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scene2 魔王討伐についての“建前上の”確認
リオは会議机に肘をつき、深いため息をついた。
「魔王は……一応、倒すってことになってるんだよね?」
“勇者としての最低限の確認”のつもりだったが、返ってきた答えはあまりにも軽やかだった。
ミナはガイド冊子を閉じることもなく、さらっと言う。
「え、あれ形式でしょ?
私、前に魔王軍の人とお店で並んだことあるけど、
普通に『今年もよろしくお願いします』って言ってたよ?」
「なんの年度行事だよ……」
リオの心のツッコミが空を舞う。
ガルドは腕を組んでうんうん頷いた。
「そもそも世界も平和だしな。
魔王さん側も“倒されたフリ”が仕事なんだろ?
俺たちが本気で行ったら迷惑かけちまうだろ」
迷惑の種類が違う。
シルフィはおずおずと手を挙げた。
「じゃあ……その……優しく倒すフリしましょう……?
ちょっとだけ光ったり、ちょっとだけ倒れたり……」
リオは思わず固まる。
(優しく倒すフリってなんだよ……
もうそれ“戦い”じゃなくて“舞台演出”なんだけど……)
勇者パーティーの“魔王討伐議題”は、
戦略でも作戦でもなく、配慮と形式で構成されていた。




