転生女子高生、花火タイかい前編
とおやくんからの花火は十九時から、というメッセージをスマホで確認する。
これで三回めだ。
それをみてから、寮の部屋をでる。
午前中から午後にかけては、演劇部の練習に参加していた。
演劇部でみゆさんと会うと、照明について話したいと言って、照明室にきてもらった。
「リリラリルム リミルレレルラ」
と魔法の詠唱をする。
みゆさんに転生魔法を使った。
この前の預言者レポートが気にかかり、使おうと決めていたのだ。
みゆさんは、驚いたようだ。
「何かの練習?」
と聴いてくれたので、
「海外の脚本とかにも興味があるんだ。
海外のおまじないなんだよね」
と伝えた。
そのあと、照明の聞きたいことについてたずねてみたりしていた。
そのあとには、上限オーバースキルで、今日の上限は1540まで上がっている。
これ以上は、あまり魔法は使わないと思うが、念のためとMSP回復しに寮に戻っていた。
そして、十九時にあわせて、少し早めに寮をでる。
管理人にあいさつをすると、
「花火楽しんでね」
といわれた。
レンタルの自転車にのり、待ち合わせのいつものショッピングセンターに向かう。
もう各家では、庭にバーベキューセットをだしたり、ベランダで椅子をだして話していたりと、通常の感じとは、かなり違い、特別な街並みになっている。
その街並みを自転車で通りすぎていく。
途中浴衣をきた女のひととすれ違ったりすると、
今日の格好はこれでよかったかな、と少し心配になる。
自転車ではしると、混んでいるもののまだ停め場所がある。
ショッピングセンターの駐輪場所に停める。
カギをかけてポケットにしまう。
今日の格好を改めてみる。
少し短い丈の白い色のワンピースだ。
歩くのは夕方だが、帽子もかぶってきた。
まずはショッピングセンターで休憩しようと、食品売り場で飲みものを二つ買った。
一つはいま飲む用のやつだ。
ひとがたくさんいるため、座るところはあきらめ、
ホールとなっている一角で、飲みものを飲む。
ゴミ箱に捨ててから、お手洗いによる。
そのあと、待ち合わせのゲームセンター前まで移動する。
時間は十八時半だ。
くみさんが、ゲームセンター前で、手をふって待ってくれていた。
くみさんは、ショートパンツにTシャツで、上着をきている。
メガネをかけているのはいつも通りだ。
「お待たせ」
「こんにちはー」
「とおやくんとななちは、ゲームセンターで遊んでるみたい」
「そうなんだ」
「あ、戻ってきたよ」
とおやくんとななちが近づいてきた。
手にはキャラクターの小さなぬいぐるみを二つ持っていた。
「こんにちはー。ひと多いね」
「そうだね」
「はい、これあげる」
「え、いいの?」
「いまななちと、とったやつ」
「ありがとー!」
さっそく持っているカバンにつけた。
くみさんももらって、嬉しそうだ。
「じゃ、いこうか。
花火十九時からだから、早めにいこう」
「わかった」
「飲みものどうする? わたしは買ってきたよ」
「そっかぁ。
歩きながら探そう。外でもあるかも」
「わかった」
四人して、エスカレーターで1階まで、おりて、ショッピングセンターをでる。
出てすぐに、飲みものの屋台があって、そこで三人分飲みものを買う。
ショッピングバックにいれながら、
歩いて、花火があがる近くまでいくことにする。
もう混雑していて、前を歩いていくひとたちを多少追い抜きながら歩いていく。
「とおやくん、足早いね」
「早めに向こう岸いって、屋台で何か買おうよ」
「わかった」
花火のあがるのは橋を渡って少し河川敷を歩いた先の会場だ。
橋のふきんにさしかかり、屋台が多くなってきた。
この辺りからは、もう歩行者天国になっている。
とおやくんとななちが飲みものを持ち、どんどん歩いていく。
くみさんとわたしは、少しおくれ気味だ。
慣れない靴を履いてきたせいか、少し足が痛い。
靴は昨日買ってきたばかりだから、履き慣れていない。
屋台の列をながめながら、ひとごみのなかを歩いていく。
予告花火がひとつ上がった。
パーンと川の上空ふきんでひとつひらくと、皆が驚いたように、そちらをみて、花火が始まることにワクワクしている。
ようやく橋を渡り終わると、
「何にする?」
と聴かれて
「お好み焼きとチョコバナナかなぁ。
たこ焼きも買おうよ」
「お面売ってたね」
みんなで話し始める。
まずお好み焼きに並び、次にはたこ焼きに並ぶ。
その間にななちはお面を二つ買ってきて、
とおやくんとななちはお面を横顔につけた。
チョコバナナを買って、四人して持っている袋がたくさんになったところで、花火が上がる。
ひとつ、二つ。
「うわー。すごーい!」
わたしとくみさんは思わず上がる空をみている。
またひとつ上がった。
立ち止まっていると、とおやくんが、
「もう少し先に公園あるから、そこで見よう」
といって歩きだす。
四人して、はぐれないように、ひとごみを歩き、十五分くらいいくと、小さな公園があった。




