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scene8 任命式終了
――勇者リオが歩き出した、その瞬間だった。
国王は「では勇者よ!! 健闘を祈る!!」と最後の決め台詞を張り上げたかと思うと、
背中が観客に向いた途端、そっとマントの留め具を外した。
重々しい王家のマントが床にずり落ちる。
国王(小声)
「……疲れた。昼寝する」
従者が慣れた手つきでマントを回収し、
宰相は書類を抱えたまま、まるで天気の話をするかのように告げる。
宰相
「お疲れ様です陛下。次の予定は午後の“対外友好の茶会(形式だけ)”です」
国王
「はぁ……あれも形式だけで済めばいいのだが」
二人の会話は、遠ざかっていくリオの耳にも届いた。
リオ(心の声)
(……全部、形式なんだな……
勇者任命式も、魔王討伐も、国王の茶会も……
世界は今日も平和です)
こうして、華々しいはずの勇者任命式は、
いつもの茶番劇として今年も静かに幕を閉じた。




