契約魔法のおわりに
妖精リリア、百一年めから始まったコールドタイムを終えて、リリアは、妖精クイーンに会いにいった。
妖精クイーンは、リリアたちが暮らしていたビルのある街から、遠く離れた、魔法教会都市レミリア ルイス ルーレ トカーニリャの、最上層にある塔に住んでいる。
ワシックルとタカッチルに交代で乗せてもらい、丸三日かけて、この魔法都市にきた。
今回は、リンヤと一緒だ。
魔法都市は、地上、地下とさまざまに拡げた街で、迷路のようで、階層構造の街だ。
街の中心部分は、四つの塔で、最上層となる一番の塔の全面フロアが、クイーンの領域となり、研究施設や禁書、妖精の貯蔵庫、妖精ノートのデータセンターなど、多くの貴重品とデータと、秘密が隠されている。
塔の入り口から、上層部分に、登っていくリリアとリンヤ。
ワシックルとタカッチルは、外で待ってもらうことになった。
リリアは、すっかりリンヤと話すことが趣味のようになり、話しているうちに、どんどん登っていく。
上層七階にある種の貯蔵庫で、クイーンと会うことになっている。
クイーンと会うと、まずコールドリミテッドタイムの契約終了を報告して、そのあともってきた種を手渡す。
この妖精のタネからできる妖精の花から、できるインクで、妖精ノートがつくられると、クイーンが教えてくれた。
また、コールドリミテッドタイムを終えると、新しく役職がついたり、魔法の種類が増えたりすることも教えてくれた。
種を貯蔵庫にしまう。
「いずれ、この種を妖精の再会の丘に撒いてくるから、様子見でも訪れるといい」
「妖精の丘、ルーレ師匠がいるところですね」
「そうだ。ルーレ先生は元気だろうね」
「はい」
一時間ほど、貯蔵庫やデータセンター、喫茶室などで話しをして、クイーンとはわかれる。
そして、リンヤとは、この魔法教会都市でおわかれだ。
しばらくは、リンヤはこの都市で、活動して、音楽の導くまま、暮らしていくそうだ。
「リンヤ、あのコールドタイムの部屋はどうする?」
「リリア名義で、好きに使ってよ」
「わかった」
「ときどき、トケルンか、手紙で連絡するよ」
「わかった。でも、リンヤは気まぐれだからなぁ」
「ハハッ、うん、否定はしないけど、大丈夫。リリアのことは、ずっと覚えてるよ」
「リリア、転生魔法使いは、きっと重要な役割だよ。みんなの生きる導く者になってね」
「そんなの、なってみなきゃ、わからないよ」
「預言者レポート、で代わりに観られたらいいのになぁ」
「預言者レポートは、固有スキルだから、リンヤにも、スキル登録はできないよ」
「そう。でも、運命のスキルは、コインを持つ者に、スキルの一部を分けることができる」
「そっか、それはまた特別だね」
「リンヤ、トケルンに、登録したコールドリミテッドタイム (改)は、気をつけて、使ってね」
「わかった。気をつけるよ」
「そういえば、なんかリンヤに話すこと、あったような」
「なに?」
「だめ。思い出せない。今度、連絡するね」
「わかった」
「リンヤ、ありがとう」
「リリア、ありがとう。郵便がんばって」
ワシックルに乗り、タカッチルと一緒に飛び、一周、街をとび、最後にリンヤの詩う声がきこえてきた。
タイトルは、たしか。
「転生魔法使い、預言の書にしたがいはしりだす、だったかな」
リリアは、そのあとも郵便室の作業や転送契約者たちとの会話、師匠との改めての修行など、転生魔法使いになるための条件をこなしていくため、慌ただしく過ごしていた。
ときおり、リンヤと凍結された五十年を思い出してみるときや、短い挨拶を送りあうことはあるが、リンヤとずっと過ごした日をゆっくりと回想することは、あまりなかった。




