ちょっと難易度低過ぎだと思った
久し振りの連日投稿!
お待たせ&感想THANKS!!
という事でいよいよ始まりました新生レイの初陣です!!
◇
「戦争だ戦争だーーー!!戦いてぇ奴は俺がぶった斬ってやるぜ!!」
「これではどちらが悪者か分からぬな」
「うるせえうるせえ!!俺が正義だーー!!」
眠たくなるくらい長い廊下を剣を掲げて走る事数分。
ようやく、敵は現れた。
「お?誰だアイツ??」
「…奴は魔王軍八裂衆・支ノ刃、バフコフ・バンブレッテルだ」
「早速出てきやがったか」
腰まで伸びた金髪を束ね、銀の鎧に身を包んだ美形の男が黒い剣を携えて俺達を待ち構えていた。
そのバフコフと言う男は哀しそうな目をしながら黒い剣の切っ先を俺―――否、グレイスへ向けると初めて口を開く。
「グレイス…裏切るのか?」
「裏切る?違うな。元々貴様等の仲間などではない」
バフコフの発言を切り捨て、今度はグレイスが魔剣ラグナジウスの切っ先を突き付ける。
「我は、この勇者と共に戦う」
「…哀しいな。お前は真面目で好きだった」
「我は嫌いだったぞ。自らの意思でエレキの配下に入り、さも当然のように人間をいたぶる貴様が」
そこからお互い無言になり、俺は置いてけぼりにされる。
結構気まずい雰囲気が漂っていて俺が発言しづらくなってしまった。
「―――――殺す」
「―――――やれるものならな」
戦いが始まる。
ほぼ同時に動き始め、先手を取ったのはバフコフだった。
鎧を着ている割には軽装なグレイスよりも素早く、黒いレイピア状の魔剣で秒間3回程のペースで突きを放つ。
どれも直撃を喰らえばタダでは済まないだろう。
「やはり、速いな…!」
「比べてお前は遅い…遅過ぎるんだ」
手を休める事なく連続突きを繰り出すバフコフの剣技に押されるグレイスだが、それでも少しずつその突きに対応し始めている。
体のあちこちを突かれ、絶え間なく傷を増やしていくグレイスは、不意に体力の限界が来たのか、突然膝から崩れ落ちた。
「――――――突き崩せ、«魔剣セリオン»」
そう、微かに俺の耳が拾ったバフコフの言葉。
この言葉と同時に、グレイスが崩れ落ちてしまった。
「ぐっ…!«魔剣技»か…!!」
「僕の魔剣セリオンの前では全てが跪く…忘れていた訳じゃないだろう?」
魔剣技と言ったか。見て聞いた感じでは魔剣特有の必殺技か何かだろう。
俺に何の影響もないところを見ると、恐らく触れた場合か、近くにいる場合にしか発動出来ないらしい。
「まさか、一度体験してみたくてな……と言うのは些か無理が過ぎるか。大人しく迂闊だったと言っておこうか」
魔剣を支えに立ち上がろうとしたグレイスが、今度は魔剣が倒れる事で格好悪く転んでしまう。
(なるほどな…魔剣セリオンの魔剣技は支えを奪う力か)
「情けないな、グレイス。僕達を裏切って、このザマか」
「いや何、少し遊んでいるだけよ。幼き頃はこうして床に寝そべっていたなと」
「減らず口を…そろそろお終いにしてやる。最後に何か言い残す事は?」
「……そうだな。お前は一つ忘れている様だ」
「もう1人いるって事をな!!」
「ッ―――――!?!?」
何やら天狗になっているバフコフの背後から渾身の蹴りをお見舞いしてやる。
しかも後頭部にだ。凄まじいダメージの筈だ。
「お、女ァ…!!」
「ただの女だと思ったか?アンタは上司に教えてもらえなかったのか?実は女体化させた勇者を捕らえてますってさ!信用ねぇのな!」
何の力もない女だと勘違いしていたのか、それはとても驚いている様子だ。
俺は実のところ、今ならいつでも男に戻る事が出来るのだ。
それをしないのは、こうして油断を誘えるかもしれないと思ったからだ。
作戦は大成功、観客は大盛況、YO!…何やってんだ?
「決めたぞ。まずはお前から嬲り殺しにしてくれる…!」
「はい、一気に噛ませ臭くなりました」
「死んでから後悔しても遅いぞ、女!」
怒り心頭と言った様子だが、バフコフはゆっくりと歩いてくる。
いや、走ってるのか?
とにかく、亀でも歩いているのかと思うくらいの遅さで俺に迫ってくるのでつい欠伸をしてしまう。
遅いのはどっちだよ。
「ん〜、あ、そうだ。一つ良い事を教えてやるよ。殺す殺すってすぐ口走る奴って大体雑魚って相場が決まってるらしいぜ」
「何をゴチャゴチャと!」
「忠告は聞いとけって」
ようやく俺に辿り着いたバフコフが常人には捉え切れない程速い突きをグレイスの時の様に突き出してくる。
あまりにも遅いので人差し指と親指で魔剣セリオンを摘んでみる。
「な、なんて鋭い突きだ…!俺じゃなかったらとっくに死んでるぜ…!」
「僕の突きを、受け止めただと…!?」
「あら、驚いちゃって。可愛い〜!」
バフコフの鼻をツンとつついて目の前でキャピキャピしてやる。
男だったら見苦しい事この上ないが、生憎今の俺は女。許される。
「ば、馬鹿にするなよ…!だったらこれはどうだ――――突き崩せ、魔剣セリオン!!」
「……何を突き崩すんだ?」
「な、何故だ?何故立っていられる!?」
何故と言われても。
実はどんな事があっても決して倒れる事のない«不屈»の力を使っていたとしか言えない。
持ち主は前線で皆を護り続けた歴戦の戦士らしい。ありがとう。
「多分お前の力が俺に及ばなかったからじゃないかな?」
「そ、そんな筈が!!」
「それより、俺なんか構ってていいのか??」
「何……?」
瞬間、バフコフの背後で火柱が上がる。
火の粉が舞い、周囲の温度が上がり、火柱は天井を焦がす。
その中心には、魔剣ラグナジウスを構えたグレイスの姿。
「―――――よく気を引いてくれた」
「いいよ。ド派手にやっちゃってくれ!」
「言われなくとも…!!」
「お、おい…止めろ。離せ、離せよお前!止せ!!早く離してくれないと!!」
グレイスが腰を深く落とし、魔剣ラグナジウスを肩に担ぐ様にして構える。
「――――――灯せ、魔剣ラグナジウス!!」
「お、おおお!!おおおおおおおおおおおおっ!!!!」
ついに魔剣セリオンを手放して一目散に逃げ出すバフコフだったが、それも叶わず。
魔剣技を発動したグレイスの魔剣ラグナジウスが、逃げても無駄だと炎で刀身を補い、離れた距離を埋めてしまう。
バフコフが離れるに連れて伸びて行く炎の刀身は、やがて慈悲無く振り下ろされた。
「ぎぃやあああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!!」
一刀両断。バフコフは悲惨な断末魔を上げて真っ二つにされてしまう。
人型なだけあって中々えげつない光景になってしまったが、少しするとバフコフの亡骸は黒い霧になって消えてしまった。
バフコフ・バンブレッテル、2度目の死を遂げる。
「まずは1人、か」
「…何故初めから戦わんのだ、貴様は」
「いや、どんなもんなのかなって気になって…この感じだと全員楽勝かな??」
「だといいが、くれぐれも油断はするなよ」
「へいへい」
グレイスの忠告を流しつつ、納める鞘の無い直剣を引き摺るようにして歩き始める。
そんな様子を見てグレイスは先が思いやられたのか、深く溜め息を吐いて俺に続く。
この調子でどんどん進んでいこう。目指せ打倒エレキだ。
廊下を抜けると、そこは大広間だった。
「…また出てきやがった」
「奴は魔王軍八裂衆・蜂ノ刃、«リッツェ・スカルウォー»。毒を操る魔剣技を使うから気を付けろ」
明らかに毒々しいローブを着た紫の髪の細身の男が俺達を一瞥し、毒々しい霧を纏った魔剣を横に凪いで切っ先を向けてくる。
魔王軍八裂衆の全員がこれやるけどそう言う作法か何かなのか?
「やれやれ、まさかあのバフコフを倒してしまうとは中々やりますね…気に入りました。アナタ達はこの私と戦うに相応しい逸材です。この«魔剣ハウルクライジス»の錆にしてくれましょぶぇらっ!?!?」
「あ、悪い。まだ喋ってたのか。声小さいから分かんなかったぜ」
何を言っているのかあまり聞こえないし、話も長そうだったから普通に近付いて斬ったらリッツェとやらが短い断末魔と共に霧散して消えてしまった。
これで2人!すごくてごわかったぞ!
「………我、要らなくね?」
「………そうかも」
拝啓、故郷の皆様へ。もしかしたらこのままエレキも倒せるかもしれません。
ばい、聖月レイ。
なすび焼いたの好き




