部活新一年生歓迎会
歓迎会をひらくことになった。
新入生の入部記念だ。
三年生は忙しいらしく、二年生と一年生だけのものだ。
十人でカラオケにきたが、部屋は二手にわかれている。
行き来して、歌うのだ。
今年の演劇部、一年は三人で、
緑川 ゆい
零奈 あかね
五月風 涼
で、男子はひとりだけ。
去年までは、三年生の先輩が男子で、とおやくんとあわせて二人だったが、いまはとおやくんもいないため、このりょうくんが男子ひとりだ。
右がわのルームにりょうくんが入り、りりあもそのグループだ。
左がわには、あかねさんとゆいさんが入り、時間で二年生の三人がルームを入れ替えて歌う。
うまく馴染んでくれるだろうか。
えみさんと、黒さんが立案した作戦だ。
りりあ、黒さん、みゆさん、ゆーみ、りょうくんが右がわだ。
左がわは、えみさん、めぐやん、かめさん、あかねさんとゆいさんが入った。
りりあの部屋では、りょうくんに、再びの自己紹介をしてもらったあと、歌をいれていく。
自己紹介では、中学で何を頑張っていたかと、演劇部でのどういうのがやってみたいかを話してもらった。
りりあもあまり歌えるのが少ないが、また新しくくみさんに教えてもらったのを選曲する。
りょうくんが、なぜか端の席に座り、黒さんと、りりあ、みゆ、ゆーみと席に並ぶ。
黒さんが一番手で歌い、ニ番にりょうくんが歌う順番で、あとはバラバラで曲を入れましょう、と黒さんが順番を決めていく。
りょうくんは、黒さんが歌う間に、かなり迷っていたが、やがてバンドの少し懐かしい曲をいれて歌う。
もちろんりりあには、わからないのだが、他のメンバーは、盛り上がる。
りりあは、三番めにIts questionを選曲した。
Ydoの新曲で、MVをこの間みたのだ。
あまりうまくは歌えないが、りょうくんをはじめみんな拍手してくれる。
「あ、ありがとう」
みゆ、ゆーみと歌い終わり、それが二周したところで、メンバー交代で二年生のメンバーが、右と左のルームで入れ替わる。
バラバラと、飲みものをドリンクバーにとりにいったりして、交代したルームに入る。
今度は、りりあは左がわの部屋だ。
端の席二つに、あかねさんとゆいさんが座っている。
ここでも黒さんが、えみさんと打ち合わせた通りだろう、あかねさんとゆいさんに自己紹介をしてもらい、新一年生二人は、中学のできごとや素直な部活への期待を口にした。
歌を入れて、あかねさんとゆいさんが先に歌いだす。
あかねさんと、ゆいさんは一年生同士で仲良くなったようだ。
二人で一曲を歌ったり、ノリよく曲フリつけをしている。
りりあには、わからないのだが、みゆさんも一緒にフリつけているため、有名な曲なのだろう。
りりあは、四番なのだが、さっきと同じ歌ではいけないと、別の曲を考えていた。
YONEの雷電にしてみる。
みゆ、そしてまた一年生が歌うを繰り返し、頃合いに終わりの挨拶をする。
えみさんもやってきて、となりももうすぐ終わりだよ、と伝えてくれる。
ロビーに集まり、お会計をしていると、りょうくんが、りりあに話しかけてくる。
「りりあ先輩、ありがとうございました」
「いいえ、楽しめかなあ」
「ええ、はじめは緊張してたけど」
「よかった」
「音響やりたいんだけど、大丈夫ですか?」
「うん。他の担当のメンバーにも伝えておくよ」
「わかりました。
「それにしても、部活のメンバーさんは美人ばかりですね」
「そうかな」
「りりあ先輩もですよ」
「え、そ、そう? ありがとう」
「じゃ」
こうして、解散となる。
後日、廊下で会い、りょうくんに聴くと
「この前は楽しかったです」
「よかった」
「先輩とも、また遊びいけたらいいのに」
「ふふ、そうだね」
「他の二人も、緊張はしてたけど、よかったみたい」
「うん。よかった」
「二人は役者志望なので、お願いします」
「そっかぁ。照明はしばらくみゆと二人だなぁ」
「はい、お願いします」
「じゃ」
少し照明の部員も増えるかもと期待していたが、また新入生がくるまでは、みゆとりりあの二人で照明かもしれない。
それにしても、りょうくんは、ひと懐っこいらしく、積極的だ。
あかねさんと、ゆいさんとも、もう少し話ししていきたいな、と思うりりあだ。




