第四話 やる気ゼロパーティーとの会議 scene1 旅程の確認 → ほぼ観光スケジュール
ミナが勢いよく広げたのは、地図……ではなく、色とりどりの写真が並んだ観光ガイド冊子だった。
表紙には「魔王城周辺・絶景と温泉めぐり」と堂々書かれている。
リオは思わず突っ込んだ。
(……地図じゃないんだ……)
ミナは気にした様子もなく、ぱらぱらとページをめくりながら目を輝かせる。
「ほら、この温泉街、魔王城に行く途中なんだよね!
ついでにスイーツ街もあるし、寄れたら寄りたいなーって」
「いいな。そっちの方が本業より楽なんだよな」
ガルドは腕を組みながら、旅剣士というより休日の兄ちゃんの顔で頷く。
「魔王さんも戦う気ないって話だし、のんびり行こうぜ」
シルフィは椅子の上で小さく縮こまり、視線を宙に漂わせていた。
「……温泉でゆっくり……したいけど……」
そこまで呟いた後、ふっと表情を曇らせる。
(弟子はちゃんと薬の分量を守れるかしら……)
リオは一応勇者らしいことを思い出し、口を開いた。
「いや、その……魔王の動向とか確認するべきなんだけど……」
しかしミナは聞いているようで聞いていない。
「魔王城って景色がいいらしいよ。
せっかくだし、到着したら最初に展望台行こうよ!」
ガルドが即座に賛同する。
「それだ。戦はしたくねえし。
挨拶だけして、あとは自由行動でよくね?」
「……できれば今日中に帰りたい……」
シルフィの声は風前の灯火のようにかすれていた。
リオは額を押さえる。
(いや帰るの早すぎるだろ!?)
勇者パーティーの旅程会議は、こうして観光スケジュールとして固まりつつあった。




