107.得物選択の自由。
誤字報告いつもありがとうございます。
非常に助かっております。
「うお。またかよ……」
何か使いモンになるのがあれば、と【アイテムボックス】の中を探ってみてたら。
まーた身に覚えの無い得物に防具が、たっぷりと目録に追加されていて。
てかさ、<炎と鉄の神>よ。
お前さんが率先して出しゃばり出番を奪ってちゃ、お前さんの信徒たる"大地の人"の職人連中がマジで泣くぞ。
……まぁ、アウグストだけは確実にテンション上げ上げだろうけど。
【アイテムボックス】に"NEW"と付いた項目の目録一覧と、【鑑定】結果の説明文を読んでみたら、次第に目眩でくらくらと。
────神さま、マジで自重する気が欠片も無ぇっ!
突っ込まれてた武器のどれもこれもが分類上、最高ランクに位置する"創世級"だとか。
しかも、<戦と武器の神>大はしゃぎ系の、変態武器の揃い踏み。
てか、戦輪なんてお馬鹿武器、こんなん誰が使い熟せるんだよって話。
こんなの、ちゃんと標的に当てたにしても。
『標的に浅く刺さって、はいそれまでよ』
なんて。
そんなあかんパターンしか考えられない、残念武器筆頭じゃんか。
大した攻撃力も無い、当てるだけでかなりの修練が必要な上に、当たったら当たったで、そこで武器の寿命が終了っていう。
……あれ?
そうやって考えると、”前世の俺”の時の主武装だった投擲用細短剣といっちょん変わらんかったわ。
臭してごめん、<炎と鉄の神>。
で。
戦輪の説明文を詳しく読み進めてみると。
【自己修復】に【自己増殖】。
更には【自己進化】とか……やたら不穏な内容が書いてあるという。
……怖っ。
”自己増殖”って、更に”自己進化”って何だよっ?!
”自己修復”なんてのが、全然可愛いって思えるヤバげなワードとか、ホント訳判らん。
それに加えて【帰巣本能】とか。
もしかして、
『行って帰ってこい』
……も、できるってことなのか?
『『あたし使いたーい☆!』』
『『私も』』
マジかよ?
ドレミにファ。それと、エルとアール。
……まぁ、四人がそれを使いたいってンなら、俺はそれでも良いけどさ。
『わたしも飛び道具が良いなぁ』
『あ、先に云われた』
どっちが先とか、そんなんどーでもええやろが……てか、だったらソラとサックスは弓にすっか?
丁度回収した<光の大弩弓>もあるし……
ああ。そういや、それの完全上位互換を作っていやがったわ、あの神さまの奴。
えっと、なになに……
【自動追尾】に、【無限矢弾】? それに矢の属性の指定機能……?
えっと、【貫通】とか……【爆裂】の選択次第で撃ち分けも、可能??
てかさ。
これ、いくら何でも盛り過ぎじゃね?
使い方によっちゃ、単騎だけで戦場をひっかき回すだけひっかき回せるぞ、これ。
……ま、いいや、それで。
ふたりとも、ついでに近接武器の短剣も一緒に持ってけ。
一応、お前たちも<剣舞踏士>の技を修めてンだし。
『射撃手の腕の見せ所は、標的どもに近付かれない内に殲滅してこそよねぇ♡』
『ねー?』
何時俺の知らぬ間に、精霊からスナイパーに転向してンだよ、お前ら。
頼むから、加護を貰った当初の目的を忘れないでくれ。
『俺はこの旋棍がやりたい』
……厨二心溢れてやがンな、シドよ。
『うっせ。別に良いだろ』
まぁ、皆好みの武器を使えば良いと俺は思うけどさぁ。
……しかし、旋棍なんてやたらマニアックだよな。
作った奴も、それを使おうとする奴も。
えっと、その問題の旋棍は……
【伸縮自在】に【破壊不能属性】?
幾らでも伸び縮みします。
ってことに加え、破壊が、不能……って。
……なに、それ?
凡そ、物質世界の法則を完全無視した概念を持ってくるとか、あの神さま何考えて生きてやがんだ?
俺が手を下すまでもなく。
このままだと、何れ奴は”世界”に殺されんじゃね?
なんて。
うん。
まぁ、そういうことで。
シドはそれでおkね。
────次っ!
半ば投げやりになりかかってるけど、もう良い。俺は知らねっ!
『オレは、自分に備わったこの筋力を、十二分に活かしたい』
ああ。
確かにセントラルは、見た目通り凄いパワーがあったもんな。
あのクリスに力負けしないどころか、逆に圧倒していたのは衝撃だった。
その腕力を活かすとしたら戦斧か、両手剣か……
一応、皆で舞いながら戦うのだと想定していたが。
それだと、戦斧は……ちょっと難しいか?
セントラルには、盾役をやって貰おうかなと勝手に思ってたが。
純粋な攻撃役ってのも、確かにアリっちゃアリだな。
両手剣の能力は、っと……
【破壊不能属性】に、【質量変化】?
……てーか、どこまで物理世界に喧嘩売るつもりなンだよ、<炎と鉄の神>。
よし、セントラルはそれね。
──で。
どうする、マイク?
『てか、ここでボクひとり日和ったら、皆から何云われるか……』
あー。
皆わりと良い具合に極端に走ったかんなぁ。
ここでひとりだけまともな武器を選んだりしたら……ねぇ?
『ねぇ? って云われてもさぁ……』
極端か、はたまた無難か……
まぁ、この際どちらを選んだにしても、絶対皆から弄られると思うから諦めな、マイク。
『そんなっ!』
こういうのはね。
他人に便乗するか、勢いに任せてさっさと決めちまうのが吉、なんだよ。
下手に悩んで失敗する典型例が、今のお前なのさ、マイク。
『わかった。だったら、ボクもシドと同じ旋棍にするよ……』
『ウェルカム。厨二病の世界へっ!』
『『ホント、つまんない奴……』』
シドは仲間ができて良かったね。
でもさ、エルにアールよ。
その評価は、いくら何でもちょっと可哀想じゃね?
『あー、多分シド以外のみんな。同じ感想を抱いた、はず……』
……そっかー。
うん。
な、マイク。俺の言った通りだっただろ?
こういうのは、勢いでさっさと決めちまうに限るンだ。
先々まで言われるモンだと思って諦めな。
『──みんなが寄って集ってボクをいぢめる件』
まぁ、末っ子なんて、結局そんなモンさー。
”愛されキャラ”か、”弄られキャラ”か。
愛されてるからこそ、弄られてる。
そう思ってなきゃやってられねぇよなぁ。
ああ、良かった。
俺、一人っ子でさ。
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