106『唯一絶対神』
――織田信長は、
――事実、日本史上最も神に近い存在と成った男である。
古来より日本で最大の権威ある存在は、もちろん天皇である。
また、信長以前、日本で最大の権力を築いたのは、神話時代を除くと――
軍事力の観点から言うと、武士による独立組織である鎌倉幕府や室町幕府の最盛期であろうか。
まず権威の方は、戦乱続く戦国時代において権威が失墜していた朝廷を庇護し資金援助したのは織田信長である。
――つまり、織田信長は、朝廷の最大の庇護者である。
信長による『天皇制補完計画』により、天皇制を無くすことをしなくても天皇を超えることが可能と成った。
失墜していた天皇の権威を信長の強大な軍事力で庇護することで天皇の権威を補完し、失墜していた朝廷の権威を高める。
すると、天皇を倒さなくても、そう、この国の精神的支柱を倒さなくても、平和的にその庇護する天皇の上位者として――信長の権威も更に高まっていくのである!
そしてそれは、安土城天主の隣に、天皇行幸の清涼殿となる本丸御殿を建設したことにより、行幸が実行されれば――
誰が見ても信長が天皇家を超えたことが解るようになっているのだ。
また、信長自身の自己神格化は、安土城天主で達成しており、
天皇の庇護者である信長が、
天皇への国譲り神話をもつ第六天魔王となることによって、
ついに天皇の権威を遥かに上回る権威を得たのであった。
また、民衆に対しては、第六天魔王の本来の姿である、
他化自在天となりて現世ご利益である、平和な世を創出させた。
――そうつまり、
百年にも及ぶ乱世において、その最大の元凶ともいえる宗教戦争を根絶するために、総見寺による宗教の平等を実現し――
織田信長統治下は、平和で安全で信教も自由、宗教団体は非武装化され、経済政策は、楽市楽座と関所の廃止などで自由経済が発達し、皆が潤いがある生活を実感できた。
当然、安全で安心で豊かな世界では、皆の寿命も伸び、安心して子宝にも恵まれる。
――そしてそして、その平和な信長の統治下は、
あと一年もあれば日本全土に及ぶほどの権威と権力なのである。
……かつて、
生存中に天皇を遥かに凌ぐほどの権威と、日本全土を統治するほどの権力をもった者がかつて、いただろうか!?
……そう、
イエスは、生まれながらに神の子であった。
しかし織田信長は、そうではない。
……人の子として生まれた。
いくら今までの人生かイエスと類似していても、民衆にとっては救世主であってもそ、れだけでは……
神ではない。
しかし今は、違う、
そう、天下統一目前の今――
日本史上並び立つ者のない絶対的権威と、
日本史上並び立つ者のない絶対的権力をもつ者、
そう、最も神に、いや最も唯一絶対神に近い男、信長は――
そう、唯一絶対神の一つのペルソナであるイエス・キリストに、
――最も近い男に成ったのであった!
次回予告
『絶対的権力は、絶対的に腐敗する』
このタイトルだけで内容を理解した方ありがとうございます!
そう、織田信長は絶対的権力を得たがために……
次回、乞う、ご期待!




