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その後は暫く私は皆と一緒に平穏な生活をしてる
最初の時はいつ向こうに戻っちゃうかと心配してたけどそれはいつしか気にしなくなってた
だってもし戻ったとしても指輪のガラス玉はまだあるから
それに……戻るって気持ちにも疑問が残る
自分の居場所かどっかわからない
『ただ時間の流れが速いのは困る』と自分の指輪を見つめながら思う
竜宮城の話の逆バージョンでこっちでは老けるのは嫌だなぁ
「コイお姉さん、街に買い物に行かない?」
役割り分担された洗濯物を干してるとサーシャちゃんに声を掛けられた
最初はお料理でもと思ったのだがサーシャちゃんの『簡単な料理』には足元も及ばなくて……。
掃除も意外にナナセが上手かったりして『邪魔』と言われて必然的に私の仕事は洗濯物になった。
洗濯物だって干し方が重要だもの!
ちゃんと皺を伸ばしてバンバンしないと…!
大切な役割りだわ
「街?」
「そう!コイお姉さんの身の回りの物とか買いに」
サーシャちゃんは何故か凄く嬉しそうだ
街に行くのか嬉しいのかと思ったけど、仕事でいつも出掛けてるし
よく考えると炭鉱の仕事を女の子がやってるって凄いよね?
現代ではガテン系女子とか要るけどまだまだ少ないし…小人だと言ってもまだピチピチの18だもんね。
「え……それならロックにいっぱい造って貰ったよ?」
ベットや椅子にテーブル
ロックは山から木材を調達して私の分を造ってくれた
その姿はまるで日曜大工のお父さん……小人だけど。
「ああいうのじゃなくて!洋服や下着類よ、いつまでも私のおさがりじゃ嫌でしょ?」
「…………」
そうなのだ
私が着ている洋服とかは全部サーシャちゃんが大人の時に着てた物
初めてこっちに来た時に『古いけど良かったら』って言われた時は意味が解らなかった。
大人に憧れる年頃の女の子が集めてたのかくらいには思ってたけど。
まさかサーシャちゃんの私物だったとは
しかも本来自分より年下のサーシャちゃんの服を余裕で着れるのは少し複雑だ
一番ショックなのは胸元のブカブカ感だけどね。
「イルーナがね、一緒に暮らすんだから揃えた方が良いんじゃないかって言ったの」
イルーナ君……なんて気配り屋さん
「だから一緒に買い物に行きましょ?私も色々見てみたいし」
「有り難う……」
一緒に暮らす……本当に家族みたいに思ってくれてる皆に自然と目頭が熱くなる
「あっ……泣かないでよ?コイお姉さんって泣き虫なんだから」




