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間章2:大義のための犠牲

 あの男をパーティから追放して二週間が経過した。

 無能を追放したので、すべてが順調に動き出すかと思いきや、そうではなかった。

 むしろ魔頭一人に苦戦するほどボク達のパーティは弱体化していた。


 原因はわかっていた。

 ルクス。

 彼が裏で手を引いているに違いない。

 パーティを解雇された恨みで仕返しをするなんて奴は本当にクズだ。


「た、大変です! 勇者様! 魔頭級がこちらへと向かってきています」


 ルクスの後に追加で加入した男の武人『ジョージ』が慌てふためきながらボクにそう報告した。

 ボクは舌打ちをして、撤退の指示を仲間二人に送った。


「くそっ! どうして敵がこんなにも強いんだよ!」

「きっとルクスが裏で手を引いているんだわ。あの男、本当に最低の屑ね!」


 スカーレッドはボクの考えをなぞったような発言を繰り出した。


「はい。私もスカーレッドさんと同意見です」


 セレナードも頷いた。

 しかし、その直後、彼女は俯いて何やらブツブツと呟き始めた。


「おかしい……。彼はすでにこの国を捨てて隣国に向かったはず。なぜ私達の位置が特定できるのでしょうか……」


 隣国とか、国を捨てたとか、セレナードは訳の分からないことを言っている。

 だが、今はそんなことはどうでもいい。


 はやくルクスを見つけ出して殺さなければボク達が危険だ。

 ルクスは魔王軍にボク達の情報を売っているに違いないからだ。


 本当に屑野郎だ。

 ボク達がいったい何をしたって言うんだ。

 絶対に殺してやる。


 ボクは改めてルクスを殺す事を心に決めた。


「ゆ、勇者様! 早く逃げましょうよ!」


 すると、先ほどの武人ジョージがふたたびボクに呼びかけた。

 ボクはこくりと頷いて、彼に近づき、彼の右足を剣で切断した。


「あんぎゃああああああああ!?」


 ジョージは絶叫を上げた。なんて汚い悲鳴なんだ。まるで豚みたいだ。


「ちょっ!? な、なにやってるのロベルト!?」


 スカーレッドが酷く動揺した声を発した。

 一方、セレナードは冷たい眼差しでジョージを見下ろしている。どうやら彼女はボクの意図に気づいているようだ。


「スカーレッド。ボクはいたって正気だ。それにこれは僕達が逃げるために必要な行為じゃないか。使えない仲間は切り捨てる。」

「で、でも……流石に可哀想」

「だったら君が彼の代わりに囮となるかい?」

「あ、いや……そ、それは……でも……」

「僕達は魔王を倒すという立派な志を掲げて戦っている。こんな男の一人や二人死んだところで何ら困りはしないだろ?」

「ロベルトさんのおっしゃる通りです。スカーレッドさん。アナタも早く大人になりましょう。剣術は優れていますが、まだまだ子供ですね」


 セレナードはスカーレッドに喝を入れた。


「うう……」

「いだいいいいいいい!? あじがあああああ!」


 ちっ。本当に耳障りな声だな。

 ボクはジョージの喉に剣を突き刺す。ジョージが口から血を噴き出して打ち上げられた魚のように痙攣している。


「ひっ!?」


 と、同時にスカーレッドが悲鳴を上げる。


「これでよし。彼が犠牲になってくれるおかげでしばらく時間を稼げるだろう」

「あ、ああ……」


 ショッキングな場面をみたせいか、スカーレッドはその場に固まっている。


 やれやれ。

 彼女はまだまだお嬢様気分が抜け切れていない。

 表情一つ乱していない聖女様を見習ってもらいたいものだ。

 ボクは二人を引き連れてその場をあとにした。




【強さの段階】

神和境>入神境>化境>超一流武人>一流武人>二流武人>三流武人>一般人


【登場人物】

ロベルト:傲慢な勇者。

ジョージ:ルクスの代わりで入ったメンバー。

セレナード:エメロード教の聖女。エメロード教のためなら手段を選ばない恐ろしい女。

スカーレッド:勇者パーティの一人である貴族令嬢。


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― 新着の感想 ―
[一言] こんな奴が、勇者なんて…。 勇者が隣国に行ったら、序列低いだろうな…。 もしかしたら、ルクス所か、サラザールよりも弱いんじゃないかな? ロゼ相手でも瞬殺されると思うし…。 それほどル…
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