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193『信長、光秀、今生の別れ』〈2〉

「無論、当日は敵味方で真剣を交え戦うのであるから――

話すことさえできぬ……。」

信長の瞳からは……ついに一筋の涙が流れ落ちる。

「もうすぐ到着する家康が来てからは、“残酷な信長”に成りきるゆえ……

光秀に、余の真実の姿を見せるのは……」


「今日、いや、今この時で最後で……ある」


信長は、炎の照らす中で不動明王のように泰然と構えていた。

……が、儀式台の両側に置かれた燭台の火が激しく一瞬燃え上がり、

皆が気を取られている間に……

姿を消していた……。



「――信長様!」

光秀は、いきなりのことに声をあげる。


「はっ、のぶ……」

光秀は、さすがに驚いた、何故なら…… 

「ここである」と信長は光秀の背後でそう言うと、おもむろに両手を光秀の両肩におくと――

「光秀、腰を落とすがよい」

「は……はい」

光秀は驚きながらも、腰を落とし方膝を付ける。


するとなんと、信長は――

光秀の両肩に置いた手で、なんと肩を揉み出したのである!

「の、信長様……何を?!」

慌て光秀は、首を後ろに向けて問う。

「何をいっておる光秀よ、

――“肩揉み”に決まっておろう」

「肩揉みですか、そのようなこと……」

「気にするで無い光秀、お主は前を向いて気楽にしておれ」

「はい」


何故信長は、このようなことをするのか?

光秀も、蘭丸も、信忠も皆……

解っていた。


それは、信長の光秀に対する愛情であったからである。

信長は光秀の肩を揉み、そして叩き、光秀の肩をほぐしながら、師弟愛を語る――



「光秀、今まで苦労かけたであるな」




次回、明日投稿します。


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