舞踏会
カツンカツンカツン
ヒールの音がホールに響く。
月の化身が向かうのは食事の並んだテーブルの方だ。
(食べた事も見たことも無い料理…)
そう、王宮の舞踏会会場をしずまりかえらせているのはヴァイオレットである。
(我が主ヴィオの美しさはこの世のものではないよいだ…)
そして、かなり大きめなテーブルの中央にあるシュークリームのような菓子のタワーの前まで来て、ふと気づいた。
(手が…届かない…)
(物凄く見てますわ…)
(届かないのね…)
(背が小さいお方なのかしら)
((((((可愛い…))))))
「こんにちは月のお姫様?あなたのお名前は?」
「えっ……ヴ、ヴァイオレット…です。」
「素敵な名前ね。」
パタパタ
「こちらはあなたの召喚獣かしら?」
「いかにも。我はヴィオの召喚獣だ。ちなみにヴァイオレットと名付けたのも我だぞ!」
パタパタ
(人の言葉を話す召喚獣!?まさか…いえそんな訳…)
ザワザワザワザワ
「騒がしいな。我は獣王だ。人の言葉を用いるのがそんなに珍しいか?」
(やはり、獣王…そういえばヴァイオレットさんは?)
人の目を避け、後ずさりするようにバルコニーのカーテンの影に隠れようとしている。
「ヴァイオレットさん…?」
「ひ…と…」
カタカタカタカタ
「大丈夫ですの?」
「ヒッご、ごめ…」
「ヴィ…!?」
怖い…怖い…どうしよう…
ふわっ
「久しぶり…綺麗になったな。」
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