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第二十六話
「なんだよ、母さん・・・って、あれ?もしかして・・・ティカ?」
「久しぶり、シアン。」
奥から出てきたシアンは、最後に会った12歳の時とあまり変わっていない。
もちろん背は伸びたし、全体的に大きくなったけど、優しげな雰囲気は前のままだ。
シアンはミゼルさんと同じようにカウンターを超えてこちらにやってくる。
「久しぶりだな~小さくなって。」
「もう!シアンが大きくなったんでしょ!」
近くに来て分かったけど、本当に大きい。
2メートルくらいあるんじゃないのだろうか?
「シアンってば、背だけおおきくなっちゃって・・・。ねっ、二人ともいい年だし、結婚しちゃいなさいよ!」
ミゼルさんは若干本気のように私たちに言ってくる。
まったく、困っちゃう。
私にも、シアンにもそんな気はないのに。
「それもいいな。ティカ、俺の嫁にならないか?」
えっ・・・?
嘘、だよね。
しかし、シアンはまじめな顔だ。