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盆送り火2026(八月十六日)



 十三日の日にご先祖様を迎える。盆棚を作って、準備をするんだけど、その準備は、七日の日に父が作ってくれて、今は綺麗に色々なものが飾られている。これが、うちのお盆の盆棚だ。



「この割り箸みたいなのは?」

「先祖の霊を家に迎える目印として焚く火を『迎え火』と呼んで、こっちでは迎え火は麻の茎に硫黄を塗ったもの『ラッツォク』に火を点けて炊くんだよ」



 知らないことが多いのか、驚いている。風習は、東西で違うだけではなく、広島と宮城でも、安芸高田と気仙沼(けせんぬま)でも違う。私だって、広島の盆灯籠には驚いたよ。



 動物ヨーチって、知ってる? お盆にお墓参りするときにあげられるお菓子だ。懐かしいね。今じゃ、お墓へのお供物は持ち帰らないといけないので、個包装されたものが上げられる。しかし、昔はそうではなかった。それから、果物の形をした砂糖菓子などもある。うちでは、それをハスの葉の上に載せる。ちゃんと後から持ち帰るけどね。もしかたらんだけど、動物や果物の形を模したものをあげる風習があるのかもしれない。



「それ、お盆で見るのは初めてだね。それと、気になったのは、何かの葉っぱの上に乗った細かいあれはなに?」

「あれ、そっちではあげないの?」

「うん、初めてみたよ」



 ナスとキュウリを賽の目状に切って米と混ぜ、お茶をかけたもの『オショウコウモノ』を供える。それと、丸めたお団子。お墓にあげる場合だけ、丸いお団子なのは、この地域だけらしい。



「知らないこと多すぎ」

「そうだよね」



 私もそうだ。でも、覚えてくれるのは、嬉しいね。お墓参りもこっちの時間に合わせて行って良いよ、と言うお言葉に甘えて、朝四時半に起きた。ちゃんと起きたら驚かれたよ。いや、私だってちゃんと起きるよ? 最後に起きたの私じゃないから。



 そして、今日は、おくずがけと、白い餅米に甘い甘納豆が入ったおこわだ。これも、珍しかったようだ。今日は、親戚の数が多い。一応、本家だしね。いや、さらに多いような気もする。って、咲子(さきこ)さんにこぼしたら、それ、麻衣ちゃんと嘉隆(よしたか)くんがいるからでしょうと言われた。それで、数年に一度来るか来ないかのはとこは来ているのか。



「うん、勉強になった」

「別に、こっちのは覚えなくていいよね」

「どっちも覚えておきたいな、って思ってね」



 そのイケメンな発言に、周りのみんなも「おおー」と感嘆している。ところで、みなさん、嘉くんにビールそんなに勧めないであげて。それと、私は裏方で手伝わないといけないのでは無いか、って言ったらお酌してあげなよ、と望(のぞみ)ちゃに返された。私にお酌されて嬉しい人いるの? 咲子さんも望ちゃんも、母や親戚のおばさんを手伝って、キッチンから色々なものを運んでいる。二つの部屋の襖を取り払って、大きな部屋に二十人以上の親戚が集まる。こうやって、騒がしいのも本家だからだ。こうやって、楽しんで、故人を迎える。


 そして、十六日にまた、『ラッツォク』に火をつけて、仏様を送るのだ。みんなで、騒いで、楽しいんでくれたら嬉しいね。

 こうして、お盆の行事は続いていくんだ。誰かが続けなければならない。そう思うと、知っておくのも大事なことだと思う。



 2026/08/16 活動報告掲載

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