佑くんの誕生日(六月二十日)
さくらんぼを渡しに行こうとしたんだけど、奏子ちゃんにお呼ばれされてしまった。誕生日なのに、お邪魔して良いの? って思ったら、理由があった。
「毎年、佑くんと誕生日に出掛けいるんだけど、それ用事あって日曜日になったの。優希がバイト初めて、初めての誕生日プレゼントがケーキって、泣けてこない?」
「それじゃあ、やっぱり、三人で食べなよ」
「それは、嬉しいんだけど、困ってることもあってさ。めちゃくちゃ、大きくて何号買ったのよって」
「じゃあ、お母さんとかお父さんは?」
「まさか、優希が用意してると思わなくて、被った」
あー、納得した。まぁ、さくらんぼを渡すだけ渡して、はい、さよならも味気ないかな。私と嘉くんは顔を見合わせて頷き合った。優希くんは一人っ子だ。三人には確かに大きすぎだろう。
「遥くんも呼んだ」
「ああ、もってこいだね」
でも、晃くんには断られたようだ。もうすぐ、聖良ちゃんの誕生日なのでその時にケーキを食べるかららしい。毎日ではないけど、さほど日を空けないでケーキは地味に辛い年齢だ。なんか、この年になって、友達とケーキ食べるのって不思議だよね。
「去年だっけ、晃の誕生日パーティーしたのって」
「ああ、あったね。あれ、ネタなのかと」
「うん、ネタだった」
まぁ、楽しかったけどね。私も誕生日プレゼントは渡すだけで、流石に誕生日会はしないかな。プレゼントに贈ったさくらんぼは喜んでもらえた。『佐藤錦』が有名だけど、他にもあって、『紅さやか』にした。今年、さくらんぼが豊作なようで、良かったね。
「ありがとう。無くなるものって、良いよね。気を使わなくて良いし。あ、去年はごめんね」
「ううん、気にしないで。アレルギーあっちゃしょうがないよ」
唯一、着けているのは、プラチナの結婚指輪だけだった。それを知らなくて、去年はアクセサリーを渡しちゃったんだよね。それは、リビングのクマのぬいぐるみが着けてくれている。そんな、飾り方もあるんだね。
結局、中山家も合流して、楽しい誕生日になったようだ。シンガーだらけのハッピーバースデーに大ウケされた。
2026/06/20 活動報告掲載




