第37話。テキ セッキンチュウ
「おい! もっと丁寧に収穫しろよ」
「ごめん」
ハイジと畑の収穫中だ。
冬の間も白菜とかなら出来るかな?
まあ、最初の冬だ。あんまり期待しないでおこう。
「っておいっ!なんで私がこんな事してんだよ。上位魔族だぞ!」
「気にするな。俺なんて魔王の息子だぞ」
最近では農作業をしている時が一番しっくりくるな。
このまま争い事なんて無縁の生活が続けばいいな。
そんな事を思っていると、デスビートルのレノンが部下を引き連れてやって来た。
いつもより、羽の音が強い。
何かあったのか?フラグの回収が早すぎないか?
俺の目の前までやって来ると、空中で文字を描くように飛ぶ。
『テキセッキンチュウ テキセッキンチュウ』
敵接近中!?
「敵? キングベアーやジャイアントスネークが冬眠前に食料を求めて、暴れてるのか?」
『ニンゲン ニンゲン』
人間!?
死の森に人間が侵入してきたのか?
このくそ忙しい時にやめて欲しい。
「メルを襲った王国騎士団か、ゲマのダンジョンを破壊した勇者一行のどちらかだろうな。レノン、人数はどれくらいだ?」
『ハチニンカクニン ハチニンカクニン』
八人か。まだ数人いる可能性もあるとしても、王国騎士団ならもう少し人数が居るだろうから、勇者一行の可能性大か。
みんなを集め勇者一行がもうすぐやって来る事を伝える。