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163『詠み人知らずの歌』

『百韻連歌』を写したものが、九十九韻しかないという、

一句足りない状態を、あり得ない現象とすると――

一句足らずな状態は、“意図的”にされたものとなる。


また写しによって、歌を詠んだ者の名前が違う。

これは、写し間違いの可能性はある。

何故なら、写した者がただ業務的に写したのなら、その句を詠んだ者の名前というのは、単なる記号だからだ。


ということでこの三つの写しの違いを考察すると、一つのある《謎》が出てくる。


 引きすてられし 横雲の空


――この句が、

三つの写しの内、二つに同じ歌が記してあるので、この句は実際に『愛宕百韻』で詠まれたものと推定できる。

しかも、百韻連歌が百句あるという自然な状態でもある。


しかし、“詠み人”が違うというのは、つまりその句を詠んだ者を、二つの写しからでは断定できないことを意味する。

しかも写した者にとっては、単なる記号だと推察すると……


これはつまり、二つの写しにある同じ句を詠んだ者、心前または昌叱、どちらが詠んだか解らないことを意味すると共に――

そのどちらでも無い、第三者が詠んだ可能性も出てくるということになる。

そう、名前の写し違いがある時点で、その句を詠んだ者の名前の信憑性自体がかなり減退しているからです。


……そう、ただの記号として名前が記されただけであのなら。


つまり、『引きすてられし横雲の空』の句は、確かに『愛宕百韻』の場で詠まれたが、

誰が実際に詠んだのかは、全くの《謎》となるのです。


そしてもう一つの《謎》、実際に詠まれた歌が、何故――

《意図的》に省かれたのか?


この二つの謎を解くことは、信長による『福音書』計画にとって、とても重要性があると感じております。



「それで、その謎は解ける?

特に写しに書かれていない第三者が詠んだとして、誰が詠んだかどうやって解るの?」と読者。


「……謎を解く鍵はあります。

この“詠み人知らずの”句には、なんと特別な意味が込められているからです!」と拙者。



次回、さぁ久々にクイズです!


この『引きすてられし横雲の空』という詠み人知らずの句を詠んだのは、次のうち誰でしょうか?


1、里村紹巴(心前と昌叱の師匠)

2、織田信長

3、織田信忠

4、明智光秀

5、昌叱または心前


当然、答えは――



――次のページで!



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