秋演劇大会23
「さぁ、みんな、全力で舞台を」
「楽しみましょう」
「レッツ、ここのはーー! ファイ!!」
と静かに、舞台裏で、気合いいれをして、
この舞台は幕をあけた。
"宝石まいのもう一度キスをする"
開演。
「ネネ姉さまは、いつもの通りバタバタしている」
「まい、この髪どうかな」
「服変じゃない」
「まって、やっぱりこっち」
「姉さま。もっと落ち着いて」
わたしは、ハラハラしながらも、
実はかわいいと想っている。
「まい、じゃ、でかけよっか」
姉さまは、アクセサリーとなっている
ダイアモンドのわたしを首にかける。
「よし。いこう」
姉さまは、気合いをいれて、玄関をでた。
悪魔ネネお姉さまは、仕事がない休みの日は、同じ悪魔のメディナナタリアと、ミレイと遊ぶ。
メディナナタリアは、光属性の悪魔であり転生者だ。
ミレイは美悪魔で、ネネ姉さまのことが一番の未来視悪魔だ。
「おまたせ」
「おはよ、ネネ」
「おはよ」
「おはよミレイにメディ」
今日は、ミレイとメディの買いものに、つきあうことになっている。
"おはよう、まい"
黒鉄鳥が、そばにやってくる。
"おはよう。黒鉄鳥の名前、教えてもらっても"
"そもそも、名前ないか"
"えっ、ないの"
"まいの好きなように"
"わかった、考える"
"悪魔中央図書館にいってきたよ、はい。新魔導書"
"ありがとう、重かったでしょ"
"問題ない"
ネネとミレイ、メディで、集合して、
行き場所を決める。
「まずは音楽ショップね」
「わかった」
ネネたちがショップに、入る前に、
黒鉄鳥は、翼をふってあいさつする。
音楽ショップでは、
ミレイは推しのライブ情報やチラシをみつけて、興奮していた。
メディは、Ydoや雷津玄師といったアーティストをチェックしている。
「メディは、なにか聴きたいのある?」
「どうだろ、前は聴いてた気はするけど、転生ショックからか、なかなか戻らない。アーティストはわかるかなぁ」
「このあたりは、ヒトの世界から持ってきたのもあるよ」
さきほど、メディがチェックしていた場所だ。
「雷津玄師、RISKY BACKかぁ」
「きいてみなよ!」
「視聴もできるの、ありがとう」
ミレイとメディが盛り上がるなか、
姉さまはシュンとしている。
寂しそうなのに、姉さまかわいい。
ミレイがにやにやしている。
単純に、音楽の話しができて嬉しいのだろう。
「うん。次は」
「闇病みのところ」
店内をぐるぐるして、
アイドルの闇病みファンタジーVのところで、姉さまは興奮している。
メディが恥ずかしそうなのは、
アイドルの衣装が、ところどころ破けていたり、はだけていたりするからだろう。
ひと通り探し終えると、
推しのアイドルの曲を姉さまが魔力交換で、購入する。
「あぁ、楽しかったぁ!」
「そうだね」
このあと、姉さまはカラオケにもいきたいようだったけど、メディは、もっと曲を覚えて、歌えるようにしてから、にしたいということになった。
「街なかで、ジーンズとスカートと、下着と」
「ミレイそんなにみるの?」
「ダメージジーンズと、緑ヤバジャン以外にもほしいの」
「じゃ、外で待ってるよ」
とメディが言うと
ミレイと姉さまは、一緒に買いものしたいから、とほぼ無理やりに、メディも店内を歩く。
メディが照れて、目線がよくわからないのは、ミレイと姉さまが下着売り場だからだ。
「えー、赤より黒だよ」
「わたしは、白もいいと思う」
「あ、の、少し向こういってるから」
「メディは下着、赤いのと白いのどっち」
「そうはじめから、メディにきけばよかった」
「ちょっとまって」
「メディ、どっちなの!?」
わたしは、そんな悪魔メディをみて、笑ってしまう。
姉さまとミレイは、こういうところがいいと想ってるんだなぁ。
「ぜったいからかってるだろ」
「「そんなことないよぅ」」
「ネネは、白いので、ミレイは赤いの、これでいい」
「きゃーー!! わたし、白なんだぁ」
いいなぁ
姉さまたち
わたしも小学生じゃまだ早いけど。
それでも、下着選んだり、こうやって
男の子ときゃっきゃしたい。
でも、
わたしは姉さまの首にかかる宝石。
ネネお姉さまのおかげで
いまのわたしだけど、
それでも、わたしにも、
夢はある。
まいは、
自身の異空間で
宝石ノートを拡げる。
"わたしって、なに"
宝石ノートに文字が浮かぶ。
"あっノートに描くって
こういうことなんだ"
(第二部)
転換
音響きっかけ
照明あと
暗転
みゆさんが、目を凝らしながら、
照明をつけるタイミングをうかがう。
音響が入るタイミングでのはず。
とおやくんは、台本片手に照明室で、確認している。
わたしは、いそがしく場面転換だ。
次の場面で音響の順番がややこしいところ。
ゆいさんは、今度はうまく切り替えてくれるはず。
明るくなると、板付きの役は、もうセリフがはじまる。
姉さまとメディが、家に帰ってきたのは、夜になってからだった。
買いものが多いからと、姉さまの部屋の近くまで、メディが運んでくれた。
「それじゃ」
「うん」
姉さまは、部屋にはいると
「はぁ。楽しかったぁ」
「あ、シャワー浴びるね、まい」
と言って、ベットのフックにわたしをかけて、バタバタと着替えを持って、
浴室にいってしまう。
"はーい。姉さま、ゆっくりね"
シャワーをしている間、わたしは異空間で、新魔導書を読むことにした。
黒鉄鳥が、わたしの空間に転送してくれた、新魔導書の表紙をみながら、
わたしが持っている宝石ノートをひらくようなイメージで、こちらも開いてみる。
「説明。そうね」
固有スキル、新規スキルなどの項目のあと、精霊種の説明の項目をみつける。
悪魔、天使、妖精などの身体を動かせる生命体のほかに、ものや水や空気などに、ある種の魔力が補充され、生命が存在するあやふやな幽体
魔力を高めたり、スキルを取得していくと、身体が創られる場合あり
真透明化という悪魔天使にもみつからないようにするスキルがある
黒鉄鳥たちは、悪魔種のなか精霊に近い存在
「そっかぁ。まだ解明できないこともあるのね」
シャワーが終わっただろうか
脱衣室で、姉さまの物音がきこえてくる。
「メモとらなくちゃ」
宝石ノートをひらいて、
描くことをイメージしていると、
自分の手で描いたような字が、ノートに浮かんできた。
ところどころ、ひらがななのは、漢字がわからないからだ。
「描くときは、ヒトの文字なのね。不思議」
姉さまが濡れた髪と羽を乾かしながら、戻ってきた。
「まいーー! 暑いよ」
「羽乾いたかな」
「喉乾いた」
"うっ、かわいいなぁ"
「はい、はい。まずはゆっくり乾かして、水とか飲んでね」
「まいーー!」
「はーい!」
(第三部)
暗転
場面転換
とおやくんと、亀さんは、スポットライトの準備をするようだ。
音響の入りは、よかったけど、
次の場面では、音響のきっかけがある。
ゆいさんの、音のきっかけを待ってから、
照明がつく。
バサっと、近くに鳥がくる。
ネネお姉さまの仕事の日は、黒鉄鳥のろろちゃんが、近くまできて、話しかけてくれる。
ろろちゃんは、姉さまやミレイ、メディにはみえていないようだ。
スキル、真透明化のおかげだろう。
魔力修行や新魔導書で、わからないところをろろちゃんにきくが、ろろちゃんもわからないときには、
悪魔中央図書館で、訊ねてきてくれる。
ある姉さまの仕事の日
死後のエネルギー体が、渋滞していた。
ビルの解体工事中の事故らしい。
姉さまやミレイのグループも
回収に集まったが、メディはほかのところらしく、あとから合流してくる。
わたしは聴く。
「ねぇ、ろろちゃん。あそこにいる羽が灰色や黒いかたたちは悪魔?」
「あのかたたちは、堕天使だね」
「堕天」
「回収のエネルギー体をもち帰ってしまったり、魔力に変換しようとしたり、天使のルールを破ると、なるんだよ」
説明をきいてるうちに、
堕天使と悪魔で、険悪な感じになり、
ケンカまで、はじまってしまう。
姉さまたちが、回収の手をとめていると、
基礎の攻撃魔法までつかっている。
「きゃっ」
「せんぱーい、よけて」
わたしは、自身のスキルから、反射と吸収をつかう。
前に、薄い透明な膜ができて、
いくつかは、反射し、あとは吸収する。
わたしは、ほっとする。
メディ班がおくれてやってきた。
「悪魔連中はふせろ」
「はい!!」
悪魔メディの光粒子が、拡がり、
堕天使たちは、あっという間に倒れていく。
「メディー!! きゃー! 悪魔イエー!!」
姉さまは、叫んでいた。
そのあと、メディ班は残っていた回収作業をはじめだす。
テキパキとはやい。
ろろちゃんが感心している。
「わぁ、かっこよきですね」
「メディたちがくると早いね」
「すぐにオフィサーになるよ」
"わ、わたしだって、姉さまの役に立つんだからね!"
後輩悪魔たちも合流し、
ミレイは、笑顔で受け答えをしていた。
(第四部)
暗転
メディのスポットはうまくいった。
とおやくんや亀さんが、上手だった。
あとは、最後の話しになる。
わたしも気合いをいれる。
「悪魔ミレイの名は」
「悪魔メディナナタリアの名に」
「契約を結びいかなる想いも貴方とともにあれ」
ミレイとメディの額と腹部に、陣が浮かびあがり、音とともに、
悪魔ノートにも契約の陣が、形とられ、
契約済みという模様が浮かんだ。
「これからは、精神誠意、どんな命令でもこなして魅せるわ。覚悟してね。主悪魔メディナナタリア」
「ありがとう」
少しの暗転がはいる。
変わるとそこは、図書館の風景だ。
姉さまは、この何日間かは、仕事の日は、聞き込みや訪ねまわりをして、休みの日には、悪魔中央図書館まできていた。
目的は、異界ドラゴンに依頼された、転生適正者を探すこと。
「リンヤってさ」
「うん」
ミレイがたずねる。
「転生者を探してたのかな、それとも、旅好きかな」
「うーん。悪魔からみたら、妖精って長生きの割に、よくわからないからね」
「たしかに」
「あ、でも、リンヤ美形だね。赤っぽい髪で、眼が少し暗いのに、全体やさしそう」
「ミレイ、なんかメディと比べてない」
「うーん。わたしは、メディのあの目つきいいんだよね。格好もいいけど、なんか、色いろ、わたしにやってほしい」
「えっ!」
「なんか、ほら、手とり足とり」
「なに考えてるの、ミレイ!」
「ふふふっ。ネネ嫉妬だね」
「じゃない」
「そうなの。ふふっ」
足音がして、振り返ると、メディが近くまで来ていた。
「おはよう。ネネ、ミレイ。なにか盛り上がってるね」
「な、な、なんでもない、です」
「そうよ。ちっとも、えっちぃこととか、考えてないからね。ネネが」
「えぇ! わたしじゃないでしょ!」
「そっかぁ」
「そっか、じゃないよ」
メディが、少し眠たそうに笑う。
「それで」
メディが何か言いかけると、すぐ側に、
司書のルルファイスが来ていた。
「あ、ルルファイス、おはよ」
すると、ルルファイスは、あいさつなしに、何ごともないような風で、魔法を使った。
メディ、ネネ、ミレイの周囲に、光の粒でできたような輪ができて、包みこむ。
パンと弾けると、もう魔法の光の粒子は消えていた。
「え、ルルファイス、いまの何!?」
ネネがきく。
「悪魔の転生魔法だよ。これでしょ。あなたたちが探していたのは」
ようやく姉さまが聴く。
「なぜ、わたしたちに」
「適正者を探してくれてるんでしょ。そのお礼かな」
「う、うん」
「もしかして、リンヤの詩がヒントになってくるかも」
「わかったわ」
図書館の蔵書を探しまわると、
気になる、リンヤの詩を発見した。
「これ」
「うん」
リンヤの詩の通りに、図書館を探しまわると、そこには秘密の入り口がみつかり、その先には、
「貴方が、ヒイロなの」
「うん」
転生適正者のヒイロがそこにいた。
(第五部)
暗転
まいは、この朝、早くに目が覚めた。
通常は、ネネお姉さまが、起きてバタバタしている最中に、起きて、聴こえていないだろう、「おはよう」を言うのだが、まだ姉さまは、目を覚ましていない。
でも、あれ、と想う。
昨日の夜にメディが泊まりにきていて、姉さまとイチャイチャしていて、それから寝たはずだ。
「そうよ、姉さまとえっちぃことは、していなかったわ。それは確認済み」
おくれて、動きだした姉さま。
机のところにいくと、
メディからの書き置きがあったらしい。
「おはよ。まい。メディ先に帰るって。ちょっと残念ね」
「でも、朝食はあるみたい、ゆっくり食べよ」
姉さまは、朝食をすませて、シャワーを浴びて、でてきて、普段の仕事の準備をしていると、
「あれ、どこいったかな」
「ねぇ、まいは、みてない」
なにか探しているようだ。
「おかしいわ。悪魔ノート、たしかに昨日公園で使ったのに」
「そのあと、バックにしまって、メディと一緒で」
しばらく部屋のなかを歩きまわったあと、
急に姉さまは、支度を一気にすませて、すぐにわたしを首にかけて、走りだす。
「メディ」
「どうしたの、姉さま」
少しの暗転
姉さまが、悪魔中央教会につくと、
上空でミレイと合流した。
そして、離れた位置、ビルの屋上でメディと別の悪魔が、争っていた。
「ねぇ、ミレイ、あの悪魔が持っているのって」
「そう! ビルに保管されていたブルーの高魔力結晶だわ」
するとミレイが叫んでいる。
「だめ、間に合わない」
「えっ」
「未来視で、もう」
次の瞬間、メディが高魔力結晶を抱えて、
相手の悪魔がそれにめがけて、魔法を放った。
結晶が弾けて、魔力が渦を巻く。
「メディーー!」
一瞬、悪魔メディナナタリアと、目があった気がした。
笑っていた。
メディナナタリアともう一悪魔は、膨大な魔力渦に巻きこまれて、消えていく。
「メディ」
「いやぁぁぁぁ」
魔力結晶の欠片がきらめく。
何名かの集まってきていた悪魔たちが、教えてくれた。
ビルに保管されていた四つある魔力結晶のひとつが強奪され、それを使って、ここの中央教会を攻撃しようとしていたらしい。
それをメディナナタリアが、なせだか事前に察知したらしく、それを取り返そうと争ったらしいと。
「メディ。メディ、いなくなっちゃった」
「ネネ」
「もう、もうわたし、どうすればいいの」
ミレイが、地上まで降ろしてくれる。
「ネネ」
「メディ、わたし、わたしが、もっと早くに動きだせれば、助けられたかなぁ」
「ねぇ、きいて」
「ミレイ! ミレイは、寂しくないの。もう会えないんだよ。メディ」
すると、ミレイは、姉さまの耳元で、ホントに小さい声でささやいた。
「えっ」
すると、ミレイはネネの足につけてあるトロピカルガンを奪い、少し距離をとる。
まだ騒がしくなっていて、後輩悪魔たちが集まる広場で、ミレイは、トロピカルガンを構えてたつ。
思わずネネは、腰につけてある魔改ナイフをとりだして構える。
「ミレイ?」
「ネネ、メディナナタリアに逢いたくないの」
「ミレイ、なにを言ってるの」
「主悪魔メディは、もう悪魔でないのよ」
「うん」
「それじゃ、わたしたちが追いかけなくちゃ」
「えっ」
「さようなら、悪魔ネネ」
「うん。理解った。ミレイ」
「愛するわたしの悪魔。うまく転生するのよ」
「貴女もね」
姉さまは、走りだし、ミレイにナイフを突き刺す。
同時に、ミレイはトロピカルガンレベル100を姉さまに向けて撃つ。
わたしは、少しでも姉さまの痛みを抑えようと、吸収を最大までつかう。
それでも、姉さまはふっとび、そのまま膨大な魔力をうけて、
姉さまの身体は、塵になっていく。
後輩悪魔のスズネが、なにか叫んでいたが、姉さまには、もうわからないだろう。
わたしも吸収しきれずに、砕けてしまう。
「ろろちゃん。ごめん。さようなら」
気づくと、わたしの異空間には、宝石ノートが浮かんでいるだけで、ほかはなにも見えない空間にいる。
宝石ノートの最後のページが開き、
文字が浮かんでいた。
まい、転生しますか
はい / いいえ
「はい!!」
(ここまで舞台)
拍手が起こり、幕が閉じていく。
講評のあと、発表が行われ、県大会、六位入賞だった。
とおやくんと、みゆさんと外にでてから
ハイタッチをして、ハグをした。




