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155『【初公開】エヴァンゲリオン計画へのシナリオ』

「では、……」

明智光秀は、おもむろに札を両手で持ち、

「歌の師匠である紹巴殿に、儂の辞世の句を聞いてもらうかのう――


 『逆順無二の門 大道は心源に徹す

  五十五年の夢 覚来さめて一元に帰す』」

             (『明智軍記』)


「ほう、なかなかのできですな、信長様の夢は光秀様の夢でもあると」里村紹巴は弟子の句に頷き、

「そして“五十五年”ときましたか、謎解きみたいでなかなか。

――もちろん光秀様の年齢ではありませぬな」


「はは、儂はもう老い先短い齢六十七じゃ」

「では、五十五の……その心は?」

「五十五とは、“囲碁の初手の数”じゃ。

――つまりは、

『本能寺の変』決行の日に行われる、囲碁名人日海の対局を指し、

……それは『福音書計画』の“対局開始”を意味する」

「なるほど、奥が深い……

確か名人の日海殿が、対局でわざと何か珍事を起こして、

信長様の寝る時間を遅らすことで、自然に信長様の起床時間が遅れたこととする……」

「うむ、そうでもしないとじゃな。

信長様の逃げ足の早さは天下中に知れ渡っているからじゃな。

もし、完全に目覚めている時に襲撃をかけたら、世間から――


『何故信長様は、あの日だけお逃げになさらなかったのか?』


と疑われること必至であるからじゃ」

「そうですな、それが信長様が囲碁観戦した結果、普段より起床が遅れて寝惚けている時に襲撃を受けてしまい、

普段の信長様なら必ずや逃げるはずが、冷静な判断ができず……

逃げ忘れて、その結果討たれるという筋書きでしたな」

「うむ、そのために念のため……

祐筆の“牛一殿”にも指示して、しっかりと日記帳に――

『信長様は、起きたばかりの顔を洗っている最中に襲撃を受けた』と書いておくようにもしてある」

牛一とは、信長の祐筆――つまり秘書である太田牛一のことである。

そして信長の日々の活躍を記したものを――

天下人豊臣秀吉の時代に編纂して、後に『信長公記』と呼ばれる信長一代記を記した。


「改めて聞いて、この《五十五》、本当に大きな意味がありますね」

「うむ、……しかし、まだある」

「……まだあるとは?」

「五十五の意味じゃ」

「えっ、私は今の話しか聞いて無いのですが……」

「うむ、実はな、五十五というのはじゃな……


ーー『天正十年』――


の意味もあるのじゃ!」

「……天正十年?――本年の年号ですね」

「うむ、そうじゃ……そして、信長様が――


『天を正す』


決意をされてから、十年たったことを意味するのじゃ!」


1573年、織田信長は、将軍足利義昭を京から追放したあと、

年号を『元亀』から――

天皇に要請して、『天正』に改めさせたのであった。

そうそれは、古来からこの日の本の都であった京を、将軍に立ち代わって統治し、正しい天道へ導くことを、信長が決意した思いを込めたものであった。


「うむむ……天正十年?!

しかし……五十五を、どうしたら十になるのやら?」首をひねる紹巴であった。



ーー次回、

ようやく『光秀暗号《五十五》の謎』完全解決です!


乞う、ご期待!


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