魔法使い女子高生として転生して恋に落ちた
「じゃ、ゆっくりしてね」
わたしは、玄関をでて、扉をしめた。
鍵は、リリアに預けてある。
「リリアとリンヤ、ここでの生活に、慣れてくるといいけど」
りりあは、ひとり夕方の道を歩く。
もう十二月にもなると、この時間で暗い。
「クラゲも二体いるし、あとで一回取りにこないとなぁ」
わたしは、両手に荷物をもって、電灯のあるところまで歩き、とまると荷物をおろして、くみさんにスマホで電話する。
「あ、くみさん……うん、そう」
「荷物あるよね。迎えにいこっか?」
「ふふっ。平気よ。くみさんの部屋近いし」
「わかったわ。待ってるりーあ」
続いてわたしは、
メッセージアプリをひらいて、
ななちととおやくんに、短めに送る。
「よし」
ななちには、もう一度詳しく話すから、と、とおやくんには、話したいことあるから。
すぐに返信がくると、
"りりあさん、はやく会いたい"
わたしは、思わず笑って、追加ですぐに送る。
"さっき、会ったよ。とおやくん、どうしたの"
また荷物を持って、わたしは歩きだす。
くみさんの家につくと、すぐにくみさんが、でてくれた。
「さ、今日から共同生活しよ、りーあ」
「ありがとう」
くみさんに、荷物を渡すと、一階の奥の部屋まで、荷物を運んでくれる。
「クラゲは?」
「あとで、取りにいくよ」
「わかった」
すると、すぐにくみさんの家の呼び鈴がなる。
「あ、りーあでて、お願い」
わたしは、この一瞬で想い出を呼び起こす。
あぁ、妖精三百年もいろいろあったけど、転生して学園にきてから、ホント大変だった。
でも、あの転落したときに、伝えそびれたことを今度は伝えないとね。
預言者レポートが、瞬間だけみえて、
そして、わたしは扉をあける。
とおやくんが、そこにいる。
わたしは、なぜだか、涙がでてくる。
「おかえり!」
「えっ、うん。ただいま」
「くみさんの家だけどね」
「そうだね」
わたしは、とおやくんの手を引くと、
そのまま抱きしめる。
「どうしたの?」
「うん。寂しかった」
「そっか」
「りりあさんは、記憶」
「うん、大丈夫。あなたの運命のスキル、わたしに書き換えは、効かないから」
「うん」
「ねぇ!」
「なに」
「ねぇねぇ!!」
「なに」
わたしは、あなたの前だと、
途端にウザいひとになる。
わたしは、あなたの前だと、
わがままだ。
「リンヤ、うまくいってよかった」
「りりあさんのおかげ」
「みんな、いたから」
「うん」
そのままの姿勢で、あなたはうなづく。
「りょうくんに、ぬいぐるみもらった」
「そっか」
「さちさん、なんか好きなひといるのかな?」
「うん」
頭をなでてくれる。
嬉しい。
「ねぇ」
「うん」
「わたし、貴方のことが好き」
「うん。知ってる」
わたしは、真っ赤になる。
身体が熱い。
「しられて……た」
「あんなに、嬉しそうにするからだよ」
くっ、わたしいつの日のこと。
「あの」
「うん」
抱きしめたまま、
あなたの眼をみつめていて、もう顔が間近にある。
「りーあ、だれだった?」
同時にななちもくる。
「くみさん、きたよ!」
慌てて、離れたけど、少しおそかった。
「ねぇ、いまりーあとイチャついてたでしょ!?」
わたしは、真っ赤にしながら、
なにかいいわけをして、
その間、あなたは笑顔でにこにこしていて、ずるいなぁ、そこで、笑うのずるいよ。
くみさんが、散々文句言ったあと、
ななちが、それをなぐさめて、
わたしは、顔をかくして、
あなただけは、知ってるよって、笑ってる。
「もう、知らないから!」
「りーあ、なにがあったの!?」
「くみ、まぁ、ゆっくり聴こうよ」
わたしの好きなひとは、ずるいひと。
翌日。
リリアとリンヤは、探検してくる、
と言って、朝からデートにいった。
わたしは、学園にいつもの通りに、授業を受けにいったあと、夕方にクラゲの水槽のおおきいのと、だいぶ使いこんだ靴を買いにいく。
朝はくみさんの家からスタートなため、くみさんも一緒で、帰りも一緒だ。
ななちは、トレーニングしてから、合流すると言っていた。
さちさんが、駅までくるからと、
とおやくんに言うと、じゃ一緒にいこうと、くみさん、とおやくんと一緒に、部活帰りに歩く。
「もう、暗いね。さちさん、心配してるかな」
「駅は、使いなれてるみたいだけど、さちさんは、混雑のほうが苦手かもね」
三人で、歩き駅につくと、
さちさんが見つけてでてきた。
「りあに、くみ、それに、えと」
「とおやです」
「あー、りあによく聴いてるよ」
「そっかぁ」
さちさんは、青いワンピースで、少しスカート丈が短い。
「ななちは」
「うん。もうすぐくるよ」
「そっか、自主トレもしてるんだね」
「陸上、三年生になったら、忙しいからね」
「じゃ、いこ」
「うん」
駅から、今度はショッピングセンターに向かう。
途中の白バラ園で、ななちが合流した。
「おまたせ、あ、さちさんも」
「ななち、久しぶりね」
「うん」
「お疲れさま!」
「ありがとう」
五人で、歩きだす。
さちさんには、なんとなくで、魔法のことを伝えてある。
「リンヤたちは、いまごろ水族館かな」
「それか、カラオケ」
「いいなぁ」
「りーあはさ」
「うん」
「ちょっとまって」
くみさんが、間にはいる。
「いつから、りーあ呼びになったの?」
「えっ」
「いいじゃん。くみさん」
「よくない。りーあは、わたしの恋人なんだから!」
「彼氏は、ななちでしょ」
わたしが言うと
さちさんが、ななちの腕をとって言う。
「くみは、ななちの彼氏だけど、浮気者だね!」
「うん。まぁ」
「ねぇ、りーあ」
「なに?」
「もう一回、聴かせてよ」
「いやよ」
「だから、二人なんのこと!?」
すると、あなたは、見せてくれる。
「もう。わかった! "わたし"」
おそろいのうさぎのぬいぐるみ。
わたしもぬいぐるみを持ちあげる。
"わたし、魔法使い女子高生として転生して恋に落ちた"
あとがきまで、お読みくださり
ありがとうございます。
本来は、あまり作品解説は、しないのですが、いくつか、この作品連載をする上で、
わたし自身では、はじめておこなう工夫をしてみましたので、お伝えしてみます。
季節を揃えること。
できるだけ、投稿した時間の季節に"会う"ように、春なら春、夏には夏の風景で、主人公たちも過ごすように、進行しました。
そのため、最後の話しは、二○二三年の十二月という設定です。
もし、各、投稿時間すぐに読んでいただけていたら、あ、今日や昨日の天候や季節に近いな、と感じてもらえたかもしれません。
主人公たちがたくさんの場所にいく。
読者さまが、読んでいる環境、例えば、ゲームセンターのベンチだったり、どこかの休憩場所だったり、再現しているかのように、たくさんの場所にいき、たくさんの場所を描いてみました。
あとがき最後に、このストーリーをはじめるときに、部活を演劇部にしたのは、わたしが、学校時代に過ごした部活の時間が、いまでも大切なもので、そして、高校演劇が、ひとつのストーリーの軸になれるかもと思いついたからです。
妖精333年経って転生魔法を覚えたら
魔法使い女子高生として転生して恋に落ちた
あとがき、ありがとうございました。




