自分はもしかしたら滅茶苦茶強いんじゃないだろうか
世界一お待たせ致しましたを言える人間にな……ってはいけないですよね、すみません!
お待たせ致しました。不定期更新で本当に申し訳ありません!
今回は体調不良やらなんやらでワチャワチャして中々描けなかったと言い訳させてください!
◇
「キタコレ!!1度使ってみたかったんだよなぁ!かっちょいい魔法とかさ!」
「な、何をする気だ!?」
「あれ?今の聞いてなかった!?魔法!!」
突然で何をしてるのか分からないよね。巻き戻して確認してみよう。
あれは確か大広間の階段を駆け上がって2階に到達した時の事だ。扉が粉々に切り刻まれてそこから茶髪ポニーテールの女が現れたのだ。
そして、今に至る。うん、分からん。
「やっぱドカンとド派手なのお見舞いしてやりたいよなぁ!」
ちなみに魔法云々を騒いでいるのは俺だ。
早速ほいほいとカモがやって来たから魔法を使ってやろうと意気込んでいる。
「あ、相手が引いておるぞ…」
お前もな。
「知らねーっつーかアンタ誰?」
「ほう、気になるか?」
「やっぱ言わなくていいよ」
「聞けぇ!!我が名は«リグレア・シェルドラフ»!誇り高き魔王軍八裂衆・斬ノ刃の称号を授かった生粋の剣士だ!!そこの女、剣士とお見受けした!名を名乗られよ!!」
「言いやがった」
「さあ、早く!!」
「«分裂光線雨»!!」
「ぐああああああああああああああああっ!!!!!」
南無三。無限に分裂を繰り返し、最早手をつけられなくなった光線の雨がリグレア諸共辺りを破壊し、その末に彼女は霧散して消えていった。
レインの中に俺の名前も掛けたから一応名乗ったの判定でお願いします。
「次行くぜ、グレイス!!」
「あ、ああ……酷いな貴様…」
グレイスが何か言っているが聞こえない。俺は前に進む事だけを考える。
そして。
「迷った」
確かに城で言う謁見の間を目指していた筈だったのに、気付けば1階に降りていてしかもアホみたいにだだっ広い中庭に1人で突っ立っていた。
「グレイスー?どこ行ったー?」
いくら俺が方向音痴だとは言え、流石に一緒に居たグレイスともはぐれて外にまで出て来てしまうなんて事はあり得ない…とは断言出来ない。
あり得てしまうから俺は今ここに立っているのだ。
そしてさっきから足下でユラユラ揺れている黄色い花がとてつもなく臭い。
「何の花だよこれ。くっさ…」
「そのお花を馬鹿にしないでくれゆぉ〜」
「あ?」
語尾がとてつもなく腹の立つ奴、爆誕。
振り返るとそこには七色の髪のナヨナヨした小太り男が全身お花コーデでモジモジしていた。
「うっわ……」
ドン引きだ。
「…何だよお前?このくっせぇうんこみたいな花のお友達か??なるほどお似合いだぜ」
どうせ魔王軍八裂衆の誰かだろうと踏んでこんにちはの代わりに軽い罵声を飛ばしてみる。
すると、男はさっきまでのナヨナヨした態度とは打って変わり、物凄く厳つい鬼の様な形相で俺を睨み付けてきた。
「お、お前ぇ…!!僕を馬鹿にするのは構わない…!エレキ様を馬鹿にするのは構わない…!だけどぉ!!ハナチーを馬鹿にするのだけは、ゆゆゆ許さないゆぉ〜〜〜〜ッ!!!!」
「ハナチー?こいつの事か?…ふぅ〜ん??」
踏み付けた。何の躊躇もなく、一切の手加減もなく。
まるで道端を歩く蟻を潰すかの如く、俺はその花を踏み付けた。
足下で「ぴょえッ!」と甲高い断末魔が聞こえ、それはまさしくハナチーの死を意味する音だった。
「あっ!あまりに小さいもんで踏んづけちまった!いっけねぇ!」
「――――――――死ねゆぉ」
「お?」
俺じゃなかったら見逃していたであろう速さで目の前に走って来た男が、今度は感情を感じられない程の真顔のまま、低いトーンで俺に死を告げる。
闇が収束して剣となり、男がそれを掴んで振るう。
「中々の太刀筋だ。人は見かけによらないってのはこの事――――ッ!?」
咄嗟に男の斬撃を受け止めていた剣を手放して、飛び退く。
その直後に今まで俺が手にしていた剣が粉々になってしまった。
「―――――朽ちろ、«魔剣インペリアス»」
魔剣技。推測に過ぎないけど、恐らく触れたものを粉々にする能力だろう。
男の剣に触れ合った瞬間、体の細胞一つ一つが離れていく様な、そんな感覚に陥った。
あのまま剣を持ち続けていれば俺も粉々になっていたに違いない。
「よく躱したゆぉ、僕の魔剣技を」
「本当、見かけによらず恐ろしい力だな」
「だから使いたくはなかったゆぉ。この魔剣技は触れたもの全てを崩壊し、同時に僕の殺意の衝動を促進させてしまうからゆぉぉ…でもハナチーがいればそれを抑える事が出来たゆぉ。ハナチーが僕の心を癒してくれていたゆぉ。でもハナチーは死んだ。お前に殺されたんだゆぉオゴォゥッ!?」
「だれもテメェの物語は求めてないってよ」
男が突然語り始めたから取り敢えず魔剣技を使われないうちにと思って創造した大剣を放り投げてぽっちゃりとした広い的に突き刺す。
小太りが幸いして、男は無事に散っていく。
「ったく、つえーのは魔剣技だけかよ……って、あれは」
あまりに呆気なさ過ぎて悪態をついていると、ふと中庭から見える2階の窓にグレイスの姿を見た。
「グレイス?なんか普通じゃねえな」
辺りを見渡し、何かを探している様子だ。
取り敢えず、脚力にものを言わせて俺は2階まで跳躍し、窓を突き破ってグレイスの隣でローリング着地を披露した。
「レイ!?貴様、今まで何処におったのだ!?」
「それは俺の台詞だ!急に消えやがって!お陰で何か崩壊の魔剣技使う変な奴に襲われちまったじゃねえか!」
「崩壊…!まさか«セグアバ・ルガッチェン»の事か!?」
「名前言われても分かんねえけど多分そいつかな」
「魔王軍八裂衆の陀ノ刃、セグアバ・ルガッチェン…おかしな奴に違いはないが、その凶悪さは八裂衆の中でも随一と言われておる」
「わざわざどうも。それで、アンタはここで何してんだ?」
「そうであった!今、この場に惢ノ刃、ステイツ・リングブルムと祿ノ刃、ミルトレーヌ・ブルゼルヴァが潜んでおる!気を付けろ!」
「そいつらの魔剣技は?」
「ステイツは幻覚を操り、ミルトレーヌは幸運を操る…らしい!」
自信なさげにグレイスが教えてくれる。
その間に視線を空間に走らせ、誰の姿もないのを確認しておく。
「何だよ知らねえのか?」
「そもそも我は単独で動く事の方が多かった故、他の者の魔剣の事など聞いた話しか知らぬ」
「はいはい、ぼっち乙!」
「貴様から殺すぞ?」
「出来ねえクセに!」
そう言うが早いか、少し仰け反って側面から突き出された漆黒の剣を躱す。
攻撃の主はグレイスではなく、その真逆――――黒いコートを着た男だ。
「偶然…?いや、今のは躱したな」
「随分と手荒い歓迎だな」
「歓迎か…面白い事を言う。これは害虫駆除だ。エレキ様を惑わす、な」
エレキを誑かしてるみたいな言い方はやめて欲しい。
今は女の姿だがこれでも歴とした男だ。
「エレキ様に色目を使っていいのはぁ〜、私だけな感じなのにぃ。マジ悪い虫じゃ〜ん??」
今度は俺達の正面から現れた金髪ギャルが俺の事を鬱陶しそうな目で見て罵倒してくる。
誰が虫じゃい。
「はいはい、虫で結構ですよ……あー、1つ気になるんだけど、俺が虫なら――――虫に倒されるアンタらは何だ?」
「……そこまで死に急ぐか」
「今のはアタシのプリティーブレインにカチンと来ちゃったんですけどぉー、今すぐ殺っちゃっても良い感じぃぃ??」
イイ感じに場が温まってきたみたいだ。
俺は創造で直剣を創り、ブレて消えていくステイツとミルトレーヌをどう倒してやろうか、考え耽るのであった。
後書きって何書くとこっすか??(素人チャラ男/24歳)




