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模擬戦

 専属護衛を選抜するべく、私は朝早くから騎士団の元へやってきていた。

 騎士団は人数が多いため、丸一日かけても専属護衛が決まるかどうか微妙だ。だいたい、信頼出来るかどうかなんてぱっとみじゃ分からないし、相性も分からない。しかも、みんな甲冑を着ているせいで顔も分からないし。大人数の中から数人を選び出すのは骨が折れそうだ。


「ルナディールは誰か候補はいるのか?あらかじめ決まっているのなら教えて欲しい」

 ちら、と騎士団員の訓練風景から私に視線を移し尋ねる義兄。私はすぐさまふるふると首を振り、

「騎士の皆さまにお知り合いはいませんから。言葉を交わしたことがあるのはライアンさんくらいでしょうか」

 と即答した。その言葉に、なるほどと頷いた義兄。それからまた訓練風景に目をやった。

「……にしても、本当に見ているだけで良いのか?実際に話さないと人間性が分からないぞ」

「良いのです。急に見学に来てしまったのです、わざわざ訓練の時間を割かせる訳にはいきません。騎士の皆さまは、この国を守るという立派な使命があるのですから。その訓練時間を私のせいで減らすことはしたくないのです」

 義兄の呟きにきっぱりとそう答えると、お前は優しいな、となぜかキラースマイルを放たれてしまった。不意にくらったキラースマイルになんとか耐えながら、私も笑い返す。


「あ、あのっ、ルナディール・ロディアーナさまっ!」

 不意に後ろから声がかけられ、私は義兄から視線を外し振り返る。するとそこには、見たことのない男性が二人、緊張した様子で突っ立っていた。

「えーと、どちら様でしょう……?」

 こてり、と首を傾げて問えば、

「俺、ムルクリタと言います!この前は危ない目に遭わせてしまった挙げ句、騎士団長に取り計らっていただき誠にありがとうございました!お陰で厳しい処分は免れました!」

「私はトヴェリアと申します。貴女様の寛大なお心に救われ、是非ともお礼を申し上げたく参上いたしました」

 ビシッと敬礼してハキハキとそう告げる二人。そこで、あっ、と小さく声が出た。

「なるほど、お二人はあの時の……」

 騎士団の訓練見学中に、うっかり死にそうになったことを思い出し、またブルッと身震いした私。あの時は二人とも甲冑を着ていたので分からなかったが、こんな顔をしていたのか。


 ふむふむ、と一人頷いていると。

「ルナディール、こいつらは知り合いか?危ない目に遭わせた、とはどういうことだ?」

 義兄が二人の騎士を睨み付けながら低く声を発したので、ビクリと身体が跳ねた。

 私が危うく死にそうになったことは、家族の誰にも言っていない。今さらバレて怒られるのも嫌だし、こんな風にピリついている義兄に下手なことは言えない。もしかしたらざっくりと二人が斬られてしまうかもしれない。


「いえ、なんてことはありませんわ。この間、騎士団の訓練を見学した際に、私が彼らにぶつかってしまいそうになっただけです。甲冑はとても硬いでしょう?ぶつかったら怪我をしてしまう恐れがありますから、それで危ない目に遭うところだった、という意味です」

 にこり、と笑って言うと、義兄は怪しむような顔をした後、そうなのか?と騎士二人に聞いた。聞かれた騎士は、一瞬固まり私の方を見たが、こくこくと頷いてくれた。

 ちゃんと話を合わせてくれたので、ホッと胸を撫で下ろす。ここで、いえ違います!と本当のことを言われれば、なぜ嘘をついたとさらに怒られてしまうからね。セーフセーフ。


「ところで、お二人は訓練をしないのですか?」

 話を変えるべく、軽い防具に身を包む二人にそう尋ねてみると。

「はい!今はチーム三の訓練時間でして、我々チーム六がグラウンドを使えるのは午後からとなっています。それまでは馬の世話をしたり、グラウンドの外を走り込んだり、部屋で筋トレや素振りしたりします」

 ムルクリタと名乗った紫色の髪の男性がハキハキと答え、そうなのですね、と私もグラウンドを見る。

 今どのチームが訓練しているか知らなかったけれど、チーム三だったみたいだ。


「あの、チーム二の訓練時間は分かりますか?」

 ふと、ライアンのことが頭によぎりそう尋ねると。今度はトヴェリアと名乗った薄い黄色の髪の男性が、私の質問に答えてくれた。

「チーム二はもう訓練を終えてしまいました。チーム一と二のグラウンド使用は朝早いのです」

「それは……どうしてなのですか?」

「強いからです」

 ここでもまた、強い、という理由で首を傾げる。


 強いから早朝訓練ってどういうことだ。というか、これでも結構朝早くから来たつもりなのに、もう訓練が終わってるとか……夜明けにでも訓練をしているのかな。


「ライアン様にご用でしょうか?お急ぎならばお呼びして参りますが」

 トヴェリアに尋ねられ、えっと目を丸くする。

「なぜライアンさんに用があると?」

「ライアン様が今、一番貴女様の専属護衛のスカウトを受ける可能性があると我々の中で噂が立っていますから」

「えっ、ライアンさんがわたくしの専属護衛に?」

 なぜそんなデマが、と驚くと。

「ライアンとは……確かチーム二のリーダーだったか?」

 義兄が何か呟き、考え込んでしまった。


「そんな、ライアンさんはチーム二のリーダーで偉い方ですよね?そのような方がわたくしの専属護衛だなんて勿体ないです。ただでさえお忙しそうですのに、わたくしに付き合わせることなど出来ませんわ」

 ふるふると首を振ると、二人とも驚いたように目を丸くした。

「失礼ながら、そのようなことはないかと。我々は皆、誰が貴女様の専属護衛になれるか競っている身。貴女様の素晴らしいお噂はかねがね伺っておりますので、スカウトされたらどのような方でも快諾するかと存じます」

 トヴェリアの言葉に、私はまた目を丸くする。


 王族に名前が覚えて貰えるかも、という理由で専属護衛を志願する人は多いと聞いていたけど、ここでもまた私の噂が。

 一体どんな嘘情報が流れているのだろう。期待されすぎて実物にガッカリされるのは嫌だよ。


「俺もルナディール・ロディアーナ様の専属護衛に強く志願しています!良ければ俺の名前だけでもどうか覚えていてくださいませんかっ!」

 トヴェリアに続いて、前のめりにそう言うムルクリタ。

「おいムルクリタ、慎め!私たちのようなチーム六の下っ端が専属護衛になんて選ばれるわけないだろう!」

 すかさずツッコむトヴェリアに、二人は仲が良いのだなと微笑ましく思った。


「お二人は仲がよろしいのですね。確か、一緒にペアを組んでいましたよね」

 前の訓練を思い出しながら言うと、ムルクリタとトヴェリアは互いに顔を合わせ、肩を竦めた。

「俺たち、実は平民の出なんですよ。憧れた騎士団に入れて、同じ平民の出同士ペア組んで一緒に訓練してたら仲良くなって。騎士団の中じゃ平民コンビって言われてます」

「お二人とも平民なのですか?」

 その事実に驚き、声を上げると。

「はい。他にも平民の方はいらっしゃいますが、ほぼ皆さん貴族ですからね。貴族の方たちと会うことがなかった私は、気軽に話せるムルクリタとペアを組んだのです」

 トヴェリアもはにかんで笑い、おぉ、と声が出てしまった。


 まさか二人が平民だったとは。騎士になるにはどれほど大変かは分からないけれど、でも、この身分が重視されるこの国において、平民が騎士になるのは過酷だったに違いない。

 平民と貴族じゃ、何もかも違うのだから。覚えることもいっぱいあっただろうな。私も言葉遣いや仕草、マナーを頭に叩き込んだことがあるから分かる。


 そこでふと、平民の出なら下町に行くのにも抵抗がないのでは?と考えついてしまった私。下町に行くのに抵抗がなくて強い、信頼出来る騎士……

 ちら、と二人の方を見て、私はにっこりと笑顔を浮かべた。

「あの、これからお二人の実力を見ることは可能でしょうか?」

「「えっ?」」

 私の言葉を聞いた二人は、揃って目を丸くしていた。


「本当にあの二人にするのか?」

 私が実力を見たいと言ったことに怪訝な顔をする義兄。今、私と義兄の前には互いに剣を構えて立つムルクリタとトヴェリアがいた。

「あいつらはチーム六だろう?しかも平民の出。もっと他にも良い人はいるはずだ。それこそ先ほど話題に出ていたライアンとか、強い人の方が良い」

 チーム三の人たちに許可をもらい、借りたグラウンドの隅っこ。どこから聞きつけたのか、私と義兄、そしてムルクリタとトヴェリアを囲うように、大勢の騎士が冷やかしにきていた。


「おいっ、ルナディール!」

 聞き覚えのある声に振り向くと、こちらにどっしりと威厳たっぷりに歩んでくるカリフストラ。カリフストラは私の横に立つと、ムルクリタとトヴェリアを一瞥し、首を傾げて義兄と全く同じ言葉を発した。

「ルナディール、あいつらはチーム六だぞ?しかも、前にルナディールを危険な目に遭わせたやつらだ。そんなやつらを護衛に希望するとは本当か?もっと腕の良い騎士ならごまんといるぞ」

 そして振り返り、そこに立っているライアンとかな、と指を指す。驚いて振り向くと、そこには薄い赤色の髪の好青年が立っていて、目が合うとぺこりと軽くお辞儀をされた。

「えっ、あれがライアンさんですか!?」

 スラッとしていて、騎士とは思えない見た目につい声が出る。

 甲冑を着ている時は、ごっつい筋肉質な男性だと思っていたのに、まさかの義兄とたいして変わらない見た目。それなのにチーム二のリーダーとかどれだけ強いんだ。人は見かけによらないとはこのことか。


「あぁ、見た目は貧弱そうだが身体はしっかりしているぞ。なんなら服を脱いで見せてもらったらどうだ?無駄のない美しい筋肉が見られるぞ」

 茶化すようにカリフストラが言うので、思わず私の顔が赤くなる。

「そんなもの見られませんっ!」

 私の反応に、わっはっはと大声で笑った後、ライアンっ!と彼の名を呼んだ。呼ばれたライアンは急いでこちらにやってきて、私の目の前に立った。


「ルナディールがお前の筋肉に興味があるらしいぞ」

「え?筋肉、ですか……?」

 いきなりの言葉に目を丸くするライアン。そりゃそうだろう。いきなり筋肉に興味があるなんて、お前は変態かと思われても仕方がない。

「カリフストラさまっ!!変なこと言わないでくださいませ!!」

 この世界の男性の裸なんて見たら、一瞬で気絶するに決まってる。免疫がない私を舐めるな、こちとら笑顔で昇天しそうになるんだぞ。


 そう思いながらキッと睨むと、カリフストラは楽しそうに笑って、バシバシとライアンの背中を叩いていた。よく分からずただカリフストラに叩かれているライアンは、困った顔で笑っている。

「それよりルナディール、あいつらが困ったようにお前を見ているぞ」

 義兄が言い、ハッと振り向くと、たくさんの観客の前にぽつんと立たされたムルクリタとトヴェリアが、所在なげにただ立ちつくしているのが目に入った。一応構えてはいるけれど、どうすれば良いのか分からない、といった感じだ。


 私は急いで二人の元へ行き、声をかける。すると二人は、とても緊張した顔でこちらを見ていた。

「あ、あのっ!なんか俺たち、めっちゃ注目されてません?この中で打ち合いするんですか?」

 きょろきょろと忙しなく左右を見るムルクリタに苦笑しながら、ごめんなさいねと謝る。

「どこから聞きつけたのか知らないけれど、どうやらわたくしが貴方たちを専属護衛にしようとしている、という話が広がっているみたいなの。だからきっと、その調査?みたいな感じでしょうね」

 私の言葉に、トヴェリアは少し考え込んだ後、確かめるように私の目を見て、ゆっくりと言葉を発した。

「……あの、この打ち合いで貴女様のお眼鏡に敵えば、私でも専属護衛になれるチャンスがあるということでしょうか」

 真剣なその瞳に、私も真剣にこくりと頷く。

「えぇ。わたくしは二人にとても興味が湧きました。ですが、専属護衛は強くなくてはいけません。ですから、今ここで模擬戦を行っていただき、実力を確かめたいと考えています」

 私の言葉に、トヴェリアとムルクリタは互いに目を合わせ、こくりと一つ頷いた。そして、真っ直ぐと互いを見据え、剣を構え合う。

「それでは、これから模擬戦を行います。片方がリタイアするか、わたくしが止めと言うまで続けてください」

 はいっ!と気合いの入った返事を聞き、私は少し彼らから距離をとって大きく息を吸う。


「それでは……始めっ!」


 私の合図で、せあっ!と互いに距離を詰め、ガキンッと音を立て剣を交える。カンカンカン、と剣を防ぎ合う音を聞きながら、私も二人の動きをじっと見つめる。

「ルナディール、そんなに近いと危ないぞ!」

 後ろから義兄の声が聞こえるが、私は大丈夫です!と大声で言い、彼らから目を離さない。剣の持ち方、視線の動き、身体の使い方を真剣に見つめる。


 しばらく二人の打ち合いを見ていて、少しの違和感にさいなまれる私。何かが足りないことに気が付き、顔を顰める。

 互いにちゃんと打ち合っているし、相手の苦手な部分を確実についてリズムを崩そうとしている。それでも、何かが……何かが、違う。


 そこで、ムルクリタがトヴェリアの剣を受けきれず、軽く後ろに体勢が揺らいだ。すかさずトヴェリアはそのままムルクリタの胸に剣を真っ直ぐと突くが、すんでのところで剣で防がれる。地面に倒れたムルクリタは、両足でトヴェリアを蹴っ飛ばし、ぴょんと再び立ち上がった。

 そして、また繰り広げられる攻防戦。カンカンカン、と一定のリズムに、違和感の正体に気が付いた。


 二人とも、技を見せることに集中している。互いを負かすのではなく、私が止めを言うまで、どれほど技を出せるか見せている。

 そのことに気が付いた私は、その試合止め!とすぐさま中断させた。急に中断された二人は驚き、バッと私を振り向く。

「あのっ、俺、まだいけますっ!」

「わ、私も……」

「静かに」

 私の言葉に、大人しく黙り剣を下げる二人。なんだなんだ、と様子を伺う騎士たちの目線をめいっぱい受けながら、私は自分の考えが合っていたかどうか確かめる。

「さっきの試合、お二人は手を抜いていましたね?互いに急所を突くような動きはしていましたが、相手を仕留める一手がありませんでした。お互いが負けぬよう、今まで一緒に訓練をしていたことを生かし、阿吽の呼吸で技を合わせていた。違いますか?」

 私の言葉に、うっと黙る二人。そして。

「……すみませんでした」

「申し訳ございません」

 力なくうなだれた。


 自分の考えていたことが当たっていたと知り、とりあえず安堵する私。もしこれで本気でしたとか言われたら、一気に気まずくなっていた。

 まぁ、専属護衛にしようと考えている、と言って試合させたら、負けたらなれないかもしれないと考えるのは当たり前だ。それに、二人は長い間ともに訓練をしていたのなら、一緒に専属護衛になりたいと考えるだろう。これは私の説明不足と対戦相手のミスだ。


 私はしばらく考え込み、

「貴方たち二人は、互いの動きを言葉を交わさずとも理解出来るのですか?」

 と一つ聞いてみた。

 私の見ていた限り、口を動かして何かを伝えたりしていなかったし、試合を始める前も合図みたいなものはなかった。それなのに、競っているように見え、なおかつ決定的な一手を食らわないよう動いていた。それが不思議だった。


 私の言葉に、少し躊躇いながらもこくりと頷いたムルクリタ。

「俺たち、結構長い間一緒にいますから。視線の動きや身体の向き、剣の握り方などで次何をしようとしているかは大方分かります」

「私も、ムルクリタの動きを見て予想することは出来ます」

 二人の言葉に、それなら、と私はライアンの方を向いて声をかけた。

「ライアンさん、少し良いですか?」

 私が声をかけると、驚いたような顔をしたが、すぐさまこちらに駆けてきてくれた。


「なんでしょうか、ルナディール様」

 首を傾げて尋ねるライアンに、申し訳ないなと思いながら一つの提案をした。

「あの、申し訳ないのですが……少し協力していただいてもよろしいでしょうか?ライアンさんはお強いと伺っております。そこで、ライアンさんとこの二人で模擬戦を行っていただきたいのです」

 私の言葉に、ええっ!?と驚いた声を上げたムルクリタとトヴェリア。ライアンは困惑したように、二人とですか?と言った。

「はい。ライアンさんはチーム二のリーダーですから、恐らくこの二人相手でも大丈夫かと思いまして。わたくし、少しだけこの二人が共闘する場面を見てみたいのです。本当はわたくしが相手をすれば良いのでしょうが、義兄に止められそうでして……」

 ちら、と義兄の方を見ると、何やら怪しむような顔をされ、私はすぐさまライアンに視線を移す。

「では代わりを、と思いましても、わたくしが知っているのはライアンさんを除きカリフストラさまのみ。流石に騎士団長を呼ぶわけにはいかないので、ライアンさんを頼らせていただきました」

 受けてくださいますか?と、不安になりながら見上げると。ライアンは何やら考えた後、

「では、ここでルナディール様のお眼鏡に敵えば、私を専属護衛にしてくださるということですか?」

 と笑顔で言われ、私は思わぬ内容に、え?とつい声が出てしまった。


 ……私がライアンを専属護衛に?え、この人チーム二のリーダーだよね。そんな強くて偉い人、私なんかの専属護衛にしたらいけないでしょ。クレームくるって。


「……ですが、ライアンさんはチーム二のリーダーですよね?お忙しいのではないですか?わたくしなんかの専属護衛になるよりも、騎士団員をまとめている方がライアンさんのためになるのでは……」

 出世とかしてチーム一に昇格するかもしれないよ、私の専属護衛なんかになっちゃったら国のために働けないよ、と思い言葉を発すと。

「いえ、私はルナディール様の専属護衛になりたいのです。リーダーの後継人なんていくらでもいますし、私が抜けたところで支障はありません。それよりも、私は数に限りのある貴女様の専属護衛になりたいのです!」

 強い眼差しでそう言われ、私はたまらず黙ってしまう。


 いやいやリーダーの後継人がいっぱいいたら大変でしょう。ライアンが抜けたら絶対支障ありまくりだって。私の専属護衛っていっても、ただ私の周りを守るだけだよ。部屋を守るだけだよ。

 訓練とか出来なくなるし、最悪弱くなっちゃうかもしれないよ。一日中魔研にいるんだよ。分かっているのかな。


「……分かりました。ライアンさんを専属護衛にするかどうか、この模擬戦で考えてみます」

 ライアンの熱心な眼差しに負け、仕方なく私は頷いた。私の反応に満足そうに笑った後、

「瞬殺してしまったら申し訳ありません」

 とにこやかに言って、腰に提げている剣を構えた。ムルクリタとトヴェリアはやや緊張した顔をしながら、二人顔を見合わせ、こくりと頷いた。

「……では、始めっ」

 私の合図で、三人の模擬戦が始まった。

戦闘シーンの語彙力上げたいです……次回はもう専属護衛が決まってしまいます。

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