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神秘のベールと旅の足跡  作者: 裏虞露
商人と月影祭
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【112】黒蓮!

途中すこし不穏な感じですが、ハッピーエンドで終わるので安心してください。

夜空を照らしていた花火達も、時間が来れば終わりのときを迎えて夜空には静寂が戻った。

金華と自分はその余韻を楽しむように、何を言うでも無く寄り添って屋根に座っていた。


しばらくそうしていると、街を照らしていた祭りの灯りが徐々に収まって行き始めた…この一週間に及ぶ、月隠れ祭りももうすぐ終わりを迎えるようだ。


「ねードーン?」


「どうかしたの金華?」


とても幸せな気分に包まれながらも、終わりを意識し始めた時だった……金華から予想外な爆弾発言が飛び出したのは。


「お姉ちゃんに手を出してもいいからね?」


「え゛」



side黒蓮


ーーーバタン


「はぁ」


ドーンのやつに金華の事託して私は……


「ゴクリ」


誰もいない豪華な廊下に自分の唾を飲む音が嫌に大きく。罪悪感からか、私の胸は強く傷んで……


「気にしても仕方がない……わよね。ドーンが金華のお願いを断るとは思えないもの」


ーーーズギ


そうしたら、私はお役ごめんになってしまうかしら……


金華に押される形で故郷の村を飛び出して…金華の言う世界の広さを知って…金華を守らなきゃって必死なって、結局空回りして失敗して……もうどうにもならなくなった所で金華がドーンを見つけたのよね。


ーーーズキズキ


そこからの変化はとてもめまぐるしかったわよね。最初は不審でおかしな事を言うドーンの事を警戒して邪険に扱っていたけど、それにも関わらずドーンは私達の事を助けてくれたし……結局ドーンの言ってる事は正しくて、本当に私達の事を本当に強く導いてくれた。

まぁ金華は私と違って最初からドーンの事を信用していたみたいだけど…


ーーーズキズキズキ


ドーンは私達の事を命の恩人だって言ってくれた事もあったけど、今じゃ私達の方がドーンによく救われているわ……


「ドーン」


自分と金華が過ごしてる部屋に戻ってきた……やっぱり今晩からは私一人で過ごす事になるのかしら?


「はぁ」


ーーーぼふんっ


自分のベット腰掛けた私は身体な重さに逆らわず、身体から力を抜いてベットに倒れ込んだ。


しばらく、何をするでも無く…心を落ち着ける為に何も考えずにベットに倒れ込んでいた私は……


ーーージクッ♡


「んっ♡」


いつの間にか…身体が火照っていてるわ。いつの間にかそんなに時間がたってしまったのね…


窓から外を見ると、まだ引くい位置にあったはずの太陽は頂点で近くで輝いていた。


こんな時間まで、ただ悶々としながら何もせずにベットに寝っ転がっていたなんて…思ったよりショックだったのかしら?


そんな事を考えながら私は、身を捩りたくなる強い欲求を押さえ込んで、ベットの側にあるサイドテーブルに置かれた……ドーンが渡してくれた発情を抑制してくれる魔法薬を…………………………………


「うっ♡」



気が付くと私は、魔法薬へと伸びていた手を引っ込めていた。


「はぁ♡」


身体から自然と力が抜けて…じんわりと染み出た汗が私の頬を伝ってベットに流れ落ちた。


「私…なんで、我慢していたんだけ?」


(「お誘いは嬉しいけど……安静にしていれば一ヶ月ぐらいで収まるはずだ。いくら辛くても、好きでも無い奴に抱かれるような事を…良しとしないでくれ、頼む」)


確かドーンが私にそう言ってくれて…….少しだけ嬉しくて…それと同じくらい悲しくて……でもドーンは金華と……


「……もう…()()()()()()


sideドーン


祭りのラストイベントが終わり、所々で撤収作業に入り始めた屋台も散見できる。その光景はこの一週間にも及ぶ街をあげた祭りがもうゆっくりと終わる事を告げているようで……何処が物悲しさを感じざるおえなかった。


そんな街中を通り抜け黒蓮が待つ宿屋に戻ったのだったが……


「あれ?お姉ちゃん?」


黒蓮の姿は宿に無かった。


「トイレにも風呂場にも食堂にも居ないよ!」


「今日は宿で休んでいるって言ってたはず」


【魔力探知】も使って周囲を探してみたものの黒蓮らしき姿は見つからない。黒蓮は装備の効果で身を隠せるとはいえ、伝説級の装備による画一的な隠蔽を見抜けない程【魔力探知】の制度は今は低くないはずで……


つまり、この宿屋に黒蓮が居ない可能性が高い。


ーーードタドタ!


「ドーン!ドーン!ドーン!!」


「き、金華!?落ち着け、いったいどうしたんだ?」


「お、お姉ちゃんが!」


別の場所で黒蓮の事を探していたはずの金華がとても慌てた様子で駆け寄ってきた。そんな金華の発言は慌てすぎて要領を得ず…落ちつかせて話を聞くととんでもないことを言い出した。


「宿の人がね!お姉ちゃんが男の人に口説かれて、ほいほいついて行っちゃった所を見てたんだって!」


「それは…黒蓮にしては不用心だが、それぐらいならそんなに慌てなくてもすぐ戻って来るんじゃないか?」


「慌てるよ!だってお姉ちゃん今日の分の抑制剤飲んでないんだよ!このままだと絶対あんなことやこんなことされちゃうよ!!」


金華にそう言われて、心の底から不愉快なら気分が込み上げて来た。


「なっ!……いや、でも」


ドーンは思案していた。ここで感情の赴くままに金華に同調していいものか?と。金華はああいってくれたけど、自分は金華と付き合って…いや、結婚しているわけだし、仲間以上の関係ではない、黒蓮の色恋沙汰に感情任せに首を突っ込むのは如何なものだろうか?


「ドーン?」


自分の煮え切らない反応を受けて、不安そうな顔で自分の事を見上げる金華……


そう、だな。今の黒蓮は、発情期の影響でまともな判断が出来ていないだろう、そう考えると……やっぱり……


「黒蓮を…探しに行こう」


「うん!お姉ちゃんはもうドーンのだもん!他の人には絶対渡さないよ!!」


「そ、そうだな」


金華がやる気満々に大きな声でやばいこと言うのに、少し引きながら……〈運命の羅針盤〉が指し示す黒蓮のいる方向に向かって駆け出した。


この街は結構広いが、自分達の足であれば黒蓮がいるだろう場所に辿り着くのはそう難しくないと思っていたが……祭りが終わったとはいえ、通りにはまだ家に帰ろうとしている人や、後片付けをしている人達でごった返しており、それは住宅街へと続く裏路地も同様…どころか表通りより狭い分余計に通り抜けにくそうになっている。


「うぅ、これじゃお姉ちゃんが知らない人に食べられちゃうよ!」


「仕方がない、屋根を通ろう」


金華が苛立ちを隠そうともせずに、そう吐き捨てながらアワアワしている金華を抱えて、屋根の上に『短距離転移(ショートテレポート)』で移動して、〈運命の羅針盤〉が指し示す方向に向かって屋根の上を駆け抜ける。


幸いな事に黒蓮はまだ遠くまで言っていなかったようで、すぐに見つけることが出来た。しかし…


「あー!!」


発見した黒蓮は、厳つい外見の男と一緒に道を歩いており……見間違いでなければ黒蓮は男に腰を抱かれて身を寄せていて…街灯の魔導灯が照らすその光景は、遠目にも親密さが滲んでいて、まるで恋人のように見えた。


その光景を見た金華は、驚いて声を上げた。その声には驚愕と怒りが滲んでいて、今にも黒蓮の元に走り出して行きそうだ。

彼女の肩が震えている。爪がぎゅっと握られ、今にも飛びかかりそうな気配を放っていた。


「金華」


「ちょっ、ドーン!?なんで止めるの?」


その光景を見た自分の顔は、とても歪でいたことだろう。とても信じられないし……それ以上に不愉快な苦痛が胸を突いた。まるで胸の奥を鋭く抉られるような痛み。理屈ではなく、本能がざわめき、手が震える。


思っていた以上に、ずっとずっと…自分は黒蓮のことが好きだったんだな……


けど、けどだ、自分は金華を選んだんだ。

別に自分が黒蓮に好意を持っている事を自覚して居なかったわけでは無いし…ここで、不愉快だからと言う理由で黒蓮の恋愛事情に口を出すのは流石に…


理性が感情を必死に抑え込み、喉の奥で苦い息が漏れた。


「何バカなこと言ってるのドーン!」


「……口に出てたか?」


「バーーチリね!!お姉ちゃんは発情期なんだから!まともな判断なんて出来ないでしょ!そうで無くても!お姉ちゃんはドーンのなんだから!」


「その、さっきから言ってるけど、どうして黒蓮が俺のなんだ?金華が俺のだって言うなららわかるけど」


「そんなのお姉ちゃんのオカズがドーンだからに決まってるよ!」


「え、えぇ…そう、なのか?」


金華のとんでもない暴露に、ドン引き。一瞬、思考が完全に停止する。屋根の上の夜風が、やけに冷たく感じた。


「そうなの!だから早くお姉ちゃんを取り戻しに行こう!」


強引に自分の手を引いて黒蓮の元に向かう金華。

その背中は怒りと焦りと、どこか姉を想う必死さが混ざり合ったようで……小柄な体からは想像もつかないほど強い力で、自分の腕を引っ張っていた。


程なくして、黒蓮の元に辿り着いた。


「お姉ちゃん!」


「黒蓮!心配したぞ大丈夫…なのか?」


「んっ♡ど、ドーン…どうして…ここに?」


話しかけた所で、初めてこちらに気が付いた様子で、黒蓮は微かに喘ぎ声を上げながら、男の体に預けていた顔を上げた。その顔は紅く蕩けていて…火照った様子の体と、この場を照らす薄ぼんやり通した灯りも相まって酷く蠱惑的に見える。


「あん?誰だ」


「…パーティーメンバーっ♡よ」


黒蓮の腰を抱いている男が、質問し黒蓮が答える。


「や、宿に居なかったから心配で探しに来たんだけど…」


「そ、そっか♡けど今晩はこの人お世話になるから気にしないで。あ、はぁっ♡」


「ッ!そ、そうか…まさか恋人か?」


「ち、違う!んおっ♡ただその、今発情でしょ?今夜は宿に私がいない方いいと思♡って。それに♡いつまでも薬をら消費し続けるよりも、さっさとやる事やって解消した方が早いでしょ?」


「そう…か」


「……そうなのよ」


「あ〜話しは終わったか?それじゃ行くぞ、まぁ酷い事はしないし……明日には返すから安心して待っとけよ、お仲間さん」


「じゃ♡じゃあねドーン、金華をよろしね」


「……ああ」


二人を見送っ「ドーン」


自分の名前を呼ぶ金華の声は先程までの怒りが滲んだ物と違って、優しく…それでいて決意に満ちていて….決断を促すのようだった。


瞑目し、思考をめぐらせて……気が付く。何も考えず、感情のままに動くならば答えは既に決まっていることに。そして本当の自分と言うのは理性ではなく、感情で…欲望なんだと。


今正に街角に消えて行った二人の元一瞬で近付いて……男の方を殴り飛ばす。不意の攻撃に男は当然なんの反応も示せずに吹き飛び、壁に叩き付けられてずるりと崩れ落ちた。


「ド、ドーんムッ!?!?」


ーーーガシッ

ーーーチュウ♡


突然の自体に理解が追いついていない様子の黒蓮をだき寄せて…「辞めろ」「止めろ」「取り返しがつかなくなるぞ」そう叫び怯える理性を押さえつけて黒蓮にキスをした。


「っっ♡♡」


ふやけるような甘く、長い、キスだった。


終わる頃には黒蓮の体からは完全に力抜けて、全身を完全に自分に預ける形になった。

黒蓮は……ふやけて、とろけた、赤い顔でナニカを期待するように自分の事を見上げていて、もはや理性なんて殆ど残って居なかった。


「あっ」


少し遅れやって来た金華。少しの後悔と期待をにじませた様子で、黒蓮の事を抱き留める自分の事を見る金華。


「……本当に、本当にごめん金華。黒蓮の事を……だかせてくれないか?」


黒蓮を落とさなきように気をつけながら金華に頭を深く下げて懇願する。


「はぁ〜………さっき良いって言っちゃたしなぁ…思ったよりも早かったけど!………先、私が先なら…特別に許してあげる!!」


「!ありがとう金華」


「どういたしまして!お姉ちゃん()つらそうだし早く宿に戻ろう?」


「そうだな。……ありがとう金華」










ここで一区切り【第3章】商人と月影祭を終了とさせていただきます。ここまでご愛読頂きありがとうございました、続きも引き続きご愛読到たげる幸いです。



今回で物語、【神秘のベールと旅の足跡】を執筆開始時点で、自分が絶対に描きたかった展開と場面を全て書くことか出来ました。これも全てこの物語を読んでくださっている皆様のおかげでしょう。改めてお礼申し上げます。


そして、神秘のベールと旅をらお楽しみにしてくださっている方々には大変申し訳ないのですが、私情により周一投稿今回を持っている終了させていただきます。

物語の続きは投稿していきますがらペースはだいぶ落ちると思いますので、そこのところどうかご容赦いただけると幸いです。



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