまわり、
ぐるぐるして疲れてきたころに、二階吹き抜けの近くにあるベンチに座って一休みする。
子どもが、走ってきて、吹き抜けから下をみて、楽しそうにしている。
ふと、眠くなってしまい、その場で目をつむっていると、うたた寝をしていたようだ。
なにか夢を見たような、そんな気がする。
ふと気づくと、誰か隣にいた。
誰だろうと思ってみると、演劇部のみゆさんだった。
「おはよー」
みゆさんが声をかけてくれる。
「びっくりした! みゆさんいつからいたの?」
「十分前くらいだよ」
「そうなんだ。起こしてくれてよかったのに」
「なんか気持ちよさそうだったから」
時計デバイスをみると、十五時だった。
「みゆさんは、今日の夏祭りに参加するの?」
「わたしはパスかなぁ。昼間ブラブラして、帰るよ」
「そうなんだ。
ねえ、みゆさんは、なんで演劇部に入ったの?」
「めぐやんとえみさんに誘われたからかなぁ」
「いま音響も手伝ってるけど、裏方楽しいね」
「そうなんだ。照明もけっこう楽しいよ」
しかし、みゆさんの表情は少しつかれて見える。
思わず肩に触れて、預言者レポートをつかってみる。
みゆさんがひとりで駅前を散歩している風景と、
学園の高い場所にたち、不安定な場所で誰かと話している、という魔法視だった。
「どうしたの?」
「ううん、なんでもない」
こうは言ってみるが、このみゆさんは、未来が不安定らしい。
預言者レポートの魔法視がゆらいでいて、確定されていかない。
また、別の機会に使ってみるしかないだろうか。
しかし、とおやくんも、このみゆさんも、危ないめにあうことはわかる。
「これから、もう少し時間あるから、少し一緒にいかない?」
試しにそうみゆさんにきくと、
「じゃ、一時間くらいだけね」
とオッケーしてくれた。
二人でゲームセンターにいき、プリティインで、写真をとったり、シューティングゲームで遊ぶ。
クレーンゲームでは、人気のゲームキャラクターぬいぐるみを狙ってみるが、なかなかとれない。
みゆさんが三度めでゲットする。
本屋に少しより、おすすめのライトノベルや漫画を教えてもらって、またベンチのところに戻ってきた。
「そろそろかなぁ。
楽しかった、りーあさんありがとー」
「いいえ、わたしも、楽しめたよ」
こうして、みゆさんとはわかれた。
十六時半くらいまで、またショッピングセンターをウロウロしてから、外にでて、自転車のところに、戻った。