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「僕は親切でも優しくも無いですよ」
「…………」
少し暗い廊下の明かりでもイルーナ君の真剣な顔がシッカリ見えて思わず言葉を失う
その顔は今まで見た事が無い顔で少しの笑顔も隠れてなくて
正直…ちょっと怖いと思ってしまったから
「コイお姉さんも今日は疲れたでしょ?早く寝た方が良いですよ?」
『サーシャが居ないと心配しますから』と言うイルーナ君の顔はいつもの優しい笑顔だった
頷くと倉庫に毛布を運ぶ為に家を出て行く
なんだろう?
あんなイルーナ君は初めてだ
その夜、山の往復で凄く疲れた筈なのに脳が緊張してたのか私はちっとも眠れなかった
色んな事が有りすぎて…。
「…うるさ…」
結局一睡も眠れず馬の嘶きでベットから起きる
隣で寝てるサーシャちゃんは何事も無いかの様に熟睡中なので静かに着替えて部屋を出た
まだ誰も起きてないなぁ
「馬うるさい……」
てか、馬なんて近くに居たっけ?
外に出て確認しようとして扉の前で一瞬止まる
『コイお姉さん、1人で外に出ないで下さいね』
と皆に念を押されて言われたっけ
毒リンゴ事件も皆の記憶にも新しいからね……私には半年も前の事だけど。
確認くらい良いよね?
自分で聞いて頷いて扉を開ける
虚しいな……
音のする方に行くと辺りに馬はいなくて小屋の中から聞こえる
ここは…アイツが寝泊まりしてる場所か
倉庫と言っても綺麗な建物だな……これだからアイツは納得したのかも
馬の鳴き声を聞きながら1人で頷いてると倉庫の扉が開く
「リュウ!相変わらず早いな……お前……」
「あ……」
白い馬の手綱を引きながらアイツが出て来ちゃった…しかも白馬ってそんな所は王子様らしいって……
「なんか用か?」
「…………」
用って言われても無いし……それにコイツとはあまり話したくない
いきなりキスされて殴った相手にどんな社交辞令な挨拶をすればいいの?
普通無視でしょ?
サーシャちゃんなら唾とか吐きそうだ
「なんだよ、凶暴な奴だと思ったら急にしおらしい女になって変な奴」
「凶暴って……当たり前でしょ!?あんな事されてっ!」
「あんな事?接吻の事か…仕方ないだろ?お前が姫じゃないかも知れないなんて知らなかったし……それに普通王子から接吻されたら喜ばねーの?」




