↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
15/77

転生女子高生、夏休みのガッしゅく後編

 二日目の朝起きると、うっすら目を開けながら、りーあはボーッとしている。


 どうやら、夢をみていたようだ。

 妖精のときに、コールドタイムを経験して、しばらく同じ部屋で妖精仲間と過ごしていた。

 そのときにもトランプをしたが、たしか負けばかりだった気がする。

 そのときの夢だ。


 周りを見渡すと、まだ他の部活メンバーは寝ているようだ。

 起きたときに、周りにひとがいて、自分もそのなかのメンバーなのだと思うと、不思議な感じがする。

 起きあがりすぐそばにあるトケルンをみると、午前五時少し過ぎだ。

 あまりゆっくり寝た気がしないのは夢のせいなのかな。


「最近よく前の夢をみるなぁ」

「前って、いつころの夢なの?」


 びくっとして、隣をみると、みゆさんだ。


「なんだ起きてたの?」

「いま起きたところだよ」

「夢、そうだね、かなり昔のだよ」

「そうなんだ」


 周りに気を使って、静かな声で話している。


「ちょっと洗面いってくるね」

「はーい」



 洗面所にいき、少し顔を洗って、ついでに歯もみがいた。

 それから戻り、寮の部屋をうかがうと、みゆさんはまた寝たようだ。


 まだみんなの起床時間には早い。

 少しだけ、寮のなかを散歩する。

 テレビのある広間で、椅子に座って、


「ふぅ」


 ひといきつく。

 最近妖精時代の夢をよくみる。

 もしかしたら、転生しても記憶を呼び戻そうと、無意識に夢にでてくるのだろうか。

 コツンと音がして、振り返ると、とおやくんがいた。


「びっくりしたぁ。おはよ」

「おは」

「もう起きたの?」

「なんか話し声きこえた気がしたから、洗面にきたんだよ」

「そっかぁ。朝すぐに会うと変な感じだね」

「そうだよね。昨日は眠れた?」

「うーん、イマイチだね」

「そうか。自分もかもね」

「ね、変な感じ」

「そうだね」


 二人して、少し黙ってしまう。

 まだ、朝の眠気がある。

 ここで、テーブルで寝てしまおうか。


「ふぁ、もう一回寝てこようかな」

「そうしよっか」

「朝だけど、おやすみね」

「ふふ、おやすみー!」


 とおやくんは部屋に戻っていく。

 わたしも戻ろう。


 戻ってまた横になると、


「どう、とおやくんと話せた?」


 みゆさんが聴いてきた。


「もう、寝てたんじゃないの?」

「いや、気になってさ。もう寝るよ」

「おやすみね」




 次に起きたときには、六時少し過ぎていた。

 もう何人かは起きだしているようだ。

 色んなところで


「おはよう」


 と声が聞こえてくる。

 まだ微睡(まどろ)みたい気もするが、意識はクリアになっていく。

 ときどき、寝起きで魔法を言いそうになる。

 気をつけよう。


 以前は寝言で、魔法の練習をしていた時もあった。

 そんなことを考えていると、

 めぐやんとえみさんが話している声が聞こえてきた。


「おはー」

「よく寝られた?」

「誰か寝言言ってたよ」

「あ、りーあさん、おはー!」

「おはようございます」

「みゆさんは?」

「もう起きて支度してるみたいだよ」

「そっかぁ。早いね」

「みゆさん短いバイトもしてるみたい。昨日話してたよ」

「そうなんだ」

「わたしもアクセサリーとか販売してるんだよ」

「そうなんだ、あとで聴かせてね」

「うん、わかった」


 再び起きて、もう一度洗面と、それから朝の支度をすませていく。



 そのあと今日も朝の日課の通り、りーあは妖精ノートの一冊を読みはじめる。

 妖精333年のうち後ろの三十三年分を読むだけでも大変だ。


 このノートには、転生魔法の三十年分の修行中の話しや魔法の心得、魔法アクセサリーの創りかたや転生後のアドバイスなども描いてある。

 とくに転生魔法の心得かたと魔法アクセサリーの回は、けっこう読み返している。


 えみさんが興味深げに、りーあのノートをみている。


「それ日記?」

「そんな感じだよ」

「りーあさんマメなんだね。真面目」

「そうかなぁ」

「わたしは日記あまり続かないなぁ」

「記憶の頼(たよ)りにもなるし、

 それに客観的になれるんだよね」

「そうなんだ」


 そのうち朝ごはんの時間になった。

 朝ごはんは、教頭先生と副担当の先生が買い出しにいってくれた。

 帰ってくると、おにぎりやサンドイッチなどのコンビニ弁当をいれたマイバックと、ハンバーガー屋さんで買ってきたポテトなどを並べてくれる。


「ありがとうございます」

「どれがいいか、適当に振り分けて食べてね」

「わかりました」



 食堂となるテレビのある休憩室で、とおやくんやみゆさん、えみさんと並んで朝ごはんを食べる。

 わたしはサンドイッチと飲みものにした。


「それで、りーあさんはどんなの作ってるの?」


 朝の話しの続きだ。


「簡単なネックレスやペンダント、

 腕につけるアクセサリーとか、色いろだよ」

「そうなんだ」

「おまじないかけるから、その効果もつけて、販売してるんだ」

「そうなの?」

「じゃ、アルバイトみたいだね」

「そう、通販みたいなのや、店頭販売みたいなので、少しずつだけど、その資金で、生活用品買ったり、学園で必要なの揃えてるんだ」

「けっこう苦労してるね」

「ふふ、大丈夫。割と、楽しいから」

「みゆさんは、どんなの?」

「わたしは、休みの日のMsドーナツと雑貨屋さんだね」

「そうなんだ」

「夏休みも入れてるから、少し忙しいけどね」

「そうだよね。

 それで、早めに帰る日とかあるんだね」



 朝ごはんを食べ終えると、

 それぞれで着替えや部活をはじめる準備をしていく。


 早くも寮からでて、体育館に向かう先輩がたもいる。


 一年生メンバーは、少し寮の部屋を片付けしたり、掃除をしてからいくことにする。



 朝の体育館は、まだそれほど暑くはなっていない。

 体育館では、先輩がたは先に打ち合わせをしていた。

 まずは通常の練習の通りに筋トレと柔軟体操に、発声練習をする。

 りーあや一年生メンバーも並んで参加する。


 この頃になると、りーあもだいぶ声を出すことに慣れてきていた。

 特に一年生と打ち解けてきたことも要因にあるかもしれない。


 とおやくんはまだ眠そうにしている。

 えみさんやかめさんは、朝から元気そうだ



 今日のスケジュールでは、大会に向けた台本の読み合わせと、配役を本格的に決めていくらしい。


 夏休みに入る間際の部活時間、台本決めをおこなうことになり、その時に台本は決まった。




 夏休み間際の部活。


 黒さんが、


「一年生ちょっといい?」


 と聴いてきた。


「どうしたの?」

「ごめんなさい、台本のことなんだけど」

「はい」

「わたしは台本いくつか候補持ってきたけど、一年生では、他にどういうの集めてきたかな」


 とおやくんがいう。


「漫画や小説から少しセリフよさそうなの持ってきたよ」

「そうなんだ」


 みゆさんは、


「わたしも漫画かな」


 と言ってカバンから漫画本を見せてくれる。

 たなやんとめぐやんは、ネットで見つけてきたシナリオを少し印刷してきたらしい。


「りーあさんは何かあった?」

「ごめんなさい、まだ探しかたわからないから、みんなの見てみようと思ってまだなの」

「そう。そしたら、一年生同士でみたあと、どれが候補としてよさそうか、選らんでみてね」

「わかった」


 こうして、一年生が持ちよった、候補をみていくと、りーあも迷ってしまう。

 とおやくんは、漫画のよさそうなセリフを集めてきたらしく、ノートに書き込みされたものを見せてくれた。


 なかには、妖精、魔法、ネコとあり、


「これは何?」


 ときいてみると、


「オリジナルで少し書いてみてるんだよ。でも、まだ途中だよ」


 と教えてくれた。


「黒さんもオリジナルで書いているみたい」

「ほんとー、すごいね」

「わかった。わたしはとおやくんのがみてみたいな」

「いいの?」

「漫画のもおもしろいけど、

 妖精と魔法のには興味あるよ」

「そっか」


 発声練習がそれぞれでおわり、少し時間をあけたあと、舞台上にメンバーが集まった。


 部長が、


「脚本決めをしましょう」


 といって、みんなの持ちよった台本やら本、印刷を並べていく。

 三年生は、過去の先輩がたが演じた台本やそのリメイクをしたいらしく、

 二年生は、二年の先輩が描きあげた脚本をしたいらしい。

 一年生は持ちよったなかから、何がよさそうか、話ししてみる。


 メンバーに紙のきれはしを渡されて、


「この紙に第二候補まで、書いてね」


 と部長が言った。



 りーあは悩みながら、一番にとおやくんの書きかけの脚本、二番に二年生の脚本とした。


 脚本決めには、教頭先生も参加している。

 部長が書いた紙を集めて、まとめていく。

 結果、一番多かったのは、二年生が書きあげた脚本の候補らしい。

 部長と教頭先生が、サッと読んでみたあと、


「これで決まりでいい?」


 と確認している。

 一年生は、少し残念だけど、


「いいです」


 と答えると、三年生の先輩がたは、


「リメイク版台本のほうが、人数もでられるし、わかりやすい」


 と意見をする。

 これには、教頭先生も


「たしかに、二年生脚本は、少しわかりづらいかもしれないね」

「賛成が多いのは二年生脚本なため、これで決めたいのですが、もう一度決めますか?」


 と全員に再投票を提案した。


 再度紙を渡されて、りーあは二年生脚本を選ぶ。



 こうして、二年生脚本が最多になり、オリジナル脚本、奇妙な森に住む兄妹が幸福になる緑の翼をもつ鳥を探しにでかける旅のストーリーを大会で演じることに決まった。


 まばらに拍手が起こる。

 まだ三年生の先輩たちは、不満そうな感じが残る。



 このあと、ニ年生の脚本を一年生、二年生、三年生と一部ずつわたされ、それを読み合わせすることになった。

 間で、教頭先生は、


「この本だと、舞台セットを急ぎめで造らないといけないな」

「夏休みの間で、できるセットを造っていこう」

「舞台監督と演出は今日中に決めて下さい」


 次つぎと準備の指示がだされて、

 りーあもこれから本格的になるんだな、と実感してきた。

 とおやくんやみゆさんは、こまめにメモをとっている。

 脚本は後日みんなに配るらしく、合宿中は一年生は、いるメンバーでまわして読むことになる。




 こうして決まった台本を合宿の二日目、各自どの役をやりたいのか、候補をあげることになった。


 りーあととおや、それにみゆは照明を希望した。

 たなやんとめぐやんが音響を希望だ。

 黒さんは演出をしたいらしいが、先輩がたもいるため、希望を出しづらそうにしている。


 お昼過ぎて、暑くなってくると休憩になり、再び買いものしてくるメンバーは買い出しにいく。

 一年生は、教頭先生に頼んで、コンビニでいくつかのものを買ってきてくれるようにした。


 暑いさなか、体育館から寮に移動して、

 とおやくんやみゆさん、えみさんと雑談をしている。


「とおやくんとりーあさんは照明希望なの?」

「そうですね」

「そうなるかなぁ」

「みゆさんはどうする?」

「わたしも照明だなぁ」

「三人大丈夫かなぁ」

「たぶん問題ないとは思うよ」

「えみさんは、希望だすの?」

「兄妹のうち妹か、それか魔法つかいとかかなぁ」

「えみさん似合いそうだね?」

「そうかなぁ」


 りーあは、この前みた、えみさんの魔法視を思いだす。

 えみさんに軽くふれながら、預言者レポートを使用する。


 えみさんは駅にいて、

 何かのときにひとにぶつかる。

 倒れる。


 という魔法視だ。


「どうしたの? りーあさん」

「ううん、何でもないよ」


 やはり預言者レポートは変わっていないらしい。



 話している間に、買い出しがすんだらしく、教頭先生が昼食を持ってきてくれた。


「ありがとうございます」


 りーあはサンドイッチと菓子パンと、飲みものを手にとる。

 さっそく食べはじめると、


「食べ終わったら、また体育館に集合でよろしくね」

「わかりました」


 みんなで返事をする。



 このあと、また少しだけ雑談したあと、

 体育館にいき、午後の練習に参加する。

 暑くなってきた体育館のなか、照明室で、台本にチェックをいれている。

 照明希望のひとは、今日から照明の練習と、台本の書き込みをするように言われる。

 とおやと、りーあにみゆは、照明集合で、台本にチェックしていき、音響の入りそうなところもまとめておく。

 舞台上では、役希望をだしたひとが集まり、台本片手に読み合わせをしている。

 教頭先生も混じって読み、ときどき照明や音響の入りそうなところでは、照明さん、と声がかかる。


 そうしているうちに、十五時になり、今日の練習は終わりとなった。


 残りは、寮の片付けと掃除になる。



 たなやんやめぐやんと、りーあは部屋の掃除をしている。

 ときどき三年生の先輩たちが、台本のことや演出のことで、二年生と話しているのが聞こえてくる。


 たしかに、二年生たちと三年生たちには

 壁みたいな感じがみてとれて、りーあは少し苦しくなる。


 そういえば、めぐやんは、とおやくんが転落するときの場所に、いることになるのだと思いだす。

 めぐやんの預言が気になり、掃除の途中で、めぐやんの肩にふれて、預言者レポートをつかう。


 駅の階段だろうか。

 誰かと、ぶつかり

 そして、階段でふらつき

 そのまま階段を落ちていく。


 そんな魔法視だ。


 ハッとして、めぐやんを観る。


「どうしたの、りーあさん?」

「ううん、掃除、次はこっちも、手伝うよ」

「大丈夫、もう終わりだよ」

「そう、ごめんなさい」

「いいの、大丈夫だよ。どうしたの?」

「なんでもないよ。ありがとう」


 寮の片付けを終えて、十六時ごろに解散となり、二年生や三年生たちは荷物をもって帰り道をいく。


 一年生は、体育館に少しだけ残り、

 照明と音響、それにどの役につきたいのか、一年生同士話しあっていた。




 帰り道、りーあは寮までの道を自転車で帰る。

 えみさんとみゆさん他電車のひとたちに手をふって分かれると、とおやくんが寮の近くまで来てくれた。


「部活の合宿どうだった?」

「みんなと、特に一年生たちと話しできて嬉しかったよ」

「そっか、よかった」

「とおやくんはどう?」

「少し緊張していたけど、なんとかなったなぁ」

「そうなの?」

「いや、男子少ないから、気をつかうんだよね」

「そっか」

「じゃ、明日また学園でね」

「明日は登校日だから、朝またね」

「そうだね。変な感じ」

「そうなんだよね」

「じゃまた」

「はーい」


 りーあは管理人に、


「合宿から戻りました」


 と伝える。


「どう、楽しめたかな?」

「暑かったです。

 でも、一年生メンバーでたくさん話しできました」

「それはよかったね」

「部活頑張ってるね」

「はい、疲れたから、一度寝ますね」

「わかった。起こそうか?」

「いいえ、一時間くらいしたら買いものにでます」

「わかった」



 結局二時間寝てしまい、りーあは慌てて買いものをしてきて、夕飯を寮で食べて、この日は早くに寝た。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。