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仮にも王子様に自分の事好きなの?的な事言えない…
「……………」
あぁ!しかもなんで黙ってるのよ…!
恥ずかしくてかなり早口だったから通じなかった?
日本語が今更通じない筈ないよね?
「カインってば」
隣に座って顔を見ると真っ直ぐその綺麗な顔を私に向けてくる
そんな事されると余計に顔が紅くなる……だから美形って嫌だ!
「お前も?」
「え?」
「お前もあの男に恋愛的に興味無いのか?」
恋愛的なんて政略結婚前提のカインに言われると思わなかった……
「興味が有るのは自分達の運命についてだと……岡本さんは知らないけど私は自分の運命が知りたいし、皆の魔法の事知りたいの。だから色々情報が欲しいの……恋愛的にとか、まず無いわ。私には理想が有るんだから現実世界の相手にそんな感情……」
「理想?」
最後の方はブツフツ文句を言ってただけだけど聞こえてたらしい。
「そうよ、王子様みたいな人じゃなくて本当の王子様と……っ……」
話してると急に腰を引き寄せられてカインの胸に顔が埋まる
「それって俺じゃね?」
「ちょっ……それは……っ……」
離れようとしたのがバカだった。余計にカインの顔との距離が近くなる
「コイ……」
「王子様でもっ!白雪姫の王子よりシンデレラの王子様が一番なの!」
カインの低い声と近付いてくる雰囲気にキスされるって思ったら叫んでた
「シンデレラの王子?」
「そうよっ……シンデレラの王子様は憧れで小さい時には本気にシンデレラって名前になろうとしたんだもの……って離してよ」
「よりによってアイツかよ……」
「え?」
アイツって誰の事?
「まぁ、理想には俺当てはまってるし岡本にも興味無いなら……解った」
「え?え?連れてってくれるの?」
良くわかんないけど連れてってくれる気になったらしい
「ただし馬に乗る時は俺の前に乗れ」
「え…」
あのメルヘン構図かよ…臀部の痛みに耐えながらの羞恥心も味わうヤツですか?
「体重を俺に全部預けて乗ればそんなに辛くない…大人しく言う事聞けば連れてってやる」
「…解った」
恥ずかしいけど条件呑まないと連れてってくれなさそうだもんね、ここは大人しく言う事聞くか……と思って頷くと頬に何かが触れた
え…
「そうやって素直にしてれば良いんだよ。な、リュウ?」
カインは何事も無かった様に立って馬に話し掛けてる
今、キスされたよね?
頬にされたよね?
2回も口にされてるから変に頬だとブチギレ出来ないんですけど!