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小話:【こんにちは、お星様。】
最終話前のお話です。
「星が願いを叶えてくれるの?」
「えぇ、そうらしいですよ。」
有名な操り人形と老人の童話。
それを聞いた彼は目を輝かせた。
「じゃぁ人間さんは星が連れてきてくれたんだね。」
「・・・どうしてそう思うんですか?」
まぁあながち間違ってはいないかもしれない。
こんなファンタジーな世界に展開があったのだから、きっとなんでもありなんだろう。
「誰かとお話してみたいと思ってたんだ、ずっと。」
「・・・よかったですね、願いがかなって。」
「うん。」
ならわたしを連れて帰ってくれるのも星か。
けれどこの一度願いがかなってしまった人魚は・・・独りではないということを知ってしまった彼は、わたしが消えてしまった時どう思うんだろう。
ふとよぎった考えを、すぐに振り払った。
関係のないことだ。
だってどんなに考えたって、ここはわたしの居場所ではないんだから。