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りりあ春休み後編

 春休みも残り数日。

 くみさんと、ななちと休み期間、でかける約束をしていた。


 部活のめぐやんやえみさん、ゆーみにも声をかけてみたが、三人は別にでかける用があったらしい。



 くみさんがくる前に、ななちがきた。


「おまたせ」


 ななちは、ふだん通りの、ジーンズに長袖、上着には、まだ厚めのモコモコしたものを羽織っている。


 このところ、ななちの様子がおかしい。


 いや、わたしと接しているときには、

 やっほ、とか、このーとか言って、からかってきたり肩がぶつかったり、手でグーで合わせたりする。


 なのに、くみさんといるときは、なんだか、すごい不自然だ。


「おっはよ」


 くみさんがきた途端。


「あ、うん。おはよ」


 何故か、ななちは違うところをみるようにしている。

 くみさんは、シャツが薄着になり、スカートで、上着も少し薄いのになっている。


 でも、ななちはうろたえすぎだ。


「カラオケ楽しみ」

「うん、そうだね。でも、その前に買いものにつきあってね」

「わかってるよ」

「ねえ、ななちきいてる? なにかあった?」

「え、なにが?」

「だから、くみさんと、なにかあった?」

「えー、なにもないよ。変なの!」


 やっぱりあやしい。


「ねえ、くみさん」

「なに」

「買いものもいいけど、よりたいところあるの」



 三人して、図書館にいくことにした。


「なにか調べもの?」

「そう」

「手伝うよ」


 図書館につき、バラけて、本を探しまわる。

 わたしは、植物に関するものと、夢に関するもの、それとクラフト関係を探していた。


 ななちをちらりとみかけたが、小説や雑誌をみているらしく、とくに探しものはなかったらしい。


 こちらに、やってきて、


「あとはどういうの?」


 と聴いてくる。


「あとは、クラフトかなぁ」


 くみさんは、どの辺りだろう。

 みると、魔術、占星あたりをみているようだ。

 少し不思議な気がして、声をかける。


「ねえ、なにか見つけたの?」


 すると、慌てて


「ううん、何でもないよ」


 と言う。

 何かくみさん、少し変だ。

 わたしは、レンタルカードに借りるものを記入して、図書館の入口近くにいる司書さんに話しかける。

 無事借りられた。


 ななちが、


「クラフトに、夢かぁ」

「ななちはよかったの?」

「読んだことのある、真路(まじ)先生のだから、大丈夫」



 やはり、くみさんが少し変だ。

 実際、心あたりはいくつかあった。


 くみさんに話しかけても、聞いていなかったり、ときどき別の空を観ている。

 まるで、妖精の空を観るわたしのようだ。



 ショッピングセンターで、クラフトにつかう小物やセットを買いものした。

 喫茶店で休憩して、フラペチーノを三人して頼む。

 イスに座り、くみさんの様子をみていると、ななちは、少し心配そうに、わたしをみる。


「ちょっと、お手洗いにいってくるね」

「うん、わかった」


 女子トイレの手前で、ななちが、駆け寄ってきた。


「少しいい?」

「あ、少し待っててね」


 十分くらいで、戻るとまだ、ななちはそこにいた。


「ごめんね。待たせて」

「うん。なんか、くみさん変だよね」

「なんだろ。考え事してる、みたいな」

「病院のときは、普通だったよね」

「そうだよな」

「うん」

「カラオケのとき、さりげなく聴いてみるか」


 ななちと席に戻り、少し会話したあと、ゴミを捨てて、お店をでることにした。


「このあとカラオケだね」

「うん。たのしみ」

「何歌う?」

流行(はや)りのと、あと、アイドルかなぁ」

「そっか」


 近くのカラオケ店で、とりあえず二時間で入る。

 飲みものをドリンクバーに取りにいき、ルームに戻ると、ななち、くみさん、わたし、という席になった。

 ななちは、室内電話の近くだ。


 カラオケを始める前に、ななちが話す。


「退院おめでとう、りりあさん」

「ありがとう」

「くみさんも、たくさんお見舞い、大変お疲れさま」

「いいえ」

「じゃ、久しぶりのカラオケしましょ。いえーい!」

「ねえ、ちょっとななち無理してない?」

「大丈夫、大丈夫」


 とりあえず一曲ずつ入れてみて、それからは、自由に選曲する。

 ななちは、Jの曲に女性ボーカル曲、アニメと、幅が広い。

 くみさんは、流行りの恋愛ソングと、アイドル曲、あとはポップなのが多い。


 正直わたしは、すっかり流行りも前歌った曲も思い出せずに、この春休みで聴いたことのある、ヨネのネモンと感雷、それに、Ydoのキラキラ、などを選曲するので、あとはあまりわからない。


 くみさんは笑っているが、ななちは気になるのか、ときどき順番を間違えたり、マイクを落としたりした。


「休憩ー!」

「そうだね」


 わたしが、飲みものを追加しに、席をたち、戻ってくると、くみさんとななちが話しているところだった。


「なにー?」

「くみさんが、聴きたいことあるんだって」

「そうなの?」

「うん」


 なんだろう。


「カラオケ、おわってからでいいや」

「うん、わかった」


 気になるが、また曲を入れてみる。

 いつか、妖精のリンヤが話していた、ヒトの世界で、よく聴くよ、と言っていた曲だ。



 One Live Kiss


 願い叶うときあれば

 君ともう一度だけ話しさせて


 冷たくみえる

 あなたが好き


 裏にある

 そのやさしさを

 知っているから


 Last days Love


 みえない貴方を

 いまも追いかけて



 歌っているうちに、涙がでてくる。


「どうしたの、りーあ」

「うん、ごめん。想いだし泣き」

「そうなんだ」

「はい」

「ありがとう」


 くみさんに抱きしめられ、抱きかえす。

 ななちが、頭をポンとたたく。


「ななちも、今日ありがとう」

「うん、大丈夫」


 曲がおわり、ななちが、別の曲をいれた。

 くみさんも一緒に歌う。


 涙をふいて、わたしも一緒に歌ってみた。

 三人して笑う。

 室内電話がなり、ななちがでると、


「もう少しで、おわりだって」


 伝えてくれる。

 すると、くみさんが話しをしはじめた。


「実は、りーあに、聴こうと思ってたことあったの」

「なに」

「りーあ、魔法使いなんでしょ?」


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