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清く楽しい高校生活  作者: 烏賊野しおから
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5/5

5.入学式

藤ケ咲高校。

農業科、工業科、家政科に分類されそれぞれ質のいい内容の教育が受けられることで有名。

敷地が広大で東京ドーム4個分。

自由な校風で、それが色濃く現れる文化祭は県内随一の盛り上がりを見せており、本校の名物である。




鉄色のブレザーに袖を通す。中学時代はセーラー服だったのでとても新鮮だ。自然と背筋が伸びる。

くるりと鏡の前で一周回り、チェックのスカートが揺れる。

どう見ても普通の女子高生だよね!大丈夫なはず!

ローファーを履き通学路に足を踏み出した。


先程入学式が終わり担任に教室に連れられ各座席に案内された。

担任が15分の休憩を言い渡し姿を消すと静まり返っていた教室が騒がしくなった。


私も後ろを向き、

「はじめまして!柊 楓って言います!よかったら友達にならない??」

「え!嬉しい!!友達になりましょ!!」

入学式の間何度もシュミレーションしたこのプラン。


私のクラスは家政科なので女の子ばかり。

逆に女の子の友達ができない方がおかしいよね!

今までは野郎ばかりに囲まれてたせいで出来なかっただけだもん。絶対にそうに違いない。


前の席の子が後ろ向いて喋りかけてきたら話すしかないもんね!楽勝だわ!!ケータイが無いのが痛いけど、そんなことは問題ないわ!

さぁ、私の薔薇色の高校生活の始まりよ!


っと言う私のプランはすぐに打ち砕かれることになった。


何故、廊下側角の1番後ろの席!!!

後ろを向いて話しかける私のプランが!

え、私の後ろ掃除用具入れなんだけど。私の友達なんだ掃除用具入れで充分ってこと…

左の方はまだ来てないし、前の席の子ずっとその前の子と話してるし。しかも同じ中学っぽい。終わった…高校生活終わった。

こんな離れた地まで来たのに3年間孤独の日々が決定してしまった。ジーザス…

机に突っ伏し項垂れているとふわりと花のいい匂いがした。

顔を上げ香りのする方向を見ると、そこには美少女がいた。

密度の濃い長いまつ毛、ぷっくりとした小さな唇にスラッとした高い鼻。きめ細かい陶器のような白い肌に小さな顔。

洗練された細やかか動きと凛とした佇まいが、彼女の美しさをさらに倍増させている。


こんな綺麗な人初めて見た。クラス中が私と同じように彼女に注目していた。

あぁ、神様。私を見放してはいなかったのね。

この女神と出会わせるためにこの席にしてくれたんだね。

でも、出来るなら女神の前の席が良かったな。


彼女の横顔を凝視してたらそれに気がついたのか彼女がこちらを向き視線が合いそうになり、反射的に逸らしてしまう。

何してんのよ!わたしのアホ!!

今目が合ってたら“オホホ、とても綺麗で見惚れていましたわごめんなさい。よかったらお友達にならない?”って、友達になれたかもしれないのに!

うわぁ、わたしのアホー!

頭を抱えて自己嫌悪していれば担任が入ってきてホームルームが始まった。





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