134『連歌とて 読み解くことの 楽しさや』
連歌師里村紹巴の一番弟子ともいわれる心前の詠んだ句、
39『鴛鴨や下りゐて羽をかはすらん』。
その“おしどり夫婦”の句を受けて、次の者が即興で詠んだ句――
そう次に詠んだ『本能寺の変』の実行者である明智光秀が詠んだ句は――
40 みだれふしたる菖蒲菅原 光秀
――皆さん、ようやく感じてきました?
「あっ、そういうことか!」
「この光秀の句の作者さんの解釈、私もうわかったわ!
……仲良しさんがすることですよね?」
「連歌って、読み解くだけでも面白いかも」
――そうなのです、新説が歴史的に正しいか否かも興味深いことですが、歌われた連歌を自分の心情や思いで読み解くとその時によって解釈が変わっていくのも、連歌の楽しみなのです!
そう少なくとも拙者は、この『愛宕百韻』の謎の解明を捜査しているうちに、リアルタイムで連歌や和歌の魅力にどっぷり浸かってしまったくちです。
今回のタイトルで、一句、川柳?を詠んでしまったくらいです(笑)
――と、話し過ぎましたが、光秀の句――
40『みだれふしたる菖蒲菅原』
まず、あえて光秀の心情などを取り払って――
直訳的な解釈をしてみます。
乱れ伏したる 菅原の菖蒲園
こんな感じですね。
なんだか、この句だけだと菖蒲園が乱されているので、良いイメージはないですね。
――それにしても何故、菖蒲園の菖蒲が乱れ伏したる=菖蒲が乱れ倒れたりしているのか?
今回の連歌会は「出勝ち」といって、前の句を受けて、次の句を早く思い付いた者か、即興で読み上げるものなので――
39の心前からの句の流れでみてみます。
心前「オシドリが空から降りてきて、つがいで仲良く羽を合わせてじゃれていますね。
仲良きことは、なお良きことかな」
光秀「――そうですね!
オシドリが降りたのは、どうやら菅原にある菖蒲園のようです。
あっ、オシドリの夫婦がじゃれあってるうちに、菖蒲が乱れて倒れちゃったりしている“のどかな”情景が見えてきました」
この2つの句の解釈だけだと、こういう感じてすかね。
ほのぼのした情景なので、この解釈だけでもう満足な気分になりますが……
連歌は全体的な流れも当然大切にしますので――
《信長公認》の連歌興行として、今までの光秀の発句からの『エヴァンゲリオン』的な解釈でいきます。
40 みだれふしたる菖蒲菅原 光秀
――まず「菖蒲菅原」からてすが、これは直訳的な解釈「菅原にある菖蒲園」ではなく、
あの有名な『大宰府天満宮』の菖蒲園を指しています!
「えっ!?大宰府天満宮といったら梅の花では?」と読者様。
その通りなのですが、実は大宰府天満宮には見事な菖蒲園もあることで知られています。そこには、その見事な菖蒲園を称える石碑が建っているくらいです。(参照:大宰府天満宮HP)
そうです、「菖蒲菅原」の菅原は、地名の菅原ではなく――
《学問の神様》――
菅原道真公のことを指しているのです!
「えっ!?信長と学問ってさすがに関係ないのでは?」
とお感じの読者様、反応するのはそこではありません。
そうです、菅原道真公は歴史上の人物・実在した人物ですが、
学問の――《神様》に成った方です!
「――なるほど、そう来たか!」
と、お感じの読者様、……正解です!
次回、光秀の句に込められた信長への想いとは……
『信長と光秀の……秘密のそして禁断の関係』
乞う、ご期待!




