表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

41/110

第36話:快刀乱麻(5)

 夜の街は治安が悪い。

 これはアビスベルゼでも同様のようで貴族狩りのような輩に何度も遭遇した。


「へっへっへ。見かけねえ顔だな」

「お兄さんいまお金がないんだよね」

「キミいくつ? お兄さんと遊ばない?」

「死にたくなかったら有り金全部置いていきな」

「お前の体で試し斬りをさせてくれ」


 とまあこのような危険な奴らがわんさか話しかけてくるのでその度に奴らを路地裏まで引きずり込んで制裁を行なった。


「「「「「あひぃ!? も、もう悪事は働きません」」」」」


 このような地道な努力が身を結び一時間もすると街からゴロツキが全員いなくなってしまった。


「ルクス。やっぱりアナタは最高よ。たった一日で街からゴロツキをすべて消してしまうなんてまさに歩く災害だわ」


 ロゼ的には称賛してるつもりなんだろうが、それは褒めてると言えるのだろうか。


「別に奴らを消そうと思って街を巡回してるわけじゃないんだけどな」

「じゃあどうして夜の街を歩いてるの?」

「アビスベルゼでは街を歩くと武人によく絡まれる。この話がどこまで本当か自分の身で確かめていたんだ。実際は武功を得てない武人未満のクズ共しか話しかけてこないからとても残念に思っている」

「なるほど。だとするとそれはアナタの霊力放出量が原因かもね」

「どういう意味だ?」

「霊力放出量が少ないと弱いと思われるから、さっきみたいな奴らに絡まれやすくなるのよ。強い武人は自分の強さにある程度の誇りがあるから弱い奴にわざわざ絡んだりなんかしないわ」


 ふむふむ。

 ロゼの話も一理ある。

 以前、アリアンナが俺に話してくれた「怖い人間サン」もアリアンナが見るからに弱そうだから近づいて来てたのかもしれない。

 アリアンナの人間運の悪さは偶然ではなくちゃんと理由があった。

 それがわかっただけでも充分な収穫だ。


「だから一人で夜の街を歩くときは三下を威圧できる程度の霊力を放出するのが常識なの。すると奴らは本能的に危険を感じ取って寄り付かなくなるわ」


 ロゼはそう説明して霊力2000程度のオーラを周囲に展開する。

 すると、辺りの空気が一気に重くなり、ピリピリとした雰囲気が漂う。

 確かにこのヤバヤバ空間の中で喧嘩を売ってくる馬鹿はいない。

 危険な土地を歩くときはロゼの言った工夫が必要なのかもしれないな。

 俺は納得する。

 その反応を見てロゼも霊力を元に戻した。


「話は変わるけど、ルクスって霊力をまるで感じないわよね」

「日常的に霊力を消す訓練をしてるからな」

「へー、そうなのね。アビスベルゼにおいて膨大な霊力量は強者の証だから、ルクスのように意図的に保有霊力を隠す武人は、とても珍しく映るわ」


 ロゼは物珍しげなものをみるような目でそう答えた。


 霊力量で自分の価値を証明する。

 それは、強者尊の文化が根付いているアビスベルゼ特有の価値観なのかもしれない。


 だからと言ってこれまで積み上げてきた事をやめるつもりはない。

 ロゼ自身も珍しいと言ってるだけでそれが悪いとは一言も言っていない。


 また、霊力を隠すことには利点もある。

 実力を見誤って油断する敵が少なからず現れるのだ。

 どんなに強く、強靭な体を持つ武人であっても、ほんの一瞬の油断で自分より格下に負けてしまう事がある。

 普段から霊力を隠していれば、それを意図的に起こすことができる。

 そのおかげで昔、格上に勝てた事が何回かある。


 いずれにせよ、期待していた強い武人は現れそうにないので、俺は朱雀館に引き返そうと足を止めた。

 その時。

 ロゼがある二階建ての建物を指差した。


「ルクス。帰る前にあそこに寄りたいわ」


 遠目から見るとなんの変哲もない宿屋にみえる。


「あの建物は、天魔神教が管理する秘密情報機関『黒夜』の支部なの。ほら、壁に5本の矢が掛かってるでしょ。あのうちの一本の(やじり)が黒く塗られていると黒夜の拠点なのよ」


 へー、そうなんだ。

 言われてみればロゼの言葉通り鏃が一本黒い。

 とはいえ、かなり目を凝らさないと見落とすレベル。

 何も知らない一般人は間違いなく気づかずに通り過ぎるだろう。


 興味本位で俺はロゼのあとについていく。

 扉には鍵がかかっていなかった。

 その代わり、闇に紛れるように三人の武人が建物に潜んでいた。

 三人とも俺たちに気づいているようであるが、姿は見せず、遠くから俺たちの様子を伺っている。


 ロゼは無言で宝剣を掲げた。


「!」


 隠れている武人のうち一人がガタリと物音を立てる。

 そして、闇の中からスッと一人現れた。


 頭頂部から足先まで全身に黒い衣類を纏った武人。

 いわゆる『影』ってやつだ。


 影というのは、隠密や諜報活動を得意とする武人の総称。

 黒い服を好んで着るのが特徴だ。

 余談であるが、俺自身も広義的には影だ。

 暗殺を一番得意とする武功だしね。


 だから俺からしてみると影という存在は、すごく親近感が湧く存在だ。



【強さの段階】

神和境>入神境>化境>超一流武人>一流武人>二流武人>三流武人>一般人


【登場人物】

ルクス:化境の武人。

ロゼ:天魔の一人娘。


【読者の皆さまへ】

この小説を読んで


「面白い!」

「続きが気になる!」


と思われたら、↓の☆☆☆☆☆ボタンを★★★★★に変えて応援していただけますと嬉しいです!

多くの皆様に読んでもらうためには、どうしてもブックマークと星が必要となります! 

よろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ